運用指針には必ず目を通しましょう

投稿日 | カテゴリー: 授業目的公衆送信補償金制度 |

皆さんこんにちは

授業目的公衆送信補償金制度」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。

2018年の著作権法改正により創設され、2020年4月にスタートした制度です。学校、自治体に大いに関係する制度ですので、詳しく見ていくことにしましょう。

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本日は「改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)について」についてご説明いたします。

法律で定められたとしても、細部にわたってくると境界線があいまいなことはよくあります。

その細部についてあちこちで解釈が違ってくると困ってしまいますね。そのため、「著作物の教育利用に関する関係者フォーラム」が運用指針を公表しています。2020年12月に令和3年度版が公表されたばかりで、今のところ毎年改定されています。特に令和2年度は新型コロナウイルス蔓延により、短期間で難しい判断をすることが多かったために、一度落ち着いてきちんと見直そうという動きも出ていました。

関係者フォーラムには、教育現場の代表者や権利者の代表者、有識者らが集まって運用指針を検討しています。どのように検討されていったかについては議事録や資料が公開されていますので、確認しておいてください。https://forum.sartras.or.jp/minutes/

運用指針は全体で22ページとボリュームがあります。少しずつ見ていきましょう。

最初に「著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りではありません」という但し書きがあります。

35条の例外として、特例として認めているが、一番先に著作権者の利益を守る方向で考える、ということですね。

まず、法律の文章が紹介され、その後言葉の定義にページが割かれています。

例えば「複製」について長いですが引用してみましょう。

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「複製」

手書き、キーボード入力、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により、既存の著作物の一部又は全部を有形的に再製することをいいます(著作権法第2条1項15号。著作物だけでなく、実演、レコード、放送・有線放送の利用についても同様です)。

該当する例

  • 黒板への文学作品の板書
  • ノートへの文学作品の書き込み
  • 画用紙への絵画の模写
  • 紙粘土による彫刻の模造
  • コピー機を用いて紙に印刷された著作物を別の紙へコピー
  • コピー機を用いて紙に印刷された著作物をスキャンして変換したPDFファイルの記録メディアへの保存
  • キーボード等を用いて著作物を入力したファイルのパソコンやスマホへの保存
  • パソコン等に保存された著作物のファイルのUSBメモリへの保存
  • 著作物のファイルのサーバーへのデータによる蓄積(バックアップも含む)
  • テレビ番組のハードディスクへの録画

改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)4Pから引用

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このように、「複製」の定義を確認し、学校の活動においてどういうことがそれにあたるのか、という具体例を挙げて説明してくれています。

他にも「公衆送信」「学校その他の教育機関」「授業」「教育を担任する者」「授業を受ける者」「必要と認められる限度」「公に伝達」などが挙げられています。

特に「授業」は詳しくありますので、こちらも見てみましょう。

何が授業に該当し、何が授業に該当しないのか具体的に書かれています。

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「授業」とは」学校その他の教育機関の責任において、その管理下で教育を担任する者が学習者に対して実施する教育活動を指します。

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学校その他の教育機関については先に定義されています。また、教育を担任する者についても先に定義されています。

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該当する例

  • 講義、実習、演習、ゼミ等(名称は問わない)
  • 初等中等教育の特別活動(学級活動・ホームルーム活動、クラブ活動、児童・生徒会活動、学校行事、その他)や部活動、課外補習授業等
  • 教育センター、教職員研修センターが行う教員に対する教育活動
  • 教員の免許状更新講習
  • 通信教育での面接授業(注1)、通信授業(注2)、メディア授業(注3)等
  • 学校その他の教育機関が主催する公開講座(自らの事業として行うもの。収支予算の状況などに照らし、事業の規模等が相当程度になるものについては別途検討する)
  • 履修証明プログラム(注4)
  • 社会教育施設が主催する講座、講演会等(自らの事業として行うもの)

