現実的なデータ移行を考える必要があります

カテゴリー: 統合型校務支援システム導入のための手引き   パーマリンク

皆さんこんにちは

働き方改革で話題の「統合型校務支援システムの導入のための手引き」についてご説明をさせていただきます。
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1408684.htm
校務支援システムが花開いていくイメージ

今回は第5章4.3調達の実施 第5章5.1 開発協議 第5章5.2 データ移行についてご説明させていただきます。

総合評価落札方式、プロポーザル方式のどちらで調達したかによって契約締結までの手順が異なることは行政職の皆様ならご存知だと思います。

総合評価落札方式の場合、総合点が最も高い者が落札者となりますね。決定後できるだけ速やかに公表することを推奨する、と手引きにある通り、公表することが重要です。

プロポーザル方式の場合、優先交渉権者となった事業者と契約内容の詳細について協議する手順を踏みますね。この交渉で、優先交渉権者との交渉が成立しなかった場合は、次の順位者と交渉し、合意に至れば契約を行います。交渉が成立した事業者と、随意契約を締結する形になります。

このように調達を実施した後、構築の段階に進みます。

まず、契約を締結した事業者と、開発協議を行います。
仮にパッケージシステムの導入だったとしても、マスターの決定や細かな表示項目、出力項目の調整等各種調整事項が発生するとありますので、この開発協議で細かいところをきちんと詰めておく必要があります。

 続いて、データ移行について話し合う必要があります。
 共同調達の場合、先行して校務支援システムを導入している自治体が入っているかもしれません。データ移行を行わない場合、これまで蓄積してきたデータが新しく導入される校務支援システムに引き継がれないということですから、手引きにもあるように、何らかの方法法でデータ移行を行うことを検討したほうが良いでしょう。

 蓄積されているデータは、例えば小学校の場合、指導要録に活かすことが出来るはずです。今の6年生の過去5年分のデータが旧システムにあり、6年生は新システム、となると、指導要録をどうするのかという問題がすぐに出てきますね。全員分印刷してそれを使う、ということにするのか、データ移行して同一システム内で参照できるようにするのか、ということ等現場の声を含めてよく検討しておく必要があります。(もっとも、データ移行した場合、「それらが正しくすべて移行されているか」という確認作業が発生するため、それが現実的かどうなのか考える必要があります)

データ移行の方法としては、手引きには学校担当者が移行する方法と、事業者が移行する方法の2つがあげられています。それぞれのメリット・デメリットは以下の表のとおりです。
データ移行方法とメリット・デメリット
統合型校務支援システムの導入・利用に関する手引き 第5章P140から引用
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2018/08/30/1408684-003.pdf

 先生がデータ移行を行うのは学校担当者の負担が非常に大きくなります。業者が行うためには旧システムのデータを事前に取り出しておく必要があるので、それを忘れないようにする必要がありますね。
 どちらで行うのか、メリットとデメリットをよく考えて、学校規模や個人情報の取り扱いなど優先して考えるものを事前に確認しておくとスムーズです。

 データ移行の留意点として、手引きでは6点あげられています。

1 データ移行の範囲、方法、費用対効果、メリット・デメリットを評価する
  異なる構造を持つ大量のデータを移行するのは非常に煩雑でミスも起こりやすく、手間も時間もかかります。ですので、移行の範囲についてはよくよく考えて決める必要があります。先ほど指導要録の例で申し上げましたが、「データ移行後本当に正しくすべて移行されているか」の確認の問題から、公簿に記載されている過年度のデータ移行は多くの自治体で行っていないということです。

2 APPLICに準拠した製品同士でも、個別対応が発生する場合がある
 APPLIC(一般財団法人全国地域情報化推進協会)が策定した「地域情報プラットフォーム標準仕様書」及び「教育情報アプリケーションユニット標準仕様」に完全準拠しており、準拠登録・相互接続確認製品マークを受けている製品同士のデータ移行であれば、データ項目が標準化されていることから、データ移行にあたっての調整が原則不要と考えられている、と手引きでは紹介されています。
 ですが、この仕様は「文科省や日本学校保健会が出している参考様式通り」に作成されていることが大前提としてあります。よって、指導要録や健康診断票のカスタマイズを行っている場合、すべてのデータが正しく移行されるとは限りません。さらに、複数のデータの一括出力・一括取り込みには対応していないとのことで、安易にAPPLICだから大丈夫、ということではないということをご理解いただいておくと安心です。

3 データ移行の作業費用が高額になる可能性がある
 RFIの段階で、データ移行作業にかかる費用の見積もりを取得しておくことを手引きも私も推奨します。とにかくデータを移動するというのは骨が折れる作業です。手間がかかるということは人を動かさなければならないので費用がかさみます。事前にある程度予想しておくことが重要です。

4 外字の移行について方針を決定しておく必要がある
 名前のために外字を登録している自治体も多いでしょう。その外字の新システムへの移行の方法、あるいは新システムで使用する外字については事業者と調整のうえ方針を決めておく必要があります。
 ある校務支援システムでは帳票毎に外字の設定が必要だということですので、そういう点もRFI時点で明らかにしておけるといいですね。

5 新システムの表記方法のルールを確認しておく必要がある
 例えば電話番号を市外局番から記載するのかどうか等、ルールは細かいところで違っていることが多いです。確認せずに移行して、0565-12-3456という電話番号が 0565-12 までしか入っていなかった、となると目も当てられません。必ず移行前に確認しておく必要があります。

6 次のシステム更改を見据えたデータ移行の考慮
 自治体が使用するシステムは、ずっとそのまま、というわけにいかないのが世の常ですね。新システムに更改する際に、旧システムの事業者が非協力的だったり、多額のデータ移行費用を請求する、というトラブルが起こるリスクも考えておかなければなりません。
 一番確実なのは手引きにあるように「システム更改に際しては、本システムに格納している全データについて、契約の範囲内でデータ抽出を行うこと」等を要求できるよう、調達仕様書に明記し、契約内容に含めて負うことです。

 実際にデータ移行を行った福井県では、小・中学校は生徒情報のみ必須、高等学校では在校生の在席データ、出欠データ、成績データ等を移行するとのことです。
 北海道では、データ移行は希望性、旧システムの利用状況に応じてデータ移行を希望した小中学校について実施したとのことです。

 それぞれの自治体に合ったデータ移行を考えていく必要がありますね。

 次回は第2部第5章の続き、稼働前の準備についてご説明させていただければと思います。

 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。