関係者の意識の共有についての提言です

皆さんこんにちは

ICTに関する様々な動きが加速度的に出てきましたね。
文科省からは「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」について が公開されました。
http://www.mext.go.jp/a_menu/other/1411332.htm

今の学校のICT活用のイメージ
今日は基盤となるICT環境の整備のうち、関係者の意識の共有と専門性をもった人材の育成・確保のための取組の推進 についてご説明させていただきます。

 文科省はじめ政府は大きな危機感を抱いています。まとめのあちこちにその危機感がのぞいているのですが、この部分には特ににじみ出ていますね。
「ICT環境の可及的速やかな整備促進に向けては、関係者(首長部局・教育委員会・学校・教師等)が学校現場のICT環境整備の現状・課題、その必要性を共有するとともに…」という部分を裏返すと、「必要性の共有が十分なされていない」という現状を認識しているということですね。
 年間の時間数は誰にも有限です。今後の子どもたちは「トライ&エラーで正解を見つけていく」体験が必要だということも先生方はわかってみえると思います。
 それでは、そのトライ&エラーについて、ICTを活用することと模造紙を活用することと、どちらがより多くの体験をできるでしょうか。これを申し上げると「紙の温かさが」「実際にはさみで切り抜く体験が」「失敗できないという緊張感でよいものができる」等々の反応が返ってくるのですが、どれも目的に外れた議論です。「トライ&エラーを何回もさせる」ことができるのはICT機器の圧勝です。はさみで切り抜く体験をするための授業なら、ICTははさみに劣るでしょう。
 授業の目的を明確にして、「これを行いたいからこのツールを使う」の「このツール」について、現場の先生方の理解と、導入する教育委員会、お金を握る首長部局がそれぞれ良い着地点を見つけないといけないよ、と言っているわけです。

 「この財政状況でICT機器にお金をかけるなんてとんでもない。こんな少ししか使っていないならできるだけ安価に、不必要なものは取り除いて導入しないと by首長部局」
「必要性をいくら首長部局に説明しても稼働率をたてに取り合ってもらえない。でも数は必要だから何とかできるだけぎりぎりに切り詰めて… by教育委員会」
「で、授業に使えない機器を押し付けられて使え使えと言われても起動に10分、画面スリープから復帰するのに5分、常設のアクセスポイントもないからアクセスポイントも持ち運んで……なんて授業で使えるわけがない! by先生」
 と、悪循環にはまり込むわけですね。

 そこで、「ICT活用教育アドバイザー」の活用や「全国ICT教育首長協議会」の力を借りることが提案されています。
 ICT活用教育アドバイザーに首長部局との話し合いの際立ち会ってもらい、外部識者の客観的な意見を言ってもらったりするのもよいかもしれません。
 現場に対しては、教育の情報化の手引きと、養成段階でのICTを活用した指導法を実践的に学ぶことも挙げられています。私が研究のためお世話になっている大学でも、ICTを活用した指導法について、担当する先生によってばらつきがあるのがとても気になります。ICTなんかに頼ってはダメ、あるいはICTなど使わずともチョーク一本で授業してなんぼ、という考え方が未だ根強く残っている部分もあります。
 現場の意識はすぐには変えられませんね。ただ、「学び続けること」が必須の現在において、「大学生の時にならったこと」「小学校の時の先生の教え方のまね」だけですべて通用するわけではありません。

 私の父は小学校教員でした。実家に帰って話すたびに「100年前の医者がタイムスリップしてきても今の病院では絶対に働けないのに、教員は働ける。そこが問題だ」と言っています。新しい技術が楽にできる部分、楽しくできる部分を積極的に活用すればもっともっと素晴らしい教育ができるのではないでしょうか。それは最先端の技術ではありません。既に世の中に出て、たくさんの人が使っている技術です。
 諸外国では既にその技術を子どもたちは使いこなしています。保護者にも連絡プリントなどではなく、インターネットを介した連絡が普通に行われています。

 

 既に私たちの住む世界は、ICTがインフラになっています。固定電話のみで今生活できるでしょうか。インターネットに接続せずに生活できるでしょうか。会社でプレゼンを行うときに手書きの資料を模造紙に大きく写すでしょうか。お客様に新しい商品を説明するときに、特に何の資料もなくカタログだけを渡して「今カタログの94ページをご説明していますので、開いてください」などというでしょうか。保険の契約を継続するときに「前の契約の書類は個人情報のため持ち運べません。もう一度紙に書いてください」などということは発生するでしょうか。給与計算を算盤で行うでしょうか。人工衛星の軌道計算を計算尺で行うでしょうか。
 
 首長部局、教育委員会、現場の先生との意識の擦り合わせが必要ですね。

 次回は文部科学省による教育行政のICT必須化についてご説明させていただきます。

何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

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