該当しない例

  • 入学志願者に対する学校説明会、オープンキャンパスでの模擬授業等
  • 教職員会議
  • 大学でのFD(注5)、SD(注6)として実施される、教職員を対象としたセミナーや情報提供
  • 高等教育での課外活動(サークル活動等)
  • 自主的なボランティア活動(単位認定がされないもの)
  • 保護者会
  • 学校その他の教育機関の施設で行われる自治会主催の講演会、PTA主催の親子向け講座等

※履修者等による予習、復習は「授業の過程」とする。

※次の①~③は、授業の過程での行為とする。

①送信された著作物の履修者等による複製

②授業用資料作成のための準備段階や授業後の事後検討における教員等による複製

③自らの記録として保存しておくための教員等または履修者等による複製

※高等専門学校は高等教育機関だが、中等教育と同様の教育課程等について本運用指針での対応する部分が当てはまる

1 通学制の大学と同様の授業

2 教科書等(インターネット配信を含む)で学んで添削指導や試験を受ける授業

3 インターネットを通して教員と学生が双方向でやりとりして学ぶ授業。リアルタイムに行う「同時双方向型」と、サーバーにコンテンツを置く「非同時双方向型」がある。

4 社会人等の学生以外の者を対象とした教育プログラム。修了者には学校教育法に基づく履修証明書が交付される。

5 Faculty Development。教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取り組み

6 Staff Development。職員を対象とした管理運営や教育・研究支援までを含めた資質向上のための組織的な取り組み

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改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)P6から引用

とあります。具体的ですね。教職員会議は該当しないということですので、注意が必要です。

これは「例外としては認められない」ということですので、本来はオンラインでの職員会議でデジタル教科書等の画面を公衆送信する場合は1回ずつ許諾が必要だったのが、補償金を支払うことで著作権者の利益を不当に害さない限り許諾なく使うことができる、ということになりそうです。

このあたりの線引きラインは非常に微妙です。

そのため、ガイドラインの改訂は見逃さず、常に最新の情報を確認する癖をつけることが大切ですね。

次回は、もう少し詳しくこの制度を見ていきます。

授業目的公衆送信補償金制度を理解しておく必要があります

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皆さんこんにちは

授業目的公衆送信補償金制度」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。

2018年の著作権法改正により創設され、2020年4月にスタートした制度です。学校、自治体に大いに関係する制度ですので、詳しく見ていくことにしましょう。

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本日は「教育機関設置者による教育機関名の届け出について」についてご説明いたします。

授業目的公衆送信補償金制度を利用する場合は、「教育機関の設置者」がSARTRASに届け出をする必要がある、と案内があります。

各学校で届け出るのではなく、教育委員会や学校法人が届け出をする必要があるということですね。

詳しくは改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版) https://sartras.or.jp/wp-content/uploads/unyoshishin2020.pdf のP5、③学校その他の教育機関 にあります。最近は学校法人によらない学校もありますので、確認をしておいてください。

https://sartras.or.jp/todokede/ このページから「届け出資料一式」をダウンロードし、教育機関名記入用紙に記入して提出することとなります。

同意事項として2点あげられていますので確認しておきましょう。

1 著作物の利用にあたりまして、著作権法が規定する著作権、及び著作隣接権に十分ご留意いただき、改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)をご確認のうえ授業目的公衆送信を行ってください。

2 教育機関に過度な負担がかからない範囲で、SARTRASは著作物の利用実績を把握するためのサンプル調査を実施することを予定しております。実施の際には、是非ご協力ください。

https://sartras.or.jp/todokede/ 同意事項より引用

提出は、同ページの「教育機関の届け出」ボタンから実施できます。

方法自体は簡単ですが、令和3年度以降はここに金額の支払いが入ってきます。そちらの案内が出るまでもう少し時間がかかりそうです。

この届出をすることで、「国内外のすべての著作物」が対象となります。「一般社団法人 授業目的公衆送信補償金等管理協会」(SARTRAS)に参加していない権利者団体が管理する著作物や権利者団体に所属していない者が権利を有する著作物も対象です。」ということなので、許諾を取らなくても授業目的の公衆送信で必要と認められる限度において使用できるということですね。「なんでもやっていい!」というわけではないことにご注意ください。著作権者の利益を不当に害する行為は実施してはなりません。では、不当に害する行為とはどのようなことか、ということについては改正著作権法第35条運用指針に取りまとめられています。これはまた後ほど確認していくことにしましょう。

