教育委員会行政職の皆様に送る 現役ICT支援員を最大限活用できる3つの項目

投稿日 | カテゴリー: プログラミング教育, 授業支援, 校務支援 |

皆様こんにちは。
毎月1回現役ICT支援員による現場ならではのお話をお届けしているICT支援員日記も60回以上更新をし、皆様から様々な反響を頂いております。ありがとうございます。
記事数が多くなってきましたので、目次を設定いたしました。

ICT支援員をご活用いただく際の参考になれば幸いです。なお、1万viewを超える大人気コンテンツ「パワーポイントですごろく作成」は、ICT支援員が現場の先生と1年生でも楽しめるものを、と工夫して考えついたものです。

ICT支援員イメージ
◆ICT支援員活用事例1

授業支援
https://ict-help.jp/ict_days/category/class-support/
小学校1年生から6年生まで、具体的にどのような授業でどのような支援を行ったか、写真付きでご紹介しています。「けいさつひみつブック」等おもしろコンテンツ満載です。

◆ICT支援員活用事例2

プログラミング教育支援
https://ict-help.jp/ict_days/category/%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%83%9f%e3%83%b3%e3%82%b0%e6%95%99%e8%82%b2/
長年Scratchに携わってきた支援員が、その経験を活かして「Scratchでプログラミングを行うには」という観点でご紹介しています。

◆ICT支援員活用事例3

校務支援
https://ict-help.jp/ict_days/category/%e6%a0%a1%e5%8b%99%e6%94%af%e6%8f%b4/
現場に出向いて実際に研修を担当する支援員が、現場の目線で校務支援システムの導入について「こうすればうまくいくのでは」というノウハウをご紹介しています。

ご活用の参考にしていただければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。

ICT支援員からの相談③

投稿日 | カテゴリー: インタビュー |

こんにちは、ICT営業担当のMです。今回も前回に引き続き現場で活躍するICT支援員からの相談をY先生に答えていただきます。前回まで様々な相談をY先生に答えていただきました。情報/ICTには多様性がとても大切であることを知りました。


M:Y先生、今回も引き続きICT支援員からの相談にお応えいただければと思います。

 

Y先生:よろしくお願いします。
 

M:Tさん、サポ―トしている中でこういった感じならいいのにな、と思うこともありますか?

 

T:指導案を見させて頂くことがありますが、もう少しここに時間を置いたら子どもたちが理解できて楽しくできるのにな、ということはありました。ただどちらかというと「支援員がサポ―トに来てくれるなら内容についてはお任せしたい」、ということの方が多くあるので「それでいいのかな」ということが気になっています。

 

Y先生:私の自治体では今私がこういうICTを推進・活用・指導する立場になっているため市のレベルで方向性を決めてしまえたことが良かったと思います。大学という外部の方の知識・協力を得て教材も作れました。ここまで向く方向が決まっているのであればいいのですが、どちらかというと支援員にやり方を聞いてお任せしてしまうことの方が多いのではないかと思います。
 

M:実際のところはそうですよね。先生の方で自分でこういう風にプログラミング授業を行おう!ということを決めるのは難しい部分もあると思います。

 

Y先生:できることならば市のレベルでどういった授業を行っていくのか、方向性をしっかり決めておかないといけないのではないかと思います。指導案を作るにしても、子どもたちのパソコンスキルを見届けた上でそれに合ったものを作ることが大事です。ネット等にあるようなものを引っ張ってきてそれをそのまま使うようなことは失敗する元なのでやめたほうがいいと思います。
 

M:たしかに既に字が読めることが前提だから算数の文章問題を解くことができますがキーボードの打ち方も分からない状態で指導案通りに進めるのは危険ですよね。

 

Y先生:私が授業をした時の出来事ですが、一番最初にアカウントのログインがあったんですね。その際に小文字の”h”の入力が共通で必要だったんですが、「先生、小文字の”h”はどこにあるんでしょうか?」って聞かれたんです。キーボードには全て大文字で書かれていて小文字ではないため、子どもには分からなかった、ということがありました。
 

M:ああ!確かに”H”は”h”であることは私たちにとっては当たりまえです。

 

Y先生:ここまではできるだろう、という前提で授業を構成するとこういった思わぬことが起こります。ですから、その実態を確認した上で指導案を作る必要があるんです。子どもたちがどこまでのスキルを持っているのか等の情報が何も無い状態でどこかにあった指導案を持ってきてこの通りに進めていきたいです、という話になっても上手く授業が流れていかなくなってしまうんですね。
 

M:なるほど。子どもたちがどれだけICTリテラシーがあるかなんてわかりません。
それらの情報があってこそ、「指導案」を作成できるということなんですね。

 

Y先生:ポイントとしては、「指導案」として作られているのであれば必ず「ねらい」と「評価」が書かれているはずなので、それを確認し、何回の授業でそれに辿り着ければいいのかを考えればいいと思います。
 

M:「ねらい」ですか。

 

Y先生:はい。「その子の実態」をみて、例えば先ほどのキーボードの入力がままならない状態から進めようという場合、今日の「ねらい」には恐らく辿り着けないだろうということはすぐに分かると思います。そのため、「最終的なねらいに辿りつくためにはいくつかのステップがあり、現在この状態なので今回はここまでのステップにしませんか?私が来ない日の授業は特にこの子についてこういうふうに見てあげれば追いついてくれると思いますよ」という子ども重視の対応をICT支援員には期待したいです。
 

M:「指導案」をみて「ねらい」を確認して、なにより「その子の実態」を見たうえで、提案する。とても大切ですよね。ちなみにKさんとTさんは実際に支援現場でそういった経験をされたことはありませんか?

 

K:先生が「ねらい」としてクラス全体のタイピングスキルを向上させたいとの相談を受けたので、指のポジションなど詳細な解説もついているタイピングサイトを紹介したところ、先生が教室のパソコンを開放していつでもタイピング練習ができるようにしたんです。

 

M:すばらしいですね。

 

K:先生が好きでやられていたことなのですが、パソコンが1台しかないので、キーボードを形取ったプリントを作って、それにホームポジションからどの指でどのキーを押すといいのかなどを色付けしたものを配っていました。ただ、その先生はそういったことが好きなのでやっておられましたが、それを他のクラスでやろうとすると他の先生への負担になってしまうのでなかなか難しい。結果、そのクラスだけがタイピングスキルが向上するという形になりました。

 

Y先生:学校特有の悪い癖が出てしまっていますね。先生は自分で教材を作ったりやり方を模索したりすることが多く、自分のやり方というのを強く持ってしまう傾向があります。そのため「共有する」ということをあまりされないのが現状です。可能であればサーバー等を使い、市内全学校で共有する場所を作って教材を共有すればすぐに解決できると思うんですけどね。
 

M:教材共有はとても大事なのに自治体によっては、ハードルが高いこともありますよね。本当に学びになるのか審査があったり、必要書類を出さないといけないとか……

 

Y先生:今だとクラウドで簡単にオフレコで共有できるんですけどね(笑)
 

M:勝手にクラウドで共有したら怒られそうです。

 

Y先生:ただ、本当は自分で作った教材を共有できれば、自分の教材の欠点についても分かるので、見る人にとっても自分にとってもとても良いことなんですがね。
 

M:たしかに……。

 

Y先生:おそらく、そういった教材共有のハードルが高い自治体では共有したい教材だけでなく指導案を添付したりする、という昔からのやり方なのだと思います。そういったしっかりとしたものは1年に1、2回正式に行っていただき、それとは別に実務ベースでの共有方法ができるように考えて頂きたいものですね。
 

M:まさに事件は現場で起きている、ということですね。

 

Y先生:そういうことです。気楽に使えそうならどうぞ使ってください、程度のものでいいんですよ。先生が見て気に入ったんならそれを使えばいい、くらいの気概で共有できるようになって欲しいものです。
 

M:「指導案」と言ってしまうから固くなってしまうんですかね?LINEで「こんなことしたらめっちゃよかったよ!」くらいの感覚で共有できればいいですよね。

 

Y先生:そのとおりです。「指導案」は確かにしっかりしたものでないと外から見たときの体裁が整わないかもしれませんが、「教具」については自由だとおもいます。実はそういった “eTeachers”という全国の先生で作成した教材を共有することができるサイトがあります。そういったものを利用するというのも一つの手ではないでしょうか。
 

M:こういったものを使えると非常に便利ですね。例えばICT支援員として、こういう便利なサイトがあるので一度使ってみることも良いかもしれませんね、という話もできそうですね

 

Y先生:こういった情報を支援員同士で共有しておくことも大事ですね。どんなことがあったのか、といったものや対応内容をイントラネット内で共有されているとは思いますが、こういう便利情報も共有しておくとお互いの資産になり、それがどんどん積み重なってより良い支援員になっていけると思いますね。

 

M:そろそろお時間になりましたので、最後に先生から何か一言をお願いしたいと思います。

 

Y先生:私は終始一貫していて、「子どもによって違う」ということを貫き通して欲しいですね。ICT支援員だからこそできる「本当に子どもに寄り添ったものをやり続けて欲しい」というのが私の願いです。きっと今までとは違った喜びが味わえると思います。10年後20年後にその子どもがITにとても詳しい仕事をするようになって、「おぉ、よく成長したな」と思えるように種を蒔く仕事、国を支える仕事だと思って頑張って頂きたいですね。ありがとうございました。
 

MKTありがとうございました。

 


以上、3回に分けて現場で活躍するICT支援員からY先生への相談を掲載させていただきました。ICT支援員は先生と子どもをICTで繋げる大切な仕事なのだと改めて感じました。

今年度月一で連載をさせていただきましたY先生シリーズですが、ITCE1級のO、現場で活躍するICT支援員のK、T、そしてなによりY先生。本当にありがとうございました。
来年度はGIGAスクール構想が本格運用されます。私は営業、O、K、TはICT支援員として、Y先生は先生として、子どもたちのより良い学びのために連携していきたいと思います。

ICT支援員からの相談②

投稿日 | カテゴリー: インタビュー |

こんにちは、ICT営業担当のMです。今回も前回に引き続き現場で活躍するICT支援員からの相談ということで、支援員歴1年のKと支援員歴4年のTにY先生からアドバイスをいただきます。


M:ICT支援員の在り方について前回は大変感動させていただきました。「よそごと」を「他のことに興味がある」という捉え方、ICT支援員には必要なスキルなのかもしれません。

 

K:ただ、Scratchの授業のときに、YouTubeでゲームの動画を見始めている子がいて、注意したり興味を持ってもらえるように自作のものを見せたりもしたんですが、なかなか興味を持ってもらえなかったということがあり、さすがにプログラミングに関連するものではないと思うので、こういった場合はどうすればよいのでしょうか。

 

 Y先生:さすがにゲーム動画はプログラミングとは全く関係のないものですね。ただ、Scratchですよね?先生が教えることはほとんどないんじゃないでしょうか。ブロックの動かし方、再生方法などの操作説明を10分ほど教えてあげればいいですよね。
 

M:操作説明だけしてあげるということですか?

