教育の情報化加速化プランを読み解く 今すぐ実現する施策の期待度

皆さんこんにちは。今回からは「教育の情報化加速化プラン」についてご説明をさせて頂きます。
教育の情報化加速化プランイメージ
平成28年7月29日に文科省から公表されたこのプランは、twitterでもご紹介した通り、ICTを効果的に活用した、新たな「学び」やそれを実現していくための「学びの場」を形成していくためのプランです。
平成28年7月28日にとりまとめられた「2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会※リンク先PDF」における議論をもとに、「教育の情報化加速化プラン※リンク先PDF」が策定されたということですので、2020年代に向けた教育の情報化を実現するためのプランですね。
この加速化プランは10Pとコンパクトにまとめられていて、非常に読みやすくわかりやすい資料となっています。それぞれの項目の目標が個別に設定されていて、いつ何を実現するのか、というのがわかり、読んでいて非常にわくわくしてしまいます。

 このプランは「平成28年度から32年度にかけてのおおむね5年間」について示されています。ちょうど東京オリンピック・パラリンピックを迎える年までの計画ということですね。

 3章以降は具体的な取り組み施策について述べられています。
 本日は3-1 2020年代の「次世代の学校・地域」におけるICT活用のビジョン等の提示
 をご説明させてください。

 3-1では「教員自身が授業内容や子供の姿に応じて自在にICTを活用しながら授業設計を行えるよう、児童生徒一人一台の教育用コンピュータ環境の実現を目指し、段階的な整備を行う」ことについて述べられています。
 大きく分けて4項目あり、それを実現するために合計6つの施策を行うことになっています。
 プランの施策の一番最初に述べられるだけあって、本年度中に開始等の「今すぐ行う」施策が並んでいます。

 まず1つ目「ICT環境整備の目標の考え方」については、

  • ・ICT整備目標を平成28年度内をめどに検討・結論
  • ・平成29年度以降の学校における教育の情報化の実態等に関する調査の項目内容を大型提示装置活用の観点で整理

 があげられています。教育の情報化に関する手引きや教育の情報化ビジョンが公開されて5年以上が経過した現在、ICT機器も日進月歩で進歩していることを鑑みて「環境整備」の重点を「教員自身が授業内容や子供の姿に応じて自在にICTを活用しながら授業設計を行えるようにする」に置いて検討する必要が出てきたということですね。
 また、大型提示装置についても電子黒板のみではなく、工夫すればテレビやプロジェクターも電子黒板と遜色ない機能を発揮し、授業での活用が進むようになってきた昨今、毎年行われている教育の情報化の実態等に関する調査で現状を把握し、それを元にできるだけ無理のない整備計画を国が建てていけば行政職の皆さんも見通しが立てやすいですね。

 2つ目は「情報端末の保護者負担や個人用情報端末の学校での利用」のための施策です。

  • ・高等学校において、教育用コンピュータ購入費用の各家庭負担についての課題を平成29年度内をめどに検討・結論
  • ・教育用コンピュータの保護者負担理解を得るための取り組みを平成29年から実施

 とあります。
 2020年までに一人1台の端末を、という目標を掲げた教育の情報化プランに沿っているわけですが、その端末をすべて行政が負担というわけにはいかないのが現状ですね。
 ですので、最大限の努力を行ったうえで保護者に一定額の負担をしてもらうわけにはいかないだろうか、という考えが出てくるのはもっともです。2020年まであと4年しかありませんから、「理解を得る」という時間のかかる仕事を行うためにも喫緊の課題です。

3つ目は「「教育ICT機材整備指針(仮称)」の策定」です。

  • ・国としての学校におけるICT環境の整備の考え方を平成28年度内をめどに検討・結論

とありますので、今年度中に内容が発表される予定ですね。
「学校にはこれだけのものが必要である」という基準を国が示すということになります。財政措置上大きな味方となってくれることは間違いないですね。私は発表を今か今かと待ちわびています。

4つ目は「ICT活用の効果測定の実施」です。

  • ・ICT活用モデルの構築と合わせて多面的な効果測定に向けた取り組みを推進する

とあります。「ICTを活用したら〇〇が上がった」という成果について、「ICTを活用したから」なのか「他の◇◇施策も合わせて活用したから」なのか明示できなければ、ICT活用について市民の理解を得るのは難しくなりますね。
 ですので、効果測定について説得力ある結果が発表されれば、それを元に考えを深めていくことが可能となり、よりよいICT活用のアイディアも生まれます。整備計画も優先順位がつけやすくなります。
 こちらも私は発表を首を長くして待っています。

このように、すぐに実施するための非常に具体的な施策が策定されていて、教育の情報化を加速する意気込みが伝わってくるようですね。
これからの世界を生き抜くための生きる力を子どもたちに身に付けさせるために、ICTは今後外せないソリューションとなっていくことは間違いありません。

次回は3-2 授業・学習面でのICTの活用についてご説明させていただきます。

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