絶対に授業目的での公衆送信は行わない、ということでしたら届け出をする必要はありませんが、GIGAスクール構想が実現した今、なかなかそれは難しいことではないでしょうか。

届け出を実施して、料金を支払い、授業での公衆送信のハードルを下げるとともに、著作権者に正当な利益を還元する、というのがこの制度の主旨のはずです。

次回は、もう少し詳しくこの制度を見ていきます。

 

 

授業目的公衆送信補償金制度を理解しておく必要があります

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皆さんこんにちは

「授業目的公衆送信補償金制度」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。

2018年の著作権法改正により創設され、2020年4月にスタートした制度です。学校、自治体に大いに関係する制度ですので、詳しく見ていくことにしましょう。

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本日は「授業目的公衆送信補償金制度とは」についてご説明いたします。

そもそもの言葉自体が難しい、と思われる方もみえるでしょう。

「授業目的」これは分かりますね。学校の授業のために、授業を実施するために、ということです。

「公衆送信」これがわかりづらいのですが、要するにインターネット等のネットワークを使ってやり取りするということです。

「補償金制度」は、補償金を制度化したものですね。

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授業を実施する際に、著作物をネットワーク上で配布等することについての補償金制度、ということです。

2018年の改正以前の著作権法では、ネットワーク上で教材を配布する(例えば、学校のサーバーに保存した新聞紙面を、教室でネットワークごしに見る)ことについては、個別に著作権者の許諾を得る必要がありました。学級通信に短歌等の著作物を掲載したい場合、それをホームページにアップロードするためには著作権者の許諾が必要だったのです。

詳しい方は、え、学校は例外が認められてるんじゃないの? と思われるかもしれません。

学校教育の授業に使うという目的であれば、例外が認められていました。ただしそれは、物理的な紙のコピーや、遠隔合同授業における公衆送信と範囲が定められていたのです。

それを、改正して、「遠隔合同授業以外での公衆送信についても補償金を支払うことで無許諾で行うことが可能」となったというわけです。

つまり、著作物をネットワーク上で取り扱う可能性がある場合、この補償金を支払うことで、許諾を得る必要がなくなった、ということですね。この補償金はいったいどこが集めてどのように著作権者に分配されるのでしょうか。

一箇所に集めて、それを分配する、という方針のもと、一般社団法人授業目的公衆送信補償金等管理協会 SARTRASがその指定団体となりました。SARTRASのサイトhttps://sartras.or.jp/ には以下のようにあります。

「著作権者等の正当な利益の保護とのバランスを図る観点から、利用にあたって教育機関の設置者は、文化庁長官が唯一指定する当協会に補償金を支払うことが必要となっています」

2021年度からは、各自治体がSARTRASに補償金を支払う必要があるということですね。

次回は、もう少し詳しくこの制度を見ていきます。

 

 

健康面への配慮も考える必要があります

投稿日 | カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き |

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。そして、その後のICTを取り巻く状況の大きな変化に対応して、2020年6月に追補版が発行されました。要所要所を確認しながら読んでいきましょう。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

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本日は追補版第7章 ICT活用における健康面への配慮についてご説明します。

保護者や地域の方が心配するのは、この「健康面」での配慮ですね。手引きにも、ICT活用が進めば、ICT機器を取り扱うことが増加し、健康面に配慮した取り組みを進めていくことが重要、とあります。

以下の4点についての健康面での影響が掲載されています。

  • 1 目の疲れなど視覚系への影響
  • 2 姿勢などの筋骨格系への影響
  • 3 疲労への影響
  • 4 心理的な影響

実際に現場から出た声が掲載されていて、なるほど、そうだろうなと思うことばかりです。これらについて、専門家の知見なども踏まえ、手引きで解説されています。

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1 教室の明るさ

暗すぎるところ、極端に明るいところで大型提示装置や学習者用コンピュータの画面を見ると、目の疲労を早める可能性があるということで、教室内の明るさを均一にすることで防げる、とされています。