 

 Y先生:私の場合、最初の使い方について一通り説明を行いますが、次は私と有識者の先生とで共同作成したScratchで動かす問題をどんどん解いてもらう形にしています。例えば最初はScratch上でマス目を描いた背景を用意し、「右に1歩動く」という定義ブロックを作成して予め「Xに50動かす」などのブロックを作って用意しておきます。
 

M:「右に1歩動く」というブロックを実行すれば1マス進むイメージですね。

 

 Y先生:あとは子どもたちに定義ブロックを使用してプログラムを作ってもらいます。簡単な問題であれば右に2歩進めばゴールできるといったものから始め、障害物を置いて進めないマスを作ったり、とあるポイントを経由してからゴールしたりといった問題を解いてもらうわけです。
 

M:なるほど、だんだん問題を難しくしていくんですね。

 

 Y先生:ただこの際に大事なのは、「子ども自身でやらせること」です。子どもに右に1歩をもうひとつ持ってくるにはどうしたらいいの?と相談されたら持ってくる方法を教えてあげればいいんです。進んでいる子どもは繰り返すブロックを持ってきて試してみたりもするわけです。そういう子には「なんでこのブロックを持ってきたの?」と聞いてあげると、「さっきの回転するときに使っていたから、同じように使えば上手くいきそうな気がしたから」と答えてくれるんです。
 

M:すごいですね!

 

 Y先生:子ども自身で考えさせて、どういう考えでその行動になったのか、ということを私たちは拾うだけでいいんです。そのやり方を私の自治体では進めていこう、ということになっています。
 

M:なるほど、ベースを作ってあとは自由に考える。それなら集中してくれそうです。

 

 Y先生:誰でもできるわけではなく、答えを教えてしまう先生もいるんです。「はい、次はこれをやってください」とか言ってしまうんですよ。それでは正直意味が無い。「先生、どうやったらいいんですか?」と聞かれたら「周りの子に聞いてみてね」くらいでいいんです。そうなったら大体の子は興味を持ってやってくれていますね。
 

M:クイズで最初から答えを教えられたら意味がないですもんね。

 

 Y先生:プログラミングを知っている子どもは特にそうです。説明して指示通りにさせたがる先生のやり方では興味をそがれてしまいます。「それなら動画見てた方が楽しい」となってしまうわけです。その解決としては教材の問題と先生のやり方の問題がありますので両方の改善が必要かと思います。
 

M:確かに!ゲーム動画に行ってしまうのは教材や教える側の問題もありそうです。そういった教材になるようなプログラミングを事前にKさんなんかは作っていそうなんですが。

 

K:私が作ったプログラミング教材はどちらかというとルールにしばられた物であった気がします。Y先生の作られている物は点と点と点を用意しておいて、あとは子どもたちが考えてその点をつないでいくという感覚なのだと思います。私も支援員になったばかりの時はそういった感覚でした。しかし、様々な経験をしていくうちに子どもたち目線ではなく授業をこなすことを目的としている状態に無意識のうちになっていた気がします。

 

 Y先生:プログラミングというのは「自動販売機はどういう感じで動いているのかがみん なが理解する。そして、みんなでやる掃除が時間内により綺麗になるにはどうしたらいいのかを考えられるようになる、そんな力を身に付けてほしい」ということを求めているわけで、別段プログラミングツールを使用したりコードを覚える必要はないと思います。
 

M:なるほど。確かにそういった考え方、接し方で授業を行えば子どもたちは夢中になって楽しんで学びを深めることができそうです。

 

K:ありがとうございます。私もそういった意識をもって取り組んでいきたいと思います。

 

M:Kさんありがとうございました。続いてICT支援員歴4年のTさんよろしくお願いします。

 

 T:よろしくお願いします。

 

M:Tさんはもう4年にもなると先生との打合せなんかもお手の物なのかな?なんて思うのですが、現場で困ったことや相談事なんかありますか?先ほどのKさんとY先生とのやりとりも聞いていただいた上で思ったことなんかも聞かせていただければと思います。

 

T:先ほどのKさんとの話の中にもあったのですが、私が普段させて頂いているプログラミング支援には授業計画というレベルまで落とし込んだものではないですが、ある程度の例えば「この時間にはこれができるようになろう」という感じの計画があり、その流れに沿って行っている形になっています。Y先生がおっしゃった基本的な操作方法についての説明だけを行い、あとは子ども自身に自由にやらせる形のスタイルが良いのか、ざっくりとした物でもいいので授業計画があったほうが良いのかどちらが良いと思いますか?

 

Y先生:それは教科の授業であれば明確な計画があったほうがいいです。その方がゆらぎが無くなるためです。ですが、指導内容がざっくりしたもの、IT/情報の授業など含めてそうですが、この場合は多様性の方が重要です。
 

M:多様性ですか

 

Y先生:最たるものとして「道徳」もそうですね。今までの道徳はこうでなければならないという価値観を強制するものでしたが、新しい道徳では討論して色んな考え方があることを確認して終わる、というものになっています。
 

M:今まではルール化されていたものが多様性を認めていく形になっていっているということですね。

 

Y先生:学校の授業の9割5分は「~ねばならない」授業なので、せめて皆さんが関わる授業くらいは自由活発伸び伸びと本来の学びを提供してあげてほしいです。
 


プログラミングにしても道徳にしても多様性を認めていく。確かに大事なことだと思います。ICT支援員として先生や子どもたちに支援できることはまだまだ多いと感じました。

次回も引き続きICT支援員からY先生への相談を掲載させていただきます。

ICT支援員からの相談①

投稿日 | カテゴリー: インタビュー |

こんにちは、ICT営業担当のMです。

コロナ渦で緊急事態宣言が発令される地域もある中、教育現場においては、先生方や子どもたちが大きな負担の中で学びを続けているかと存じます。そんな中だからこそ、先生方、子どもたちの学びのために、ICT支援員の力がより一層必要になると感じています。

そこで、実際に現場で活躍しているICT支援員とY先生の対談を通して、ICT支援員に何が求められているのかを考えていきたいと思います。3回に分けて掲載させていただきますので最後までお付き合いください。


M:Y先生、今回はICT支援員の相談室という形で弊社のICT支援員からの相談を受けていただこうかと思います。

 

Y先生:実際に現場で活躍している方の意見を聞けるということで楽しみにしていました。よろしくお願いします。

 

M:今回はICT支援員歴1年のKと支援員としてはベテランのT、それぞれからの目線があると思いますので聞いていただければと思います。早速ですが、支援員歴1年のKさんからY先生へ聞きたいことがあるとのことで、よろしくお願いします。

 

K:はい。まず、お聞きしたいのが、支援員としてプログラミング授業の支援している中で、「よそごと」をしている子どもに対してはどう接したらいいのか、ということです。それぞれ子どもたちには特性があり、それぞれ違うとおもいます。踏み込んだ対応をその子に対して瞬間で見極めるのは難しいのですが、ちょっとでも何か今以上にその子のためにできることはないでしょうか。

 

Y先生:まず、Kさんが素晴らしいのは子どもによって違うという認識をもっていらっしゃいますよね。それは見事に本質をついています。それが分かっている時点で私は安心しました(笑)。Kさんがおっしゃる通り、子供たちの中でも、初めて会った時に色々なことをする子どもはいます。その時にどこまで踏み込んだらいいのかは教員である私たちでも迷います。
教員でも「こう接してあげたらいいのか」という自分なりの回答を出すのに、小学校だと3日ほど時間が必要ですし、中学校になると担任で1週間ほど、教科担任になると会う機会が減るので1ヶ月程度は時間が必要になるかと思います。
ただ、それは「その教員とその子」との関係性の中で先生が決めた接し方になるので、「支援員の方とその子」との関係性は全く別なものになってしまうため、同じ方法では当然上手くいかないこともあります。実際には時間をかけて接する方法を見つけていくしかありません。

 

M:実際の先生でも時間がかかる。支援員はより接する時間が少ないですよね。

 

Y先生:とにもかくにも大体子どもの7%が発達障害と言われており、クラスに1人は存在する状態です。医師でしか判断できないことを週に1,2回訪問する程度、実際には週に1回接するかどうかという支援員の方が自分で接し方の判断をすることは非常に難しいです。先生と事前の打ち合わせができなかったときは、ある程度の距離を持つことを意識して接していただくことで自分を守るということ、ひいては子供を傷つけないことになります。

 

M:確かにその方がお互いのためなのかもしれません。

 

Y先生:支援員の方に私からお伝えできる術として、「よそごと」をするということは他のことに興味がある、ということです。私たちは「よそごと」と捉えず「他のことに興味がある」という捉え方をしています。なので「何に興味があるの?」と聞いてあげればいいんです。子どもから「こういうことがしたい」と返ってきたものが今やろうとすることに近い、または繋げられるならばその方向で「こういう風にやってごらん」という話ができます。それを授業内、もしくは終了後早い段階で担任に、「あの子がこういうことをやりたいと思っていたので他の生徒とちょっと違う対応をさせて頂いた」という報告を行って頂ければ良いかと思います。

