学習指導要領の理念は何度も確認したいです

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。
GIGAスクール構想が立ち上がり、それに伴った内容に書き換えていたため公開が遅くなったとのことです。本編254ページ、付録も合わせると360ページという超大作なので、要所要所を確認しながら読んでいきましょう。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html
教育の情報化のイメージ

 今回は、学習指導要領の理念と、学習指導要領における教育の情報化の位置づけ、特別支援教育における教育の情報化、教育におけるICT活用の特性・強み及びその効果 について確認していきます。
 第1章冒頭部分ですので、簡潔に良くまとまっているところを、更にピックアップしていきます。

 まず、学習指導要領の理念については、今回の改訂での基本方針5つが紹介されています。

  • 1 基本的な考え方3つ。ア 社会に開かれた教育課程の重視 イ 確かな学力を育成すること ウ 豊かな心や健やかな体を育成すること
  • 2 育成を目指す資質・能力の明確化を実施。すべての教科等の目標及び内容を「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱に整理
  • 3 「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の推進
  • 4 各学校におけるカリキュラム・マネジメントの推進
  • 5 教育内容の改善

 これらをもとに、2020年度から小学校で、20201年度から中学校で、新しい学習指導要領に基づく学習がはじまるわけですね。

 続いて、学習指導要領における教育の情報化の位置づけについては、各学校種によって特徴を取り上げています。
 基本は小・中高等学校ともに「児童・生徒の発達の段階を考慮し、情報活用能力(情報モラルを含む)等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう、各教科等の特質を生かし、教科等横断的な視点から教育課程の編成を図る」こととされています。
 小学校では、総則において、コンピュータや通信ネットワークの環境を整えること、教材・教具の適切な活用を図ること、文字入力やプログラミングの重要性が書かれています。
 中学校では、総則で小学校と同様コンピュータや通信ネットワークの環境を整えること、教材・教具の適切な活用を図ること、が書かれています。小学校でプログラミング教育が必修化されたことなどを踏まえ、技術分野ではさらに踏み込んだ内容を生徒に履修させることとしています。
 高等学校では、総則で、小中学校と同様コンピュータや通信ネットワークの環境を整えること、教材・教具の適切な活用を図ること、が書かれています。また、共通必履修科目「情報1」が設けられました。専門教科情報化について12科目に改められました。
 特別支援学校では、小学校、中学校、高等学校それぞれの学習指導要領総則に書かれていることと併せて、知的障害者である生徒に対する教育の中学部の職業・家庭科について職業生活でコンピュータ等の情報機器に触れることなどに関わる学習活動について等が書かれています。高等部も併せて同じように書かれています。

 次に、特別支援教育における教育の情報化について書かれています。
 平成25年、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が成立したこと等、特別な支援を必要とする児童生徒にとっての情報教育を保証するため様々な条件整備が実施されたとあります。
 情報の収集手段が多様になり、障害を持っていても情報機器がない状態よりはるかに情報を得やすくなった、という点と、その障害の状態等により情報の収集、処理、表現、発信などに困難を伴うことも多いため、情報社会の恩恵を十分に享受するための個々の実態に応じた情報活用能力の習得が必要という点が述べられています。
 テクノロジーの発達が、様々な方面で多様な人を支えたほうがいいですね。そのため、アシスティブ・テクノロジーと呼ばれる、障害のために実現できなかったことをできるように支援する技術について、その方策を充実することにより、結果的にバリアフリーの状態を実現する、という考え方だと述べられています。
 多様なニーズに応じた機器が開発され、利用されるという支援方策が、より多くの児童生徒を支援し、バリアフリーの状態を作り出していくことが必要になってくる、とあります。
 そのためには、児童生徒の希望を踏まえつつ、メーカーとリハビリテーション工学の専門家、地域の特別支援教育センター等の関係機関と学校、そして保護者との連携と協力が求められる、とあります。たくさんの関係者の連携が必要ですが、それだけの知恵が結集すればとても良いものが作られそうですね。

 

 最後に、教育におけるICT活用の特性・強み及びその効果についてです。3点あげられています。

  • 1 多様で大量の情報を収取、整理分析、まとめ、表現することなどができ、カスタマイズが容易であること
  • 2 時間や空間を問わずに、音声画像データ等を蓄積送受信でき、時間的空間的制約を超えること
  • 3 距離に関わりなく相互に情報の発信受信のやり取りができるという双方向性を有すること

 ということです。
 このような強みを最大限に発揮するためには、児童生徒が情報手段の基本的な操作を習得していることが大前提となりますね。そのためには、普段使いのICTが大きな役割を果たすと述べられています。

 ICT機器は特別なご褒美ではなく、授業で普段から使っていくことが重要ですね。その普段使いが積み重なると、より良い学びがどんどん生まれてくるのではと思います。新しいテクノロジーが何をもたらすのか、ということは普及してみないとわかりません。そもそも、学校に1人1台タブレットが入る、というのは新しいテクノロジーというものでもありませんね。授業中に辞書をめくるのは良くて、タブレットで検索をしてはダメだというのはあまり筋が通らない気がします。

 以前twitterで目にしたのは
https://twitter.com/pakuchan1964/status/838132790872825856
 という発想でした。これだけでどうこう言うのは乱暴なのですが、「聞いてるふり」で学習が進まないより、積極的に自ら調べる子どもになったほうがいいように思います。授業の統制、という考え方が変わってくるかもしれませんね。
もちろん子どもたちにいきなり無秩序になんでもどうぞご自由に!というのも乱暴です。
 そこは先生方の専門性を存分に活かしていただく必要があるところです。いきなり全部自由、ではなく使い慣れるにしたがって徐々に自由度が増していくというのが理想でしょう。クラスの状態を見極めて、その段階を踏めるのは先生ですね。
 行政職の皆さんも、いきなりすぐにすべてが変わるわけではないことはご理解いただけていると思います。先生が少しでもやりやすいよう、やりやすい環境を整えることが重要だということを念頭に、先生方の思いを受け止めつつ、環境整備を実施していくことが重要だと思います。

 次回はこの続き、情報活用能力の育成をお送りします。
 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

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