ただ、教室の明るさを一定にすると言っても難しいところがあります。

カーテンにより映り込みを防止する、というのが現実的です。児童生徒が自主的にカーテンを引いたりあけたりできるように指導しておくといいですね。

照明を大型提示装置周辺だけ消したほうが見やすいのであれば、それをすればいいですし、教室の照明を改修する場合は、反射防止対策を施すことも考慮したほうがいい、ということを建築課等の首長部局と共有しておけばいいですね。

 

2 大型提示装置

これが見えにくいと目の疲労が増します。反射具合は変化するため、教師は反射を極力抑えるように配慮する必要があります。

大きく分けて、映り込みの防止と、文字が見やすくなるようへの配慮として、白地に黒文字ばかりではなく、「ポジティブ表示」等が選択できるなら選択することもできるようになっているといいですね。

 

3 学習者用コンピュータ

GIGAスクール構想で一人1台入り、更に学習者用デジタル教科書を多くの児童生徒が使うようになれば、特にタブレット型のパソコンは画面が見づらいと疲労しやすくなります。

姿勢を正して使うことや、使いやすさへの配慮をすることも必要ですが、例えば机を購入する際には、昔からあるサイズではなく、最近出ている大きめのサイズを選ぶことも選択肢に入れるといいでしょう。

これらの改善のポイントで示した内容をチェックリスト形式で整理したものが、「児童生徒の健康に留意してICTを活用するためのガイドブック」に掲載されているとのことです。確認していただくと、より安心かと思います。

また、気になる保護者や地域の方にも、これらのことに留意していますよ、という説明資料として使えますね。

さて、長らく追補版の手引きをご紹介してまいりましたが、次回からは授業目的公衆送信保証金制度についてご紹介していきます。よろしくお願い申し上げます。

対策を実施し、確認するところまで必要です

投稿日 | カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き |

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。そして、その後のICTを取り巻く状況の大きな変化に対応して、2020年6月に追補版が発行されました。要所要所を確認しながら読んでいきましょう。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

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本日は追補版第7章 情報セキュリティ対策についてご説明します。

教育情報セキュリティポリシーは、教育委員会が策定し、自治体内で統一すべきものですが、運用するのは学校であり、個々の教職員です。学校で行うべき情報セキュリティ対策の留意点として、手引きでのべられています。

まず重要なのは、「学校ごとの実施手順の作成」です。

実施手順についてはひな形等を教育委員会から配布されることも多いですが、具体的な操作を含む研修を実施して、実施手順を守られるようにする、ということが大事です。

情報セキュリティの重要性を先生方にご理解いただくことが重要ですね。先生方は基本、性善説の世界に生きていらっしゃいますが、情報セキュリティを高めるためには、性善説では十分ではありません。

それをご理解いただいていたとして、十分セキュリティ意識をお持ちでいらしても、事故は起こるものです。技術的な対策だけでは万全ではないことはもちろん、情報を取り扱っている教職員や児童生徒の情報セキュリティの意識が低ければ事故が発生する可能性は高くなりますね。なので、どこに気を付けるべきか、学校の実情と特性に応じた手順を考える必要があります。

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例えば、外国人児童生徒が多い学校なら、実施手順を様々な言語にする必要もあるでしょう。パスワードを付箋に書いてしまう先生がおみえの状態なのか、さすがにそれはもうないのか、学校によって実情は違いますね。本当に身近な小さなところから始めないと、情報セキュリティは高まりません。

また、「策定したので終わり」ではだめだということは繰り返し申し上げています。

運用状況を絶えず確認し、改善や見直しの必要を検討する必要があります。

ポリシーを策定した後の社会情勢の変化や情報技術の進展など、様々な要因で、監査・運用を実施していかないと、時代遅れの手順をずっと守っている、ということにもなりかねません。

文部科学省も「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を平成29年に策定しました。それを、改訂したのが令和元年12月です。