 

K:なるほど。他のことに興味があると考えれば確かに「よそごと」ではないですし、大切なことですよね。

 

Y先生:プログラミング授業のポイントとして、プログラミングは「構築」というワンクッションが入ります。動きをブロック等で構築してから、できあがったものを使ってロボットなりキャラクターなりを動かすという流れになります。触ってすぐに物が動くのではなく、構築のワンクッションが入るので、自分がやったことに対して興味がある子はどんどんプログラミングを追求してくれます。

 

M:ブロック構築のほうが面白いっていう人もいるくらいです。

 

Y先生:そうではない子どもは自分でやった操作が瞬時に分かるもの、色を変えたりキャラクターのサイズを変えたり背景を変えたりというすぐに結果が分かるものにいきたがるわけですね。ただ背景や色を変えることは脱線しているわけではなく、プログラミングをやっていく過程の順番が違うだけなので、「先にやってもいいよ」と肯定してあげてください。「ただし、1つ条件があるよ。君は色を変える/背景を変える/サイズを変えるプロになったんだから今度このことをやるときには周りのみんなに教えてあげてね」って言ってあげるんです。

 

M:その子が興味を持っていることを掘り下げてプロになってもらうということですね。

 

Y先生:そうです。たいていの学校のパソコンではパワーポイントが入っているので、なければクラウド版でも可能ですが、気に入った背景が無ければこうやって自分でも作れてJpegで保存して背景にできるんだよということを教えてあげるんです。ここまでできたらもうプロだねという感じで、その子の興味関心を掘り下げて教えてあげられるよう予め想定しておくことが大事ですね。

 

M:たしかに! 画像を自分で用意するのも一つの技術ですよね。

 

Y先生:実はプログラミングの評価は「構築をちゃんとやっていたかどうか」を評価にしているわけではなく、「興味関心力」を持ってやれたかどうかなんですね。ですので生徒によってやることは違っているけれど一生懸命興味を持ってやれば花丸なんですよ。そうやって生徒の興味に向き合って教えてあげると、次の授業の時には「〇〇先生、好き!」ってなるわけです。そうなったら「次は前にやったことに戻ってやってみようか」とみんなとやったところに戻ってやってみる。そういう感じで進めていけばいいんです。子供に寄り添う、ということは口で言うのは簡単ですが、実際にやろうとするとこういうことなんです。学校の先生でもこういったことができない方がけっこう多いようです。先生はその日にやりたい指導計画があったらなんとかこなそうとしてしまって、そういう他ごとをやる子を異分子として見てしまうことがありがちなのです。

 

M:なるほど、そこまで進めなくてはならないからですね。

 

Y先生:そうです。いわゆる教科の場合は文部科学省が示した学習内容があるので、やらなければならないのもあるので、そうなってしまうのは仕方がない部分もあると思います。しかし、こと情報関係に関して言えばそうはいかない。先ほどの例で例えるなら背景を変えることは実際には論理的思考で行っていますよね。それを良しと私は考えます。別にそれをプログラムを使ってやる必要はありません。プログラミングソフトによってはそのまま背景を変えることができますので、そちらの角度から教えてあげることも良い方法だと思います。
ICT支援員はICTに関わる専門家なので、イメージとして、担任の先生がガイドブックに示された登山道しか知らなくてそれしか教えられない場合に、こんな谷筋を通っても頂上に着けるよということを教えてあげればいいんです。隣の山に今登っているけど尾根伝いに行けばいいや、と思えるかどうかなんです。

 

M:顔の絵を描くときも輪郭から描く人もいれば目から、鼻から描く人もいますね。どこから描き始めてもできあがる形は顔の絵になる、のと同じような感じですね。

 

Y先生:そうなんです。その時に担任の先生と違う専門性を発揮して欲しいですね。こういう風にやってもできるね、と伝えられればOKなんです。

 

M:先生からはこういう順で行う、という流れでないと教えにくいのでしょうか?

 

Y先生:実際はそうだと思います。

 

M:そうなると嫌がる先生もみえると思うんです。先ほど話を頂いたように角度を変えた話もしにくい場面もあるのかな、と。

 

Y先生:その場合は事前に打ち合わせをしておかないと厳しいと思います。もしくはICT授業支援の専門家として支援させて頂いた後に、「違うことやっているよ、と指摘しましたが先生が仰っている流れでの操作ができなかったため、こういったことをやらせてみました。ただ、この道筋でいけば実は先生がやられたいと思っていたことができますよ」と説明して次回授業をされるときに先生がどう指導すればいいのかを理解して頂いた上で勝手な動きになったことを謝罪する形にするかですね。

 

M:なるほど。ちなみにKさんは今まで授業プランを立てて上手く伝わらなかったことはあるんですか?

 

K:ありがたいことに伝わらなかったことはないですね。やはりご多忙だと思いますので打合せができなかったりすることはありますが、聞いていただくときはしっかりとお話しさせていただいております。

 

M:これはコミュニケーション能力の発揮のしどころなのでしょうか。

 

Y先生:コミュニケーション能力というか……そうですね、私がICT支援員に一番期待することは、学校の先生よりICT関係に詳しいプロとして「本当に子どものために寄り添って欲しい」ということです。ただそれはあくまでも子どものためなので、授業の後に「この子の一生懸命なところを担任の先生に伝えなくては」という意識をもってほしいです。Kさんの「この子のためにこう関わらせて頂きました、この子はこういう興味をすごく持っていて、熱心に取り組んでいました」ということを素直な気持ちで伝えることは結果コミュニケーション能力の高さにつながるかもしれませんが。

 

M:なるほど、コミュニケーション能力というかポリシーに近い気がします。

 

Y先生:そうですね。以前のインタビューでもお話ししましたが、ICT支援員が「教育のプロ」になろうとすると辛くなってしまうところがあると思います。熱心な方だと教育学や教育心理学等を始めとした学問を学ばれているとは思いますが、自分が得意な土俵であるICTに関わる仕事をしようという明確なポリシーを持っているのであれば、それをブレないようにしっかりした気持ちを持っていただきたいと思います。

 

M:私の得意な営業の土俵、ICT支援員にとっての土俵。それを軸にした結果、子どもたちのためになるというのが理想ですね。

 

Y先生: ICT支援員は子供にとって最も導きの豊かな先生なのです。なぜならこの時間内にこれを学ばせないといけない、という学習指導要領に固められずに動ける「自由」さがあるのですから。文部科学省は論理的思考を身につけるということ以外は、プログラミングの内容としてこれをしなさい、とは定められていないので専門家として一人一人に合った支援がやってあげられることができるんです。自信を持って楽しんで頂ければいいと思います。

 

K:ICT支援員として授業に携わらせて頂いているうちに段々と「予定通りにやらないといけない」という考えになっていて、なんとか全員をゴールまで導いてあげないと、という気持ちになって子供たちの動き方の筋道を立ててしまっていたなと思いますね。

 

Y先生:子どもたちの動きを決められた枠組みの中に押さえこむ、という教育を行ってしまっているので日本は新しいプラットフォームを生み出す力、GAFA等を生む力が出てこないのではないかと思います。ですが、日本では枠組みの中でちゃんと行動するようになることが逆に「成長した」と感じてしまうことが恐ろしいことです。やりたいようにさせてあげて、本質的な喜びを1人でも味わわせてあげられるようにして欲しいなというのが私の願いです。


ICT支援員目線からの質問はかなり新鮮でした。Y先生のおっしゃった「子どもに寄り添って考える」ということを私たちも忘れてはならないのだと思いました。次回も引き続きICT支援員からY先生への相談を掲載いたします。お楽しみに。

ICT支援員とGIGAスクール構想その6

投稿日 | カテゴリー: インタビュー |

こんにちは、ICT営業担当のMです。ついに全6回中最後の回となりました。

前回は弊社ITCE1級保持者のO の理想の教育現場、ICT機器を文房具と同じように活用する環境についてY先生にご意見をいただきました。学校の環境は無線化が進んでいき、形が見えてきたに思えましたが、家庭でのWi-Fiの有無などにより格差があることを知りました。今回は、その課題についての向き合い方とY先生の理想の教育現場について伺いたいと思います。

 

M             Y先生、前回、家庭でのWi-Fi環境の有無について課題があげられました。
こういった課題に対して私達はどのように向き合うべきなんでしょうか

 

Y先生      子どもの教育というのはやはりこういう環境についての問題が付きものです。
私の担当自治体でアンケートをとったところ、子どもがインターネットに接続する環境が整っていないところは全体の約10%でした。Oさんの担当自治体でさっそくやっていただくとすれば、まずはおっしゃられた「保護者が家にいない時に子どもがメールを確認する環境の有無」を調査するためにアンケートをとっていただくことかと思います。それをすると予算規模が見えてきます。

 

O             そうですね。実は私の担当自治体でも現在調査中です。しかし、学校数も多いので集計に時間がかかっています。Googleフォームなどで実施することも検討していたのですがWeb上に個人情報が上がることに対して条例が厳しいので…。

 

Y先生      個人情報はなくても良いのでは?

