情報活用能力の重要性がますます高まってきました

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。
GIGAスクール構想が立ち上がり、それに伴った内容に書き換えていたため公開が遅くなったとのことです。本編254ページ、付録も合わせると360ページという超大作なので、要所要所を確認しながら読んでいきましょう。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html
教育の情報化イメージ

今回は、情報活用能力の育成、これまでの情報活用能力の育成と学習の基盤となる資質、能力としての情報活用能力についてご説明します。

はじめに述べられているのが「情報活用能力」の定義です。世の中の様々な事象を情報とその結びつきとしてとらえ、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力である、と述べられています。
これからの時代を生きる子どもたちが、情報を持っているだけではなく、結びつきを考え、それによって問題を解決したり、新たに発見したり、自分の考えを作っていったりするための能力ということですね。ブラウザで検索できれば良い、ではなく、その検索結果を主体的に活用できるようにするというのもこの1つですね。

これまでの情報活用能力育成の経緯が手引きにまとめられています。昭和59年に開始された臨時教育審議会ですでに議論されていたということですから、当時の文部省はとても先見の明があったと言えますね。平成9年には情報活用能力が3観点にまとめられました。

  • A 情報活用の実践力
  • B 情報の科学的な理解
  • C 情報社会に参画する態度

平成22年の教育の情報化に関する手引きで、3観点に付随する8要素にまとめられました。

  • A 情報活用の実践力
  • ・課題や目的に応じた情報手段の適切な活用
  • ・必要な情報の主体的な収集・判断・表現・処理・創造
  • ・受け手の状況などを踏まえた発信・伝達
  • B 情報の科学的な理解
  • ・情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解
  • ・情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解
  • C 情報社会に参画する態度
  • ・社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響の理解
  • ・情報のモラルの必要性や情報に対する責任
  • ・望ましい情報社会の想像に参画しようとする態度

これらに基づいて、各地でカリキュラム作成や授業実践がなされていますね。

情報活用能力の調査も実施されました。平成25年度に小・中学校、平成27年度に高等学校を調査しましたが、その中で印象的な調査結果が概要としてまとめられています。実際に調査した衝撃がまとめられましたね。
情報活用能力調査結果の概要
「教育の情報化に関する手引」(令和元年12月)について P22より引用
https://www.mext.go.jp/content/20191219-mxt_jogai01-000003284_002.pdf
小学生のタイピング速度は1分間に約6文字でした。10秒に1文字しか打てない、というのは驚きでしたね。今後の入力デバイスがどのようになるかわかりませんが、現状キーボードは入力デバイスで一番普及しているのではないかと思われます。情報を活用するために、まずは情報を得る、情報を作る、情報を発信する、というようなことが必要ですが、その情報をパソコンに入力することに時間がかかる、というのは根本的な問題ですね。
学習指導要領の総則で「文字入力」についても言及がありますが、やはり総則ではなかなか現場に浸透しないというところがあると思います。
そのため、平成29・30年に公示された学習指導要領では、「学習の基盤となる資質・能力」の一つと位置付けられました。ここでは3観点8要素だけではなく、各教科において育むことを目指す資質・能力と同様に「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱によってとらえていくことが提言され、以下のように整理されました。

○知識及び技能(何を理解しているか,何ができるか)
情報と情報技術を活用した問題の発見・解決等の方法や,情報化の進展が社会の中で果たす役割や影響,技術に関する法・制度やマナー,個人が果たす役割や責任等について,情報の科学的な理解に裏打ちされた形で理解し,情報と情報技術を適切に活用するために必要な技能を身に付けていること。
○思考力,判断力,表現力等(理解していること,できることをどう使うか)
様々な事象を情報とその結びつきの視点から捉え,複数の情報を結びつけて新たな意味を見いだす力や問題の発見・解決等に向けて情報技術を適切かつ効果的に活用する力を身に付けていること。
○学びに向かう力,人間性等(どのように社会・世界と関わりよりよい人生を送るか)
情報や情報技術を適切かつ効果的に活用して情報社会に主体的に参画し,その発展に寄与しようとする態度等を身に付けていること。

IE-school等でカリキュラム等の例示がされました。どの学年でどのようなリテラシーが身に着いていればよいか、そのための段階的な積み上げが示されています。それを基にした各教科等での育成事例が5つ紹介されています。IE-school報告書では、もっと詳しく取り上げられていますので、HBI通信でもご紹介している通り、ぜひそちらもご覧ください。

次回はこの続き、情報活用能力の育成をお送りします。
何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

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