ICT支援員からの相談②

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こんにちは、ICT営業担当のMです。今回も前回に引き続き現場で活躍するICT支援員からの相談ということで、支援員歴1年のKと支援員歴4年のTにY先生からアドバイスをいただきます。


M:ICT支援員の在り方について前回は大変感動させていただきました。「よそごと」を「他のことに興味がある」という捉え方、ICT支援員には必要なスキルなのかもしれません。

 

K:ただ、Scratchの授業のときに、YouTubeでゲームの動画を見始めている子がいて、注意したり興味を持ってもらえるように自作のものを見せたりもしたんですが、なかなか興味を持ってもらえなかったということがあり、さすがにプログラミングに関連するものではないと思うので、こういった場合はどうすればよいのでしょうか。

 

 Y先生:さすがにゲーム動画はプログラミングとは全く関係のないものですね。ただ、Scratchですよね?先生が教えることはほとんどないんじゃないでしょうか。ブロックの動かし方、再生方法などの操作説明を10分ほど教えてあげればいいですよね。
 

M:操作説明だけしてあげるということですか?

 

 Y先生:私の場合、最初の使い方について一通り説明を行いますが、次は私と有識者の先生とで共同作成したScratchで動かす問題をどんどん解いてもらう形にしています。例えば最初はScratch上でマス目を描いた背景を用意し、「右に1歩動く」という定義ブロックを作成して予め「Xに50動かす」などのブロックを作って用意しておきます。
 

M:「右に1歩動く」というブロックを実行すれば1マス進むイメージですね。

 

 Y先生:あとは子どもたちに定義ブロックを使用してプログラムを作ってもらいます。簡単な問題であれば右に2歩進めばゴールできるといったものから始め、障害物を置いて進めないマスを作ったり、とあるポイントを経由してからゴールしたりといった問題を解いてもらうわけです。
 

M:なるほど、だんだん問題を難しくしていくんですね。

 

 Y先生:ただこの際に大事なのは、「子ども自身でやらせること」です。子どもに右に1歩をもうひとつ持ってくるにはどうしたらいいの?と相談されたら持ってくる方法を教えてあげればいいんです。進んでいる子どもは繰り返すブロックを持ってきて試してみたりもするわけです。そういう子には「なんでこのブロックを持ってきたの?」と聞いてあげると、「さっきの回転するときに使っていたから、同じように使えば上手くいきそうな気がしたから」と答えてくれるんです。
 

M:すごいですね!

 

 Y先生:子ども自身で考えさせて、どういう考えでその行動になったのか、ということを私たちは拾うだけでいいんです。そのやり方を私の自治体では進めていこう、ということになっています。
 

M:なるほど、ベースを作ってあとは自由に考える。それなら集中してくれそうです。

 

 Y先生:誰でもできるわけではなく、答えを教えてしまう先生もいるんです。「はい、次はこれをやってください」とか言ってしまうんですよ。それでは正直意味が無い。「先生、どうやったらいいんですか?」と聞かれたら「周りの子に聞いてみてね」くらいでいいんです。そうなったら大体の子は興味を持ってやってくれていますね。
 

M:クイズで最初から答えを教えられたら意味がないですもんね。

 

 Y先生:プログラミングを知っている子どもは特にそうです。説明して指示通りにさせたがる先生のやり方では興味をそがれてしまいます。「それなら動画見てた方が楽しい」となってしまうわけです。その解決としては教材の問題と先生のやり方の問題がありますので両方の改善が必要かと思います。
 

M:確かに!ゲーム動画に行ってしまうのは教材や教える側の問題もありそうです。そういった教材になるようなプログラミングを事前にKさんなんかは作っていそうなんですが。

 

K:私が作ったプログラミング教材はどちらかというとルールにしばられた物であった気がします。Y先生の作られている物は点と点と点を用意しておいて、あとは子どもたちが考えてその点をつないでいくという感覚なのだと思います。私も支援員になったばかりの時はそういった感覚でした。しかし、様々な経験をしていくうちに子どもたち目線ではなく授業をこなすことを目的としている状態に無意識のうちになっていた気がします。

 

 Y先生:プログラミングというのは「自動販売機はどういう感じで動いているのかがみん なが理解する。そして、みんなでやる掃除が時間内により綺麗になるにはどうしたらいいのかを考えられるようになる、そんな力を身に付けてほしい」ということを求めているわけで、別段プログラミングツールを使用したりコードを覚える必要はないと思います。
 

M:なるほど。確かにそういった考え方、接し方で授業を行えば子どもたちは夢中になって楽しんで学びを深めることができそうです。

 

K:ありがとうございます。私もそういった意識をもって取り組んでいきたいと思います。

 

M:Kさんありがとうございました。続いてICT支援員歴4年のTさんよろしくお願いします。

 

 T:よろしくお願いします。

 

M:Tさんはもう4年にもなると先生との打合せなんかもお手の物なのかな?なんて思うのですが、現場で困ったことや相談事なんかありますか?先ほどのKさんとY先生とのやりとりも聞いていただいた上で思ったことなんかも聞かせていただければと思います。

 

T:先ほどのKさんとの話の中にもあったのですが、私が普段させて頂いているプログラミング支援には授業計画というレベルまで落とし込んだものではないですが、ある程度の例えば「この時間にはこれができるようになろう」という感じの計画があり、その流れに沿って行っている形になっています。Y先生がおっしゃった基本的な操作方法についての説明だけを行い、あとは子ども自身に自由にやらせる形のスタイルが良いのか、ざっくりとした物でもいいので授業計画があったほうが良いのかどちらが良いと思いますか?

 

Y先生:それは教科の授業であれば明確な計画があったほうがいいです。その方がゆらぎが無くなるためです。ですが、指導内容がざっくりしたもの、IT/情報の授業など含めてそうですが、この場合は多様性の方が重要です。
 

M:多様性ですか

 

Y先生:最たるものとして「道徳」もそうですね。今までの道徳はこうでなければならないという価値観を強制するものでしたが、新しい道徳では討論して色んな考え方があることを確認して終わる、というものになっています。
 

M:今まではルール化されていたものが多様性を認めていく形になっていっているということですね。

 

Y先生:学校の授業の9割5分は「~ねばならない」授業なので、せめて皆さんが関わる授業くらいは自由活発伸び伸びと本来の学びを提供してあげてほしいです。
 


プログラミングにしても道徳にしても多様性を認めていく。確かに大事なことだと思います。ICT支援員として先生や子どもたちに支援できることはまだまだ多いと感じました。

次回も引き続きICT支援員からY先生への相談を掲載させていただきます。