 

O             例えば、何々学校の何年、何組、何番だけでも入力するとそれは個人情報なので。

 

Y先生      確かにそうですが、例えば個人に記号だけ渡しておくのはどうでしょうか。多少間違っていても問題ないのでパスワードのようなものをお渡しする。

 

O             はい、私もそう思いますが、やはり紙ベースが一番早いというご判断になりました。

 

Y先生      その発想は残念ですね。

 

O             先生がおっしゃる通り、1対1の対応表だけ学校で所持し「あなたの記号はこれです」という形で実家庭だけでやりたければ、実家庭だけに配れれば一番早いかとは思います。

 

Y先生      内容によっては対応表も不要かもしれません。各学校何%必要かは自治体としては知る必要はないかと思います。全体の何割必要かを知るだけであれば、5桁くらいの暗号一覧表だけあればバーコードみたいに入れておくだけで良いかと。

 

M            うーん…。なかなかそういう動きをしたくてもクラウドが危険とかパソコンが    怖いとかの考え方がまだまだありますから難しいのかもしれないですね。

 

Y先生      私の担当自治体の上層部にもそういった考え方の方はいっぱいいます。本当にそういう方々を動かすのは大変だと思います。個人情報やセキュリティを守ることは本当に大事なことなんですが、個人情報がなんなのか、セキュリティとは何なのかを理解していないままそういうことを言っている方が多いんですよね。

例えば個人が特定できない数字の羅列を入力しアンケートに答えてもらう分には個人情報ではないんですよね。その数字の羅列に対応する名前が無ければ個人情報にはならないのに、それも理解できないから話が進まない。

 

O             各学校のどこの家庭がWi-Fiもっていないのかを知りたかったのでそうなると難しいですよね。

 

Y先生      そこを知りたいと思うところが少しズレを感じます。今欲しい情報は環境を整えるための予算獲得のはずです。であれば欲しい情報はマックスでも、どの地域の環境が少ないかくらいです。つまり、マックスでも学校単位で十分です。“どの家庭に”というのは、実際に動く段階で聞けばいい話のはずです。

 

M            なるほど。いきなり全ての情報を集めようとするのではなく、まずどういう計画でやらなくてはいけないのか、そのための予算はどのくらい必要なのかを固めてから話を進めるべきだということですね。

 

Y先生      そうです。個人情報やセキュリティが厳しくなる原因はそこなんです。いろんなことをまとめてやろうとするから進まなくなる。必要な情報を必要なだけ獲得すればいいんです。

 

M            確かに、例え一気にやろうとセキュリティ、個人情報の取り扱いについて万全を帰したとしても、結局、結果次第でもう一度やらなくてはならないことが絶対出てきますよね。

 

Y先生      そうです。結局レンタルWi-Fiを貸し出したりするときには、面接したり直接保護者に手渡しするなどの動きをせざるを得ないのですから。まずはWi-Fiルータが何台必要でそれには予算がどのくらいいるのか確認する。そのあと、各学校で申し出があった方に貸し出す。環境の有無と申し出の有無は別の問題ですから。

 

M            そうですね。そういう形で子どもたちにWi-Fiルータが届けばGIGAスクール構想での端末一人一台と合わせてきっとよい教育が生まれていくと思います。

そこで、Y先生に最後に伺いたいのですが、前回の対談でも伺ったY先生の理想の教育現場についてです。

AIを活用した教育について大変面白かったので今回も先生が現場でこうあったらいいなぁ。ということを教えていただければと思います。

 

Y先生      まず、「AIに任せることを恐れない指導者になれ」ということです。 先ほどICT支援員に対することでも話した通り、人対人でないとカバーできないことは必ずあります。

やはり、そこのプロに先生はなるべきです。学習指導要領に示された最低限の内容はAIがやってくれる。しかし、それに漏れてくる悩みや苦しみ、それこそ家庭を含めたことはできる範囲は限られますがそういうことに対してもしっかりと寄り添ってあげられる人格教育というか、人間教育というか…そういう先生になっていくことを目指していくためにICTが中心にいてほしい。人よりも合理的なことはAIに任せ、人にしかできないことに先生は注力するようになる。

 

M            確かにそれが理想ですね。

 

Y先生      理想という話をするのであればそういうことになります。ですから先生の数は    逆にたくさん必要になるかもしれませんね。一人でカバーできる範囲が限られてきますし。

子ども相談センターとか児童相談センターってありますよね。あの役割も預かる部分ではそちらに担っていただきたいが初期の助言、アドバイスなどは先生が対応できるようになってほしい。それこそ児童福祉士と教職員免許はセットで必要になったほうが良いのかもしれません。

 

M            そうなると「先生が教える」という世界はなくなるのかもしれませんね。

 

Y先生      「教える」というのがそもそも横暴だと思っています。前回も話しましたがGoogleやWikipediaのほうが教えることについては上手なんですから。

 

M            本当にそういう形が理想だと思います。

 

Y先生      理想というか、もうそういうふうになっていきますよ。

 

M            あ、Y先生の理想もOさんの理想も勝手にそうなっていくということですか。

 

Y先生      というかもうなっていますよね。コロナ禍により子どもたちは家でなにも困らず学んでいますから。そのなかで分からないこととか、不安なこと、相談したいこととかがあるから双方向型リモートで対応したりしていますよね。そこの部分は人しか無理です。Googleは不安感までは払しょくしてくれませんから(笑)

 

M            コロナ禍の中で勉強しないとかそういうことはなかったんですか?

 

Y先生      これは、少し恐ろしい話なんですが…家庭の差です。ある地域なんかはこのまま学校が無い方がいいなんてことを言います。これは親が子供の成長、学びにしっかり関わりながらやっている家庭ではむしろ関われる時間が増えたので幸せな時間が増えただけだからです。

 

M            ああ、確かに。

 

Y先生      学校を子守の場所としてしか考えていない家庭では子どもがいることが苦痛でしかないかもしれません。学びに関わっている家庭の子供はコロナ禍があろうがなかろうが、逆に充実することはあっても困ることはないでしょう。そういう子どもは学校ではミニ先生みたいに頼りにされたりします。「ちょっとあの子みてきて」みたいな感じです。すると学びをより深めていくんですよ。

現在の教育の格差は、確実に家庭の格差となっています。そして日本はどんどんこの格差が広がっています。

 

M            おっしゃることはわかります。確かにコロナ禍により、より浮彫になりました。

 

Y先生      そうですね。以前、お話ししましたインターネット環境がない家というのはそういう家庭だったりします。

 

M            ああ…確かに。今インターネット環境なんて月何千円って世界ですよね。お金の事情ではない。インターネットなんて必要ない!という考え方が変えられない人は確かにいます。

 

Y先生      まったく別の理念でやっているかたはいいんです。例えば手に職とかそういうICTとは違う価値観でしっかり子どもと向き合って教育されている方です。

そういう専門の職業ですね。しかし、そういう方は学校に頼りません。それこそ学校がないので畑作業に専念できるとか漁師として魚を捕りに行くとかそちらに時間が使えますから。

 

M            たしかに!それはそれで必要な職業ですし、生きていくための知識ですよね。

 

Y先生      その先のICTの理想は、そういった家庭と子どもの隙間を埋めてくれたらいいなと思います。それがそもそも、ITにCが付いた要因ですから。ICTが時間と距離を縮めてくれる。例えばリモート会議なんかは東京、名古屋間を埋めてくれます。

 

M            親子のコミュニケーション不足もリモートで解消できるかもしれません。

 

Y先生      そうですね。そして、こういう隙間を埋めることで教育の格差も埋めるチャンスがあるのかなと思っています。ぜひ、ハイパーブレインさんにはそういったソリューション作りをお願いしたいです(笑)

 

M            そうですね。いやー、今回も本当に面白い話を聞けました。Oさん、Y先生本日は貴重なお時間をいただき誠にありがとうございました。

 

O             本当にモヤモヤしている部分がY先生に言語化していただきクリアになりました。ありがとうございました。

 

Y先生      私も楽しくお話しさせていただきました。本当にありがとうございました。

 

今年はGIGAスクール構想やコロナ禍による影響でICTに対して変化が問われる年となりました。タブレット一人一台、リモート授業、ICTがより身近になるにつれ変化に対応できない、対応したくても事情により対応できない先生や家庭は確かに存在しています。

Y先生の話を聞き、私は営業としてこういった状況の中、そういった方々も十分にICTを活用できる、様々提案をしていきたいと思いました。なぜなら、その方々の前には子ども達がいるからです。

Y先生は「教える」より「学ばせる」ことを意識してほしいと言います。私もその通りだと思いました。今回の対談で私たちハイパーブレインの仕事は子どもたちに「学ばせる」環境や状況を作ることなのだと改めて感じました。

 

対談を全6回にわたり、連載させていただきました。

お付き合いいただき、ありがとうございます。

また何より、この度の対談にご協力いただきましたY先生に心よりお礼申し上げます。

2012

ICT支援員とGIGAスクール構想その5

投稿日 | カテゴリー: インタビュー |

こんにちは、ICT営業担当のMです。今回で全6回中5回目の連載になります。

前回はICT支援員目線の理想の教育現場について弊社ITCE1級保持者のOよりY先生に伺いました。タブレットなどのICT機器を文房具として活用する教育現場、かなり難しいことな気がしていましたが、Y先生の風呂敷理論によって自然にそういった形になっていくというご意見をいただきました。今回もその辺のお話をY先生に伺っていきたいと思います。

 

M            前回、タブレットを文房具として活用するというOさんの理想の教育現場についてご意見をいただきました。Y先生の風呂敷理論。大変面白かったです。本当に課題が山積みだと思っていましたが、GIGAスクール構想によりOさんの理想の教育現場は既に目の前に来ているんですね。

 

Y先生      そうですね。タブレットを当たりまえに持つ子どもたちは困らず迷わずどんどんリテラシーが上がっていきます。その際、ICT支援員の方には、以前お話ししましたが、子どもは一番その授業が苦手な子から伸ばしてあげてほしいです。

そして、大人は一番リテラシーの高い人間を徹底的に支援してあげてください。

子どもと大人は真逆なんですよね(笑)

 

M            本当だ!面白い!

 

Y先生      なぜなら、大人を変えることは大変ですが、できない子どもが豹変することは普通にあることなので、結果、できない子どもに寄り添うことが風呂敷理論を具現化するのです。目の付け所は真逆ですが大人も子どもも同じ風呂敷理論なんですよ。

 

M            これってビジネスでも絶対使えますよね。

 

O             先生への対応について、すごくクリアになりました。ありがとうございます。

では、保護者や地域の方々に対してはどうでしょうか。例えば先生が学校のホームページで案内を出しましたが、保護者の方から見られないなどの問い合わせが学校に対して多くあるそうです。先生ではそういった質問への対応は難しく大変困っているとお問合せが数多くあります。保護者や地域の中には「ブラウザって何?」という方もいらっしゃるでしょうし。もう少しICTのリテラシー向上を目指したいところですが学校からのアプローチには限界があると思いますがどのように思われますか?