特にクラウドに対する姿勢が変わっていますので、最新の情報には必ず目を通しておくことが必要ですね。

基準となるものがないのに情報セキュリティを守れ、というのは無謀です。基準を明確に打ち出して、実情に合わせた実施手順を現場レベルで考え、実行し、確認し、監査し、改善していく、という流れを作らなければ、情報セキュリティは高まりません。

それだけ聞くと、本当に大変だ、と思われがちなのですが、普段の行動を少しずつ見直す、それの基準が明確に定められた、と思えばよいでしょう。

パスワードを付箋で貼っておくのが良いのか悪いのか、それは悪いと大半の先生が分かっているのかいないのか、実際に注意してはがさせる管理職がいるのかいないのか、様々な要因が考えられます。

子どもたちの大事な個人情報の取り扱いのために、行政職の皆様も、現場の忙しさを理解しつつ情報セキュリティを高める工夫をしていくことが必要だと考えられます。

次回は、追補版第7章 ICT活用における健康面への配慮についてお送りします。

セキュリティと運用のバランスを取れる人材が必要です

投稿日 | カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き |

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。そして、その後のICTを取り巻く状況の大きな変化に対応して、2020年6月に追補版が発行されました。要所要所を確認しながら読んでいきましょう。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

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本日は追補版第7章 教育情報セキュリティについてご説明します。

情報セキュリティが重要だ、ということについては誰もが分かっていることです。ではどうすれば情報セキュリティを高められるか、ということを考えなければなりません。
情報には

● 機密性:情報に関してアクセスを認可されたものだけがアクセスできる状態を確保すること

● 完全性:情報が破壊、改ざん、消去されていない状態を確保すること

● 可用性:情報へのアクセスを認可されたものが必要時に中断されることなく情報及び関連資産にアクセスできる状態を確保すること

を維持することが求められます、と手引きにはあります。

どのような情報資産を保有しており、どのように守ればよいのか、という順番で考えていくことが推奨されています。

まず、情報資産の洗い出しが必要です。

学校には校務系の情報と学習系の情報があります。大雑把な枠組みではこうですが、細かく見ていけば、例えば生徒指導関連の情報については、家庭状況や補導についての情報など、機微な情報が含まれている可能性があり、誰もが見られるところに保存するのはダメですね。一つ一つの情報について、「何を持っているのか」を把握することが大事です。管理職が知らない間に機微情報が増殖していた……という事態は避けなければなりません。その、洗い出した情報の中で、守るべき情報資産を守っていくのが情報セキュリティです。

どのように守るか、情報セキュリティ対策としては以下のように例示されています。

1・機密性の高い資産:情報の置き場所に鍵をかける、アクセス制御をかける

2・可用性の高い資産:バックアップを保管しておく

3・完全性の高い資産:改ざん防止ツールを導入する

つまり

・物理的セキュリティ

・技術的セキュリティ

・人的セキュリティ

をそれぞれ考え、効果を高めていく必要があるということですね。更に、これらが「きちんと守られているか」や矛盾が生じていないかをチェックする組織が必要です。やれと言ったらやるかというと人間「どうせバレないんだから手を抜こう」に流れていくのはある意味当然のことです。必ずチェックする必要がありますね。

次回は、追補版第7章 情報セキュリティ対策についてお送りします。

セキュリティと運用のバランスを取れる人材が必要です

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皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。そして、その後のICTを取り巻く状況の大きな変化に対応して、2020年6月に追補版が発行されました。要所要所を確認しながら読んでいきましょう。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

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本日は 追補版第7章 教育情報セキュリティについてご説明します

学校には個人情報がたくさんあります。手引きにも、「学校現場における情報セキュリティ対策は、ICT環境整備と同時に施すことが重要である」とあります。

そのため、文部科学省は「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を策定しました。セキュリティ対策をしろ、というだけではいったい何がセキュリティ対策なのかわかりませんね。そのため、組織内の情報セキュリティを確保するための方針、体制、対策等を包括的に定めたガイドラインがあると、それを元に考えられるので自治体担当者に過大な負担がかからずに済む、というわけです。

一度平成29年10月に公表されましたが、令和元年12月に改訂版が公表されています。技術の進展に伴い、セキュリティに対する考え方もどんどん変わっていっている証左ですね。

