ICT支援員とGIGAスクール構想その2

こんにちは、ICT営業担当のMです。今回は、全6回中2回目になります。

前回はOよりY先生に忙しくてICT機器に触る気力のない、結果的にやる気のない先生に対しての対応“について伺いました。やはりそこには先生の質に対する問題が挙げられました。今回は前回に引き続きICT支援員はどのように支援を行えばよいのかをY先生に伺っていきたいと思います。

M            前回、ポストコロナで様々な分野でICTが台頭していくなか、ICTに関わることが難しい先生が多くいる。そういった変化する価値観を受け入れることが難しい先生に対して考えるよりも、目の前の子供たちのことを考えた方が良い。とのことでした。確かに、そのように考えていくのが健全な気がします。

Y先生      そうです。私達の中では「この一時間でこの子が気づいてくれれば良い」という考え方があります。年間千時間以上ある授業の中、全部納得できることなんてありえません。そうすると何も価値のない授業にしないためには、せめて「こないだあんなこと言っていたあの子がこの一時間でこんな風に言ってくれたらうれしいよな」ということを想定して授業を行います。支援員の方も同じような感覚で、最初は観察だと思いますが、2回目3回目と伺える関係性があるならば、納得がいく授業ができなくても「あの時あまり興味を持ってもらえなかったあの子が今日はあんなにウキウキしてくれている!」という風に考えていただければ皆が幸せになっていくのではないかと思います。

O             支援員も先生方と同じような心がけが必要ですね。

Y先生      もし、その次に心がけていただくとすれば、そのような形で種を撒いていただいた子どもを同じ形で増やしていくと、次へ次へと一人ずつ同じことをしなくてはなりませんので、2、3人ほど増えた段階できっかけだけ作ってあげて、「あとあの子と一緒にやってごらん」と協働で学習してもらうようにしていただくとより良いかと思います。そういうことを続けていくと、子供たちからO先生がいい!という声が出てくるかもしれません(笑)

O             なるほど。ですが、例えば「子供たちのことは私が一番分かっているんだ!」というタイプの自負の強い先生の時に「O先生がいい!」という風になると「あいつが来たせいだ」ということを言われたことがあります。

Y先生      そういった場合の対策があります。クラスで一番その授業が苦手な子供を見つけます。教室内を走り回って授業を聞いてくれなかったり、やる気がなかったり、目立つ子が絶対にいます。そういった子に気づいた段階でその先生に「ちょっとあの子の支援にいきますね」と一言声をかけて付きっ切りで授業をしてください。

O             なるほど!そこから広げていくんですね。

Y先生      そうです。そうすると隣の子が興味をもって「何してるの?」と絶対に言って    きます。そもそも支援員という立場なのであれば支援に徹すれば良いんです。

M            そういうことですか…。丸投げの先生であれば楽しく授業やればいいし、メインで立ちたい先生であれば支援に徹すればいいんですね。

Y先生      そうです。事前に打ち合わせだけしておきます。「なにか今日の授業でお困りなことあります?」とだけ聞いておいて、「ない」と言われたら「では支援させていただきますね」とだけ言っておけば良いです。

O             なるほど、では、その事前の打ち合わせのタイミングについてなんですが、例えばある自治体だと、FAXで事前にある程度の情報をいただいた上で、その日の朝に現場で伺い打ち合わせを行っていますが、事前打ち合わせが一番しやすいタイミングはいつだと思われますか?

Y先生      Oさんがおっしゃるタイミングが丁度だと思います。そこで何かを言われれば   コミュニケーションをとっていけばよいのではないかと。そもそもそういった打合せは短い時間で十分だと思います。あれやってこれやってと詰めようとすると、お互い辛いんじゃないでしょうか。子供は生ものなのでその時その時の気分で変化していきます。打合せが通用しないことが多いですから。逆にそういった気分の変化は「いつも元気なのになにかあったの?」といったコミュニケーションにつなげることもできますし。そうすると自負の強い先生から睨まれるので、「あ!すいません!」と笑顔で返してもらえれば良いかと(笑)

M            うわぁICT支援員って難しい仕事じゃないですか

Y先生      そうですよ。支援員に対して私は教育実習生として考えていますから(笑)

O             ICT支援員に対してそういった見方、考えをもっていただいて本当にありがたいです。しかし、ICT支援員は教員免許をもっていない者も、養成課程の勉強もしていない者も多くいます。そこで、先生がICT支援員に最低限もっておいてほしいスキルというか、勉強しておいてほしいことはありますか?

Y先生      ちょっとだけ勉強しておくと絶対いいものがあります。それは児童心理学です。

O             なるほど!

M            そんなのあるんですか?

Y先生      児童心理学の中に発達段階というのがあり、このあたりのことをちょっとだけ    勉強しておくとよいです。Mさん一緒に講習会にいきますか(笑)

M            ぜひ

Y先生      いや本当にそういうベース知識が必要だと思います。そして、次に目線であったりとか立ち位置であったりとか、そういった教員免許の有無に関わらず子供と関わるうえで必要な知識、イコール育児の知識ですね。これは、今は色々な育児の雑誌がありますし、そこから学べることも多いかと思います。

M            児童心理学に育児の知識ですかぁ…。難しそうです。

Y先生      言葉よりも態度や表情のほうが、小さければ小さい子ほど情報量が多くなります。

M            しかし、そのように児童心理学や育児の知識を得て、子供たちから人気がでるほど自負の強い先生からは「なに気に入られてるんだ」と嫌われてしまうような気がするんですがどうなんでしょう…。

Y先生      それがですね、独裁先生の特徴として自分が距離感を感じている子供と仲良くなってくれることは喜ばれる可能性が高かったりするんですよ。8、9割の確率で喜ばれると思いますよ。

M            えー!?

Y先生      なぜならその先生は自分の思い通りに動かしたいわけです。思い通りにならない子をその時間は支援員が見てくれるのだからありがたいに決まっているんです。

M            あー!先ほどの「クラスで一番その授業が苦手な子供」を見つけることはそういったことにもつながっていくんですね。

Y先生      そういうことです。そしてそういった子供を見つける目を養うために児童心理学や育児の知識が必要になってきます。ただ、やはりこういった知識はなかなか身につけることが難しいですね。教育実習生の人にも「こういった行動をした時はこういうことである可能性が高いからね」とか逐一教えて身に着けてもらっています。

児童心理学!恥ずかしながら初めてそういった分野があることを知りました。確かに子どもと接する私達はそういった知識も併せて持つ必要があるのかもしれません。今回はここまでです。次回もお楽しみに。

2008

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