 

Y先生      まず、そのパターンだと学校側ができることとしてはURL付きのメールを送信  して、タップもしくはクリックだけでホームページが見られるようにするとかで しょうか。

 

O             はい、それもそうなんですが、例えばそのメールは保護者が受信しますよね。その保護者が家にいない時に受信し、子どもにそのメールを開かせたいという時に子どもはパソコンもスマホも持っていないと、それを学校に「どうすればいい?」と問い合わせるそうなんです。

 

Y先生      それは(笑)もうたった一言、無理ですと答えるしかないですよね。

 

M            やっぱりそうですよね…。

 

Y先生      それはもう物理環境ですからね…。だれもどうしようもないですよ。Oさんの   立場から担当されている自治体に助言をするならば、レンタルWi-Fiなどを提案するしかないですよね。今回のコロナ渦の助成金でそういった環境を整えていただくことを提案されてはどうですか?と自治体に助言するとか、そういった案内をDVD化して配布するとか物理的な問題はお金かけるしか方法がないですよね。

 

M             GIGAスクール構想により一人一台端末を持てば先ほどのメール問題は解決しそうなんですが。

 

Y先生      それだけでは無理です。Wi-Fi環境など電波環境がないところだったら。

 

M            ああ!そうか…。Oさんの知る自治体ではLTEモデルではないんですか?

 

O             はい、Wi-Fiモデルなんです。

 

Y先生      ですよね。コストが全然違いますから。まぁあと少しだけでやれることがあるとすれば各自治体には避難所やコミュニティセンターがあると思います。そこになんとかしてフリーWi-Fiとまでは言いませんが、子どもたちが困ったときに活用できるアクセスポイントを作ってもらえないか相談するくらいです。そういった施設は必ず徒歩圏内にあるはずですし。

 

M            そういうインフラが整っていない地域に対して電波をカバーするフリースポット的なものを導入するとかTVで見た気がします。

 

Y先生      そうなんですよ。インフラが整っていないところのほうがこういう動きは速いかもしれません。無線Wi-Fiとかだと電波法とかも考慮しなくてはならなくなりますがね。インフラについては本当に支援員や教員ではやりようがないです。

ですが、実は子どもたちはどこにフリースポットがあるかを知ってたりします。

メールを見に行くだけならコンビニとかでファーストフード店なんかで見ることはできますよね。何年か前だと「あの家からWi-Fi漏れててパスワードなしで使える!」なんて情報網があったりしたみたいですよ(笑)

 

M            子どものほうが上手に電波をつかってますね(笑)

 

Y先生      本当にあった話なんですが、とある家の前に小学生が何人も毎日集まっていて    その子たちを何とかしてほしいという連絡が学校にあったんです。担任が事実           確認をしたところその家からWi-Fiが出ていてパスワードもかかっていないため       利用するために集まっているということが判明したんです。それは流石にパスワードもかけず電波垂れ流しにしているのが悪いところもあるので、その方に協力をお願いしてパスワードかけていただかないと話が進まないよと指導したことがあります。

 

M            それなら、子ども110番の家みたいにWi-Fi110番みたいな感じで自由に使わせてほしいですよね。あーでも、そういう形になると面白いですよね。セキュリティとかとりあえず置いといて、自治体内で協力し合って、子どもたち専用のWi-Fiスポットボランティア活動。協力していただいた世帯には回線料の半分を自治体が負担します!みたいな。

 

Y先生      いまもあるかわかりませんが、そういった話はありました。協力してくれれば

無料で回線ひきますよ!とかですね。同じような形で、これは住宅密集地でないと使えませんが、例えば隣の家のWi-Fiを月に500円くらい支払うからこの子のこの端末だけ使わせてもらえませんか?とかですよね。その方に設定できるかわかりませんが、「何時から何時までこのゲストSSID使っていいよ」とか最近のアクセスポイントならできそうですよね。そこまでリテラシーが高い人たちばっかりだと話は簡単なんですが(笑)まぁやれるやれないは別として理論的にはか可能ですよね。

 

M            そういうことってできないんですかね?例えば何々市の市長さんが市で回線料金を負担するので子どもたちの教育環境を提供してあげください!みたいな。

 

Y先生      市が料金を負担してくれるなら可能かもしれませんね。市がプロキシサーバを立てて市民ネットワーク的なものを導入するとか。ただ、各家庭に回線を引っ張ってこなければならないので、そんな予算があるならLTEモデルにしますよね(笑)

 

M            確かに。

 

Y先生      そうやって考えると必要なものというのは端末よりWi-Fi環境だと思います。

端末はそれこそスマホの普及や親せきの古いタブレットをもらうなど用意することはそこまで難しくないし、学校から貸し出すこともできますから。

 

確かにGIGAスクール構想によりタブレットを子どもたちが一人一台を持つこととなり、これから教育が変わっていくのかと思っていましたが、電波の問題があります。Wi-Fi環境の有無によって教育格差が広がっていく。これをなんとかしなければ文房具として学校で使えても家庭で使うことが難しいです。何よりも課題はそこなのかもしれません。次回はその課題に対する向き合い方とY先生の理想の教育現場について伺いたいと思います。

2011

ICT支援員とGIGAスクール構想その4

投稿日 | カテゴリー: インタビュー |

こんにちは、ICT営業担当のMです。全6回のうち、4回目の連載になります。

前回まで、ICT支援員の在り方について、現場目線でのご意見やご要望をY先生よりいただきました。ICTについてリテラシーが高いことは当然。それに加えて児童心理学や育児に対する知識が必要。ICT支援員に求められることは多くあることを知りました。

今回は弊社ITCE1級保持者のOの理想の教育現場についてと、それに対するY先生の見解を伺いたいと思います。

 

M            前回、ICT支援員について沢山のご意見、ご要望をY先生にいただきました。私達はICTに対する知識を伸ばしていくことに重点を置くべきだと考えていましたが、児童心理学や育児の知識が必要だということが何より重要であることを知りました。本当にありがとうございます。

 

Y先生      こちらこそ、ありがとうございます。

 

M            今回から、ICT支援員目線での理想の教育についてITCE1級のOさんに伺いそれについてY先生よりご意見をいただければと思っています。早速ですがOさんにとって、理想の教育現場いうのはどういった形なのでしょうか。

 

O             GIGAスクール構想でのタブレット一人一台にしろ、スマホにしろそういった端末をノートや鉛筆と同じように文房具として使われている環境というのが最終形態なのかなと思っています。しかしそこには一足飛びでは行けないので、どのように段階を踏むのが良いのか考えています。子どもたちが問題ではなく、寧ろどちらかと言えば先生、保護者、地域の人のICTリテラシーが向上しないといけないのかなと。Y先生はどのようにお考えになりますか?

 

Y先生      なるほど。ちなみにICT機器を文房具のように使うということを文部科学省が   いつから言っているのかご存じですか?

 

O             かなり前から言っていますよね。情報活用能力についてはもう30年ほど前では  ないでしょうか?

 

Y先生      その通り、明記されたのが昭和64年。それから30年以上たっても現状です。 ここで、なぜノートのようにならないのか?という視点が重要です。結局、まずパソコン教室に行かなければならなかった。そんな時代だったということです。しかしGIGAスクール構想により一人一台のタブレットが来るとここに必然が生まれてきます。新しいデジタル教科書もWebブラウザとなり、一人の手元に行きやすくなりました。放っておいても先生たちが取り残されるだけでおっしゃるとおり子どもたちは変わってくると思います。家庭では既にやっていたりしますからね。そして、今回のコロナ渦ではっきりしてしまったんですが「学校にいかなくていい」ということです。私は正直これは正解だと思っています。

実は既に表向きには「コロナが怖い」という理由で学校に来ない子どももいます。

 

M            そういう子どもの成績とかはどのようになるのですか?

 

Y先生      文部科学省がそういった場合の代替を認めると言っていますのでレポートなんかを提出すれば1や2はつきませんよ。

 

M            そうなんですか!しらなかった…。

 

Y先生      先生たちのリテラシーを上げることに関しては私も努力してきましたが、はっきり言って無理です(笑)中学校は割とリテラシーの向上をしていく必然がでてきていまして、教科担任制なので情報共有という必然があり、様々なICTのソリューションを利用していくことで合理化されていくと思います。しかし、小学校は非常に厳しいです。完全に学級王国になっていますので。つまり、無理なものを無理してはいけません。先生方の講習会などに参加するとわかりますがリテラシーを上げようとする先生は放っておいても上がっていきます。上げようとしない先生は何をしても上がりません(笑)

 

M            なるほど…。どうしようもないんですね。

 

Y先生      人対人の中で全員が自分の考えを自分の思い通りに考えてもらえるなんてことはありえないんです。何かの行事を行うにしてもその行事に価値観を持てる子もいれば、体育祭や運動会などでは「運動嫌い!」とモチベーションが上がらない子もいます。そんな時、私は「風呂敷理論」というものを使っています。

 

O             「風呂敷理論」ですか。

 

Y先生      はい、風呂敷をテーブルの上に広げてどこか一端をつまみます。つまんだ瞬間はその箇所が少し上がるだけですが、それを思い切り引き上げると全部上がりますよね。これです。

 

O             なるほど!!

 

Y先生      リテラシーをあげたいところの先生にリモートの支援も含めて徹底的にあげてしまうんです。

 

M            風呂敷を上げると確かにつまんだところを発端に周りが上がっていき最終的には持ち上がりますよね。

 

Y先生      そうです。つまり、無理な人に上げてもらうことというのははっきり言ってかなり無駄なんです。

 

O             リテラシーを上げたい先生の高みを目指すことを「先生、こういう方法もありますよ!」という形で徹底的にご支援させていただくということですね。

 

Y先生      そうです。例えば、「ハイパーブレインの研修室でこういうことを19時から教職員向けに研修会を開いているのでよろしければ参加しませんか?」なんてことをしていくと効果的だと思います。

 

O             いいですね!!