ではどうして、「セキュリティ」に関する文書を定めなければならないのでしょうか。手引きには「学校現場における教育活動にICTを積極的に活用することを担保するもの」とあります。教育情報セキュリティポリシーガイドラインを参考に、セキュリティポリシー等を定めている自治体は、それを守ることによって学校特有の機微情報をきちんと保護することができる、と捉えられるということですね。

ただ、一度定めればよい、というものではないということは繰り返しあちらこちらで述べられています。技術は進展し、使うツールは進化します。常に見直しを行うことが必要です。

また、地方公共団体の情報セキュリティポリシーとの整合性を保つことも重要です。いくら学校が特殊だからと言っても、公立学校の設置者は自治体ですね。その自治体のセキュリティポリシーと真逆のことを言うわけにはいきません。学校でインシデントが発生した場合、首長部局が組織する統一的窓口と共に対処に当たるべきである、と手引きでは述べられています。

こう申し上げると、では自治体の運用に合わせろというのか、というお声が聞こえてくるのですが、そうではないのです。自治体のポリシーをベースに、学校で守ることができる対策基準を考え、それを実行し、確認し、という実施手順を策定しておくことが重要なのです。

学校独自の文化はなかなか理解されにくいところもあります。ですが、子どもたちの機微情報をたくさん預かっている以上、セキュリティに関しては待ったなしの対策が必要になります。

首長部局と協力し、学校でセキュリティを高めながらも運用がやりやすい方法を見つけていく必要があり、そのための教育情報セキュリティポリシーガイドラインだとお考えいただければと思います。

次回は、追補版第7章 情報セキュリティ対策の基本的な考え方についてお送りします。

先端技術の導入は、先生の重要性を再認識することにつながります

投稿日 | カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き |

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。そして、その後のICTを取り巻く状況の大きな変化に対応して、2020年6月に追補版が発行されました。要所要所を確認しながら読んでいきましょう。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

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本日は追補版第7章 先端技術導入の意義についてご説明します。

手引きには「多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない、「公正に個別最適化された学び」を実現する上で」ICTを活用することで「これまで得られなかった学びの効果がうまれるなど、学びを変革していく大きな可能性がある」とあります。

4つの視点での効果が挙げられています。これまでも繰り返しお伝えしてきたことですが、ICTを活用して、これらのことができるようになるととてもいいな、ということになります。

1 学びにおける時間・距離などの制約を取り払う

2 個別に最適で効果的な学びや支援

3 可視化が難しかった学びの知見の共有やこれまでにない知見の生成

4 校務の効率化

 

です。

1は想像がしやすいですね。コロナ禍の中、オンラインで授業を実施するということに理解が深まったと考えることもできるでしょう。それまでは「オンラインなんて難しくて……」と言えば済んでいたものが、やらざるを得ない状態になり、多くの人にその知見が蓄積されました。今後もその利点を活かしていけるといいですね。

2は子どもの状況に応じた問題を、先生の経験だけではなくAIで補うことで、もっと子供に最適な学習を提供できるのでは、ということになります。AIが提案したものを先生がチェックすることで、子どもたちのより深い学びに繋がりそうです。

3は大いに期待したいところです。今まで「いい先生」の授業をまねるのは、とても難しいことでした。可視化されていない部分で先生が何を考えているか、言っているか、しぐさはどうか、等見ているつもりで見えていない部分はたくさんあるはずです。実践知や暗黙知についての言語化が進むことは、教育界全体にとても良い影響を及ぼすはずです。知識として頭の中に入っていることを実践することで経験となり、それが先生方の血肉になっていくわけですが、その知識がどんどん洗練されて「なんとなくこう」ではなく「理論的にこう」となれば、理解しやすさも各段に変わります

4は校務で必要なデータと学習で必要なデータを融合することで、二重登録の手間などを減らしていこう、というものですね。校務系と授業系が完全に物理的に分断されている自治体もありますが、今後は「論理的分離」が主流になってくることだと考えられます。セキュリティの面で注意しなければならないことを注意したうえで、利便性も効率も上がる方法が全国に広まるといいですね。