 

Y先生      そして、その人のリテラシーがどんどんあがっていき、その人のクラス凄い!その先生に関わった子ども、保護者がすごい幸福感に満ちているとなれば、次に「興味はあったけど一歩踏み込めなかった」先生が巻き込まれていきます。最後にどうしてもそういったことを認められず、受け入れることができなかった先生は落ちこぼれていきます。それは自己責任ですね(笑)

 

M            まぁ確かにそうですよね…。

 

Y先生      仕方ないじゃないですか、教職員という特殊な人間は一筋縄ではいかない。理屈も通用しませんし、法律も通用しないんです。ずっと言っていますが独裁王国です。これは歴史にあるとおり、滅ぼすしかありません。先生や子どもを滅ぼすわけではなく、王国として滅ぼすという意味です。滅ぼす方法として一番被害が無いのが人海戦術で取り囲んで兵糧攻めにするしかないです。

 

M            まるで孫氏の兵法ですね(笑)

 

Y先生      無理やりに戦えばお互いケガをします。そういう方とは戦わない。その代わりに理解者を増やしていき、結果的にその人が「自分もやらなくちゃ」と変わってくれることは本当にすごいことなので、その時は何十倍も支援してあげてほしいです。

 

O             はい。もちろんです。

 

Y先生      先ほどからあえて結構きつい言葉を使っていますが、そういった先生に対して拒絶ではなく待ってあげる心をもってほしいです。

 

M             Oさんの理想の教育現場、未来の教育現場は今の話だと必然的にそうなっていくってことですか?

 

Y先生      なっていきます。すごく割合的には少ないですがそういったリテラシーが高い先生と具現化していってもらえればと思います。ある一つのクラスでも、そこから広がっていった学校でも、そこで徹底的に実行していってください。

 

“風呂敷理論”、また新しい考え方を教えていただきました。なるほど、確かに私も経験上、周りに引き寄せられ伸びていくことがありました。それは尊敬する先輩や友人以外でも、いくらその人間が苦手であっても素晴らしいことがあれば真似したり、参考にしたり。ICTを文房具にする未来もそういったことの積み重ねで現実的になっていくのかもしれません。次回も引き続きOの理想の教育現場についてお話ししていきたいと思います。

2010

ICT支援員とGIGAスクール構想その3

投稿日 | カテゴリー: インタビュー |

こんにちは、ICT営業担当のMです。今回は、全6回の3回目になります。

前回、Y先生よりICT支援員として持っていてほしい知識として児童心理学という分野を教えていただきました。以降、私も少し調べてみましたがなかなか奥が深い!

今回も引き続き私とOとY先生でICT支援員についてお話ししたいと思います。

 

M            前回は驚きました。ICT支援員はICTの知識などを求められるかと思いましたが寧ろ、子どもたちへの見方や接し方をご指摘されるとは。ただし、そういった心理という分野は難しいですね。

 

O             授業の見方にしろ、子供の様子にしろ、凄腕の解説者が一緒にいて指導を受けられれば、それはすごく良いことだと思います。

 

Y先生      もしよろしければ私が担当している自治体をハイパーブレインさんの実習に使ってもらってもいいですよ。マイクロバスで来てもらって(笑)

 

O             もちろん、先生が解説していただけるんですよね。それ本当に実現出来たら支援員も貴重な体験ができますね!

 

Y先生      私は立場上担当自治体のどの学校で教鞭をとっても良いことになっていますので「今日はお手伝いの先生が来ているよ」とできます。ぜひご検討ください(笑)本当にそういった実習を2,3回やったら良いと思いますよ。このようなお仕事でやめないで続けられている方々は間違いなく人が好きで子供が好きな方だと思います。そういう経験をすればきっと様々なところで役にたつのではないかな。

 

O             そうですね。本当にそう思います。ところで先生的には先ほど発達段階の知識とおっしゃっていましたが、なにかおすすめの本などはありますか?

 

Y先生      知識としては必要だと思いますが、そこまで本格的なものである必要はないと思います。そうですね…では、私が初任者指導で活用している資料をお渡ししますのでぜひご活用ください。

 

O             本当ですか!?ありがとうございます。

 

Y先生      最初はその程度のところをちょっとだけ意識していただけるだけで、実感が全然違って来ると思います。「今日あの子がこんな声かけてくれたことがうれしい」「こんなふうにできたのがうれしい」などを感じられるようになれると思います。

 

M             Oさんは担当されている新人のICT支援員を実際にそういった、教育現場で研修行ったりする機会はあるんですか?

 

O             去年から指導主事の先生にご指導をお願いしていまして、実際に指導主事の先生に担任の先生役をやってもらい、支援員が話しかけるロールプレイングを行いました。結果的には、Y先生がおっしゃる通り、効果てきめんで良い経験を得ることができました。

そのことから、やはりそういった学校現場を、そして自治体の教育方針をお判りになられている先生にご指導いただくことはとても良いことなんだと改めて実感させていただきました。もちろん今年度もお願いをする予定です。

 

Y先生      そうですね。そのような研修をやっていくことで効果を感じられるのであれば    やはり人、子供が好きな方が多くハイパーブレインさんにはいらっしゃるの    だと思います。そういったベースになるような機会をちょっとだけ設けていただくだけでも全然違うし、良い方向に進むと思います。

 

M            では、Y先生からICT支援員に対する知識以外の要望はなにかありますか?

 

Y先生      私ははっきりしていて、ICT支援員を仕事にされている方は既にリテラシーが高い方が多いのだと思っています。Offce系ソフトはこうすると良いとか、プログラミングであればScratchなどはこうやって操作するなんてことは当たり前に知っていらっしゃるのだと思います。そこでICT支援員に一番求められるスキルは、「子供と学ぶとはなんなのか。」ということです。結局そこが全て。

 

M            子供と学ぶ…ですか…。

 

Y先生      そうです。子供たちの学び方や、子供たちの変化は私でもいまだに「こうなんだ!」と気づかされることがあります。そうした時に感動であったり、喜びであったり値打であったり、と価値づけられる感覚をもっていてほしいと思います。どんな学校、どんな自治体、どんな先生であってもベースは子供なんだという感覚をもっていることが一番大切です。

 

O             なるほど!先生をご支援する、先生に伺う、という感覚ではなく子供と一緒に学んでいくという感覚ということですね。

 

Y先生      そうです。ICTで支援していこう!先生をご支援しよう!という感覚だと先生も支援員もどうしても辛くなっていくと思います。そうではなく、もちろん先生に求められれば支援するけれど、求められなければほっておく、先ほども言いましたが私達は「今やっているこの授業で子供たち少しでも良い思いをしていただく」という感覚を忘れてはいけません。

 

M             ICT支援員というのは先生の支援をするというイメージでしたが子供たちの支援をしていくということなんですね

 

Y先生      その表現では少し注意が必要なんですが子供たちの支援をするということは先生の支援をするということになる、ということです。ICTを理解したい先生にはどんどん関わっていただき、このICTの時代にそれを理解できない先生にはその子供に関わっていく、という感覚が結果理解できない先生の支援になっていくということです。

 

O             なるほど、もやもやしていて言語化できない部分が言語化されて腑に落ちました。

 

Y先生      ところでICT支援員の方は、学校に行く子どもたちに「先生」と呼ばれているのですか?

 

O             はい、呼ばれています。

 

Y先生      では絶対にわすれてほしくないのが「ICT支援員も子どもたちにとって先生」で あることです。そして「ほめる」ことを「おだてる」や「こびる」ということと混合しないように注意してください。

 

M            うーん…。そのつもりでも、難しいことですね。

 

Y先生      すごくわかりやすく、簡単な方法として「がんばった」を禁句にしてください。それだけで支援員の質が変わってくると思います。

 

M            「がんばったねー」って良くないんですか?

 

Y先生      具体性がないからです。「がんばったね」という包括するような言葉を使うとその子供が支援員の方と何をやったのかの実感が湧かないからです。支援員はICTの専門家なので先生の気づかない価値観、例えば「キーボードの操作が早くなったね!」とかそういった具体性を持った言葉を使うと良いと思います。

 

M            確かに!これはビジネスというか会社の新人社員にも言えるかもしれませんね!

 

Y先生      そうですね(笑)全然変わってくると思いますよ。

 

O             「今日がんばったねー!」ではなく「今日はホームポジション上手だったね!」と言ってあげるということですね。

 

Y先生      そうそう!もっと細かくてもいいです。「あそこから戻ろうとしたね!」とか、それが間違っていてもいいので「ホームポジションに行こうとしたじゃん」とか「それ上手くなるよ!」とか。

 

M            なるほどなー。そうなればお互い楽しくなりますもんね。私も上司に「がんばったね」と言われても「あー多分、分かってないなー」と思います。

 

Y先生      Oさんに具体的に言ってもらえるように頑張ってください(笑)こういうことは役割分担なんだと思います。メインに教壇に立つ先生がいて、支援員の方はあくま    で支援員なんだから目の届きにくい子どもたちの動きに心を配らせて数秒でも子供に「今日楽しかった!」という瞬間があればきっと楽しく支援員をやっていただけるんではないかと思います。

 

今回はかなり具体的に子どもたちへの接し方をご教授いただけました。”褒める”と”おだてる”を混合する。私も営業する中でどうしても”おだてる”ことをしてしまっていた気がします。もう少し具体的に”褒める”を意識していきたいと思いました。次回はOの理想の教育現場について伺いたいと思います。

2009

ICT支援員とGIGAスクール構想その2

投稿日 | カテゴリー: インタビュー |

こんにちは、ICT営業担当のMです。今回は、全6回中2回目になります。

前回はOよりY先生に忙しくてICT機器に触る気力のない、結果的にやる気のない先生に対しての対応“について伺いました。やはりそこには先生の質に対する問題が挙げられました。今回は前回に引き続きICT支援員はどのように支援を行えばよいのかをY先生に伺っていきたいと思います。

 

M            前回、ポストコロナで様々な分野でICTが台頭していくなか、ICTに関わることが難しい先生が多くいる。そういった変化する価値観を受け入れることが難しい先生に対して考えるよりも、目の前の子供たちのことを考えた方が良い。とのことでした。確かに、そのように考えていくのが健全な気がします。