また、手引きには「現時点の技術から想定される効果」としてこれらが挙げられており、今後の技術の進展によって、現在では想像もできない効果が次々と加わることが想定される、とあります。

先端技術を導入する、というと「AIが先生をできるわけがない」という反論をよくお聞きします。まったくその通りです。特に初等教育の先生は、今後やすやすとAIには代替できないでしょう。AIを導入するのは先生の代わりではなく、先生の手足を長くするためです。先生のアシスタントとして、AIが働き、最終決定をするのは人間、すなわち先生が実施する、それだけでとてもとても学校での学習効果は飛躍に向上すると考えられます。さらに、「多様な主体との関わり合いの中で課題の解決や新たな価値の創造に挑んだりすることは,いかに先端技術が進展しても人が人からしか学び得ないことである。このような,人が人から直接学ぶことができる希少性から,教師はこれまで以上に重要性が増す」とも述べられており、AIを導入することで先生を代替するどころか、役割・重要性がより高くなることが考えられます

いかに、先生にAIなどの先端技術を活用いただくサポートをできるか、という点についても私たちは考えてご支援をしてまいります。

 

次回は、追補版第7章 教育ビッグデータの可能性についてお送りします。

 

遠隔教育で、子どもたちの可能性が広がるといいですね

投稿日 | カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き |

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。そして、その後のICTを取り巻く状況の大きな変化に対応して、2020年6月に追補版が発行されました。要所要所を確認しながら読んでいきましょう。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

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本日は追補版第7章 遠隔教育の推進に資する著作権法改正についてご説明します。

平成30年に、著作権法が改正されました。手引きには、施行前と施行後の違いが書かれています。

前提条件が「学校等の非営利教育機関の授業の過程における使用を目的とする場合」なのは同様です。

施行前:一定の要件の下、著作権者等の許諾なく、対面授業のためのコピー(複製)及び遠隔合同授業等のための公衆送信を行うことが認められていた。

施行後:文化庁長官が指定する単一の団体へ補償金を支払うことで、遠隔合同授業等以外であっても、公衆送信全般を著作権者等の許諾なく行えるようにするとともに、指定管理団体及び保証金関係業務の実施に関し、必要な規定を整備した。

この改正は、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日に施行することとされていたのですが、令和3年4月からの施行に向けて関係者間で調整が行われていた、とあります。

ところが、新型コロナウイルスの流行のため、学校が休校となったりし、オンラインでの遠隔授業等のニーズが急速に高まりました。オンラインで授業をする際に、全校で一斉に著作権者に連絡をとったりする必要が出てきたわけですね。そのため、令和2年4月28日から施行することとなりました。

令和2年度に限って、特例的に保証金額は無償となっています。突然の休校に対応する形ですね。

この改正著作権法第35条の要件や、用語の定義や本制度が適用される事例等を手引きでは「著作物の教育利用に関する関係者フォーラム」を参照するように述べられています。

文化庁でもhttps://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/h30_hokaisei/ このページで情報がまとめられています。

それでは、令和3年度以降はどうするのか、ということになるわけですが、補償金額が有償となります。

2020年10月7日 授業目的公衆送信補償金制度のオンライン説明会 が開催され、令和3年度の補償金等の案が示されました。文化庁長官の認可を経て、令和3年度からはこの制度が適用になると考えられます。通知をよく確認しておく必要があるということですね。

次回は、追補版第7章 先端技術の導入についてお送りします。

 

遠隔教育の成功のカギは必要なものを揃えることです

投稿日 | カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き |

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。そして、その後のICTを取り巻く状況の大きな変化に対応して、2020年6月に追補版が発行されました。要所要所を確認しながら読んでいきましょう。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

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本日は追補版第7章 遠隔教育に必要な環境についてご説明します。