 

Y先生      そうです。私達の中では「この一時間でこの子が気づいてくれれば良い」という考え方があります。年間千時間以上ある授業の中、全部納得できることなんてありえません。そうすると何も価値のない授業にしないためには、せめて「こないだあんなこと言っていたあの子がこの一時間でこんな風に言ってくれたらうれしいよな」ということを想定して授業を行います。支援員の方も同じような感覚で、最初は観察だと思いますが、2回目3回目と伺える関係性があるならば、納得がいく授業ができなくても「あの時あまり興味を持ってもらえなかったあの子が今日はあんなにウキウキしてくれている!」という風に考えていただければ皆が幸せになっていくのではないかと思います。

 

O             支援員も先生方と同じような心がけが必要ですね。

 

Y先生      もし、その次に心がけていただくとすれば、そのような形で種を撒いていただいた子どもを同じ形で増やしていくと、次へ次へと一人ずつ同じことをしなくてはなりませんので、2、3人ほど増えた段階できっかけだけ作ってあげて、「あとあの子と一緒にやってごらん」と協働で学習してもらうようにしていただくとより良いかと思います。そういうことを続けていくと、子供たちからO先生がいい!という声が出てくるかもしれません(笑)

 

O             なるほど。ですが、例えば「子供たちのことは私が一番分かっているんだ!」というタイプの自負の強い先生の時に「O先生がいい!」という風になると「あいつが来たせいだ」ということを言われたことがあります。

 

Y先生      そういった場合の対策があります。クラスで一番その授業が苦手な子供を見つけます。教室内を走り回って授業を聞いてくれなかったり、やる気がなかったり、目立つ子が絶対にいます。そういった子に気づいた段階でその先生に「ちょっとあの子の支援にいきますね」と一言声をかけて付きっ切りで授業をしてください。

 

O             なるほど!そこから広げていくんですね。

 

Y先生      そうです。そうすると隣の子が興味をもって「何してるの?」と絶対に言って    きます。そもそも支援員という立場なのであれば支援に徹すれば良いんです。

 

M            そういうことですか…。丸投げの先生であれば楽しく授業やればいいし、メインで立ちたい先生であれば支援に徹すればいいんですね。

 

Y先生      そうです。事前に打ち合わせだけしておきます。「なにか今日の授業でお困りなことあります?」とだけ聞いておいて、「ない」と言われたら「では支援させていただきますね」とだけ言っておけば良いです。

 

O             なるほど、では、その事前の打ち合わせのタイミングについてなんですが、例えばある自治体だと、FAXで事前にある程度の情報をいただいた上で、その日の朝に現場で伺い打ち合わせを行っていますが、事前打ち合わせが一番しやすいタイミングはいつだと思われますか?

 

Y先生      Oさんがおっしゃるタイミングが丁度だと思います。そこで何かを言われれば   コミュニケーションをとっていけばよいのではないかと。そもそもそういった打合せは短い時間で十分だと思います。あれやってこれやってと詰めようとすると、お互い辛いんじゃないでしょうか。子供は生ものなのでその時その時の気分で変化していきます。打合せが通用しないことが多いですから。逆にそういった気分の変化は「いつも元気なのになにかあったの?」といったコミュニケーションにつなげることもできますし。そうすると自負の強い先生から睨まれるので、「あ!すいません!」と笑顔で返してもらえれば良いかと(笑)

 

M            うわぁICT支援員って難しい仕事じゃないですか

 

Y先生      そうですよ。支援員に対して私は教育実習生として考えていますから(笑)

 

O             ICT支援員に対してそういった見方、考えをもっていただいて本当にありがたいです。しかし、ICT支援員は教員免許をもっていない者も、養成課程の勉強もしていない者も多くいます。そこで、先生がICT支援員に最低限もっておいてほしいスキルというか、勉強しておいてほしいことはありますか?

 

Y先生      ちょっとだけ勉強しておくと絶対いいものがあります。それは児童心理学です。

 

O             なるほど!

 

M            そんなのあるんですか?

 

Y先生      児童心理学の中に発達段階というのがあり、このあたりのことをちょっとだけ    勉強しておくとよいです。Mさん一緒に講習会にいきますか(笑)

 

M            ぜひ

 

Y先生      いや本当にそういうベース知識が必要だと思います。そして、次に目線であったりとか立ち位置であったりとか、そういった教員免許の有無に関わらず子供と関わるうえで必要な知識、イコール育児の知識ですね。これは、今は色々な育児の雑誌がありますし、そこから学べることも多いかと思います。

 

M            児童心理学に育児の知識ですかぁ…。難しそうです。

 

Y先生      言葉よりも態度や表情のほうが、小さければ小さい子ほど情報量が多くなります。

 

M            しかし、そのように児童心理学や育児の知識を得て、子供たちから人気がでるほど自負の強い先生からは「なに気に入られてるんだ」と嫌われてしまうような気がするんですがどうなんでしょう…。

 

Y先生      それがですね、独裁先生の特徴として自分が距離感を感じている子供と仲良くなってくれることは喜ばれる可能性が高かったりするんですよ。8、9割の確率で喜ばれると思いますよ。

 

M            えー!?

 

Y先生      なぜならその先生は自分の思い通りに動かしたいわけです。思い通りにならない子をその時間は支援員が見てくれるのだからありがたいに決まっているんです。

 

M            あー!先ほどの「クラスで一番その授業が苦手な子供」を見つけることはそういったことにもつながっていくんですね。

 

Y先生      そういうことです。そしてそういった子供を見つける目を養うために児童心理学や育児の知識が必要になってきます。ただ、やはりこういった知識はなかなか身につけることが難しいですね。教育実習生の人にも「こういった行動をした時はこういうことである可能性が高いからね」とか逐一教えて身に着けてもらっています。

 

児童心理学!恥ずかしながら初めてそういった分野があることを知りました。確かに子どもと接する私達はそういった知識も併せて持つ必要があるのかもしれません。今回はここまでです。次回もお楽しみに。

2008

ICT支援員とGIGAスクール構想その1

投稿日 | カテゴリー: インタビュー |

こんにちは、ICT営業担当のMです。
夏が始まり、これからGIGAスクール構想の動きもどんどん活発化し、導入の早い学校様は既に児童生徒が一人一台のタブレット(PC)を持っている。そんな状況下であると存じます。
そうなると、これから大事になるのは『このタブレットをどう学習に活用するか』だと思います。つまり、ICT支援員の活躍が必要不可欠であるということです。

そこで、今回もY先生にご意見をいただきました。しかし、私はあくまで営業のため、ICT支援員の細かい悩みや意見はわからない部分もあります。

そのため、今回は弊社のITCE1級保持者であるOを交えての対談を行い、それを皆さまにご紹介できればと思っています。全6回に分けて掲載させていただきますので、ぜひ、最後までお付き合いください。
 
M            先生、今回もよろしくお願いします。今回はICT支援員について伺いたく、弊社ITCE1級のOから何点か相談をさせていただければと思います。
 
O             Y先生、よろしくお願いします。
 
Y先生      Mさん、Oさんよろしくお願いします。
 
M             さっそくなんですが、Oさん、何か質問や、お聞きしたいことがあればお願いします。
 
O             はい、私達、ICT支援員が現場で先生とのやりとりの際、忙しくてICT機器に触る気力のない、つまり、結果的にやる気のない、という先生もやらざるを得ない状況になってきていると思います。そこで、そんなやる気のない先生をやる気にさせることはできるのでしょうか
 
Y先生      私、個人でお話しさせていただくとはっきり言って見捨てています(笑)
そもそも、そういう方は先生をやっていてはいけない。
ICT、デジタル化が進む世の中で、大学を出ていきなり先生と呼ばれて自分の価値観が全てである学級王国の中で長年生きている。考え方を変えられない先生というのはある意味歴史上の独裁者と変わらないと考えています。
元のベースがそれなので、そういう先生にとって相手が子供たちであろうと保護者であろうと、それが日本の法律であろうと自分のほうが上位に来る感覚の持ち主なんです。なので私の感覚の中ではそういう方にはやめていただくしかないというのが正直なところなんです。(笑)
 
M            な、なるほど……。
 
Y先生      ですが、目の前の子供たちを放っておくわけにはいかない。では、実際どうすればよいのか。私がやっているのはとにかくその方と事前に話をすることです。その方がやりたい授業であったり、いつも大事にしていることをとにかく掴んでその方向性で「こうするともっと合理化しませんかね?」と。
「合理的になります!」はもうアウトだと思います(笑)
 
M            たしかに、押し付けられた感がでてきてしまうかもしれません。
 
Y先生      そして、私が極力気をつけているのが、そんな時はなるべく複数を提示するようにしています。最低でも3つくらい。
「~なんですが合理化するならA、B、Cプランがありますがどうされます?」
というような感じで。他にも私は教職員だからできるのかもしれませんが、”遠隔操作”という方法を使っていたりします。そう呼んでるだけなんですが(笑)
 
M            遠隔操作ですか?
 
Y先生      はい。私もどうしてもそういった先生に動いていただかなければならなかったことが何度かあります。何を言っても聞いていただけない時、一番先生を動かせるのは実は子供なんですよ。その学級の子供たちと人間関係をガッツリ作ってその子たちから言っていただく。これが一番確実な方法です。
 
O              なるほど。その学級の子供たちに「先生!パソコン触りたーい!」って言っていただくイメージでしょうか?
 
Y先生      それだと少し弱いかもしれません。例えば小学校4年生だと警察や消防など、社会の役割で勉強しますが、絵だけだとわからないことが多くあります。そこで、私の場合ですが子供たちに「こないだTVで警察についての番組がやっていてすごくおもしろかったよ」と伝えます。そうすると子供たちは「先生!こないだTVでやってた番組が見たい!」と具体的に言ってくれます。
 
M            たしかにそうなるとその番組についてネットで調べざるを得ないですね。
 
Y先生      はい。その番組をNHKforSchoolで見られるか調べたり、やってなかったらアーカイブサービスから探したりする必要が出てきます。
そもそも、その先生はICTが無理なので頭ごなしに言っても絶対に聞いてもらえません。なのでこちらはそういった工夫をしていく必要があります。
最近は先生の質が問われています。10年ほど前から初任者指導が入り、強制的に1年間ですがガンガン教育、研修をしています。しかし、その時点でやめてしまう人が増えてきています。
 
O             良かれと思った研修で脱落してしまう人が増えている、ということですか?
 