遠隔教育を実施するために、真っ先に思いつくのは、「マイクとかスピーカーとか、あと映像を映す機械とか」ですよね。ほかにはどうでしょうか。手引きには「人的資源」が挙げられています。そうです。先生は授業を実施されるのですから、機械の面倒を見る人を配置する必要があります。「あー、つながらなかったねー、仕方ないなあ」という環境での遠隔授業はまだまだ実施できそうにありませんね。「これは授業なんだからつながらなかったら困る」という状況でしたら、人的資源の配置は必須だと考えられます。トラブルが起こった時、先生は児童や生徒をどのように授業に参加させるか、に集中するべきで、トラブルの対応や解消は他の人がやる方が効率的ですね。慣れればいい、というお話もあるかもしれませんが、べったり張り付きでなくとも、すぐに駆け付けられる人員がいることは重要です。ご検討ください。

手引きでは、必要となるICT機器について6点あげられています。

1 遠隔会議システム

 ビデオ会議システムと、WEB会議システムに大別される、音声と映像などを相手校へ伝えるためのシステムがまず必要ですね。

 遠隔教育を行う機関同士は、同じシステムを導入する必要がある、ということが書かれてありますが、現在では「そりゃそうだろう」という反応になると思います。つい半年前までは「zoomの会議をmeetで開けない」というような感覚のお問い合わせも多かったのですが、コロナ禍で状況は一変しました。実際に使ってみる人が増える、というのは大変効果が高いことが改めて実証されましたね。

2 マイク

 集音するためのマイクは、確実に集音できるものを、と手引きにあります。集音したうえで、ノイズ除去があると聞きやすいですね。遠隔授業では、映像と音声がずれる、というのが「酔う」状況になりやすいこともあり、ずれずにきちんと伝えられる音声が重要になります。実際に試してみるのが一番いいですね。遠くの離れた声を拾う性能は、マイクによって本当に違います

 3 スピーカー

 音質、音量について問題がなければ大型提示装置に内蔵されているスピーカーを利用することも考えられる、と手引きにはあります。スピーカーやアンプは高音質のものだと、高額になることもあるので、費用対効果を考える必要もあります。

 4 大型提示装置

 合同授業型なら、1教室に複数大型提示装置があるほうが良い、と手引きにはありますが、1台しか用意できないことも多いですね。その場合は、映像を切り替えたり、画面を分割したりするという工夫が必要です。なんにせよ、大人数で一度に画面を見る必要があるのであれば、準備は必須です。個別での授業なら特に必要ないかもしれませんね

 5 カメラ

 映す対象が複数ある場合は、あらかじめ複数のカメラを用意して、切り替えられるようにすると効果的な授業展開が期待できる、とあります。が、切り替えるためには切り替え機が必要ですね。切り替え機がなければ、例えば線をつなぎなおしたり、ソフトでうまく切り替えたりする必要があります。何かを介在させるとリスクは高まるので、慣れないうちから全部やる、という必要はありません。慣れてきて、カメラ複数台あったほうがいいな、と思えるようになったら、チャレンジする、くらいの意気込みでも大丈夫ではないでしょうか。

 もちろん、複数台あるほうがわかりやすくいい映像になりますが、無理をするのはいけません。自分でもどうしていいかわからないレベルで、人的資源に丸投げ、というのは避けたいですね。ある程度困難さが予測できる状態で、ここを手伝ってほしい、という明確な意思を持って依頼する方が、良い授業になると思います。

 6 情報端末

 例えば、児童生徒同士がネットワークを通じてファイルをやり取りしたりしながら、映像と音でやり取りもする、という授業は空間の壁を越えた合同授業になりえますね。ノートを送り合うことは難しくても、テキストファイルを同時編集、というようなことは可能になっています。良い方法を組み合わせて使っていけるといいですね。

  機器関連は上記6点ですが、ネットワーク環境にも言及されています。手引きでは1接続当たり1~2Mbpsの帯域を全ての経路において安定して確保できれば、必要最低限の通信品質を維持できると考えられる、とあります。

GIGAスクール構想で、ネットワークは安定したはず、ですが、世の中に絶対ということはありませんので、事前の確認は欠かせませんね。できる限り、合同授業を実施する同じ時間帯、同じ曜日で、確認しておくのがいいでしょう。

次回は、追補版第7章 遠隔教育の推進に資する著作権法改正についてお送りします。