Y先生      教員は事務処理が確かに多いのですが、それを教えるためとしか思えないような膨大な量の事務処理を最初に課す。そうなるとやめていってしまう事例が多くなった。これだと、法定人数に足りなくなるので今度はベースを下げる。こんなやり方では……。
これは国の政策の問題でもあるのですがはっきり言って給料も安いんです。最初の給料なんて十数万ですよ。
 
M            ええ!夢の公務員ですよね!もっと貰っているのかと思っていました。
 
Y先生      その給料で良い教員が集まるわけないですよね。この環境では若手はどんどん人材の質が下がっていく。ベテランは自分の経験で凝り固まってしまい自分とそれ以外というステレオタイプでの物の考え方になっていきますよね。
自分のいうことを聞く子供は良い子。聞かない子はそうじゃない。そういう見方をする先生が多く、そういう先生にはさっきの遠隔操作も通用しないんですよ。
その先生に「先生!~の動画が見たい!」なんて言ったら、子どもが何を言われるか。子どもの心が危ないですよね。
 
M            たしかに…。怖いですよね。
 
Y先生      つまり、一般企業が現状やっていることや、このポストコロナで変わっていこうとしている価値観を受け入れることがそもそも無理な人達に対して考えるよりも、目の前の子供たちに対して、「ICTを活用して世界や社会の価値観の一端をどうしたら経験させることができるかな?もちろんその先生のプライドを傷つけずに。」ということを考えた方が絶対に皆のためになると思います。
子供たちは世界や社会の一端を知ることで自分で学び始めるかもしれませんし、先生方は押し付けられないのでICT支援員に対して邪見に扱うこともありません。そして何よりICT支援員の方が嫌な思いをすることもないんじゃないでしょうか。

 

先生とICT、そしてその架け橋であるICT支援員。このバランスはかなりシビアであること。そして、今回私達だけでなくICTに関わるY先生もご苦労されていることが分かりました。
次回も引き続きY先生にICT支援員について、そして子どもたちへの接し方について伺っていきたいと思います。

2007

『ICT教育についてY先生に聞いてみた!』第三回

投稿日 | カテゴリー: インタビュー |

こんにちは、ICT営業担当のMです。今回も前回に引き続き”『ICT教育についてY先生に聞いてみた!』の第三回となります。
前回は驚くことがいっぱいでした。リテラシー向上のための動きは既に行われている。それがプログラミング教育やGIGAスクール構想である。そんな考え方があるとは……。
しかし、そんな中先生方の負担が増えるのではないかと私は心配しています。その辺のことを今回は聞いてみたいと思います。


M      先生、前回は驚くことがいっぱいでした。考え方次第なんですね……。
しかし、一方でリテラシーを向上するという、その変化のせいで先生への負担が大きくなるような気がします。教員の働き方の問題もあげられていますがどう思われますか?
Y先生 これは他者意識と事前共有、要はコミュニケーションですね。ここが大きいと思います。
M      他者意思と事前共有ですか?
Y先生 はい、例えば年度初めなんかそうなんですが、ひどい学校だと3時間くらい職員会議をしていますが、他者意識が足りないと私は感じています。
例えば、4月のスタートは~を大事にしましょうね!と細かな説明をしていますが、聞いたところで4月から配属されてきたばかりの先生が理解できるはずがないのです。
必要なことは校長先生の方針、年度初めに出すべき書類の案内、ある程度のスケジュールだけです。どれだけ時間がかかっても1時間半で終わります。


M      会議ばかりで仕事が終わらないということが書かれたビジネス書があった気します。
Y先生 そして、ICTは人を繋ぐことを知らない先生が多いことも事実です。
ITからICTのCが追加されている、Cはコミュニケーションですよね。
M      そうですね。確かにたまに先生になんでCが追加されてるの?Cの意味って何?と聞かれたことがあります。
Y先生 そして他者意識と事前共有ができればもっと時間を作ることができます。
例えば入学式があります。その内容を何かしら変更したいとします。
それを事前に、職員室で共有できるフォルダ内に保存しておく。
興味がある人、関係ある人はそのフォルダを見て、わからないことがあればコメントを入れ、修正箇所があれば、その先生が他の仕事をしている間に気が付いた人が添削や修正をする。あらかじめそういったコミュニケーションをとって連携しておくのです。
いざ、その提案内容の決定をする時、職員会議はあらかじめそういった共有が行われた後なのでほぼ話し合うことはなくなり短縮されます。


M      ああ、なるほど!会議が短くなることで、別のところで時間が使えるということですね。
Y先生 空いた時間については、もっと学年会議に時間を使ってほしいと思っています。
職員会議では子供の名前が出ることはよっぽどないのですが、学年会議は個々の名前が出てきます。子供の情報を共有することはとても大事なことなので長く時間をとっても良いと考えています。
M      職員会議を短くして子供達に時間を使う。とても良い環境ですよね。
ただ、子供たちに時間を使えば使うほど校務をやる時間が無くなる気がします。
理想のICT教育というのは一体どういうものなんでしょうか。
Y先生 私が考える理想のICT教育は先生の完全プロデューサー化です。
これは働き方改革にもつながります。
M      プロデューサー化ですか?
Y先生 お金のないプロデューサーです。予算は教員委員会にお願いすることになります(笑)子供たち一人一人の持ち味を的確に見極めてこの領域がこの子の才能だと感じたら、それを伸ばしていくイメージです。


M      現状は単元があり、決まったことを教えていき、決まった授業を何度もやっていますよね。しかし、ICTでどのように支援ができるのでしょうか。
Y先生 そもそも、私達先生というのはGoogleやWikipediaよりも知識はありません。
知りたいことは検索すれば私達が教えるより知識を得ることができるでしょう。
更に、今後AI技術が進み、教育の分野にシステムが導入され、型の決まった授業をやるだけであればAIのほうが完全に上だと思います。
そして、私達先生はAIができないことをサポートすることに専念します。
M      つまり、AIやGoogleなどのサービスを利用すれば先生方の時間が空き子供たちにその時間を使えるということですね。
Y先生 知識理解についてはICTのほうが絶対に上です。デジタル教科書もあればタブレットもあります。つまり、どこでも調べたり、学習することができます。
ところが、そういった方法で得た知識や頭脳から『その子らしさ』を見つけることは、現状AIでは難しいかと思います。
M      そこは感情のところですもんね。よく映画なんかでコンピューターには感情がないなんて言いますからね。
Y先生 技術は進んでいますが人間らしい感情をAIが持つことは、まだまだ遠いと考えています。もし、たまたま自分が得意な分野だったら先生が伸ばしてあげることもできます。


M      たしかにそんな未来だったら理想なのかもしれないですね。
私たちがご支援できることは安定した通信の提供ですかね。
Y先生 私としては安定しない通信なんかは寧ろ面白い教材になると考えています。
例えばインターネットに繋がらない端末があれば、なぜ繋がらないかを先生と子供達で考えるなんて、すごく面白い授業になると思います。
M      子供たちに障害切り分けをしてもらうんですか!?
Y先生 子供たちだけでなく先生も一緒に考えるんです。
現状、何か障害があったら何も考えずにMさんに助けてもらおうとしてしまいます。
寧ろこれを教材に使ったら面白いかもしれないという発想をしてほしいんです。


M      なるほど、そうすると私たちの仕事がなくなってしまいますね(笑)
Y先生 とんでもない。絶対に必要なんです。そこから先は技術や経験が必要不可欠だからです。
例えばインターネットに繋がらないという障害が発生したとします。
現状Mさんへ先生が問い合わせる時、再起動もしない、LANケーブルの抜き差しもしない。
考えずにすぐに問い合わせがありませんか?
M      そうですね。中には~したけど直らなかったとご説明いただける時もありますがほぼほぼ、そういったお問い合わせが多いですね。
逆に切り分けていただくとお忙しいのに申し訳ないと感じてしまいます。
Y先生 それがとても残念です。そういった症状は寧ろ考えるチャンスなんだと私は思っています。
それにそういった症状の時、Mさんへ『エラー〇〇』が出ているというメッセージだけでも伝えてもらえたら障害復旧が早くなりませんか?
M      確かにエラーメッセージはかなりのヒントになりますね。
Y先生 少しの思いやりや、考えるリテラシーがあれば障害復旧が早くなり問い合わせをした先生自体の時間も短縮され、結果助かるわけです。
エラーメッセージを伝えたり、再起動するのに技術なんて必要はないですよね。
M        そうですね、確かに障害切り分けを先生にやっていただくことで負担になると考えていましたが、少し角度を変えて見ると先生自体の助けになることもあるんですね。
Y先生 はい、少し角度を変えるだけなんです。


M      とても面白い話をありがとうございました。
全ての課題はリテラシー次第、そしてリテラシーの向上は既に進んでいる。そして、リテラシーの向上はGIGAスクール構想にもプログラミングにも自身の働き方にも影響していく……。そんな見方があるとは。
Y先生 リテラシーは他者への思いやりを意識するだけで自然と向上していきます。
そして、その思いやりを子供たちに伝えることが私達の仕事だと思っています。

M      先生、貴重なお話をありがとうございました。
Y先生 こちらこそ、お話しする機会をいただきありがとうございました。

Y先生はとても楽しそうに、自らの思いを話してくださいました。
本当に子供たちの未来に期待しているのだと思います。
先生は、対談中何度も『他者意識』と『世界基準』という言葉を使われていました。
つまり、『思いやり』ということです。これは人間にとって最も大切なことだと思います。
これから私達ハイパーブレインもこの『思いやり』を意識して、子供たちの未来のため、そして先生方のため、I『C』Tで支援していきたいと思います。