令和の日本型教育とは10

「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)が令和3年1月26日に中央教育審議会より出されました。

この答申を少しずつ読んでいきましょう。今までチュウキョウシントウシンとカタカナで聞こえていた内容が、中教審答申と漢字で聞こえるようになるように、行政職の皆様も知識を蓄えていっていただければと思います。

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本日は第1部総論の4「令和の日本型 学校教育」の構築に向けた今後の方向性」を読んでいきましょう。

(2) 連携・分担による学校マネジメントを実現するには今のままでは学校は業務が多すぎるので、連携と分担をマネジメントする必要がある、というところから始まっています。

業務を適正に分担するために、様々な連携を実施する、ということですね。続いて少し長いですが、画期的な文言なので引用します。

「教師とは異なる知見を持つ外部人材や スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の専門スタッフなど 多様な人材が指導に携わることができる学校を実現することが求められる。 また、事務職員が校務運営に参画する機会を一層拡大し、主体的・積極的に財務・総務等に通じる専門職としての役割を果たすことが期待される」

外部スタッフの力を借りることを、こんなに頭に持ってきているわけです。だいぶん変わってきましたが、学校現場にスクールカウンセラーが入った当初は「黒船の襲来」とまで言われていました。今では外部スタッフが、その専門性を活かして、チーム学校としてやっていこう、という形がかなり浸透してきたと考えられますね。そして、その力を借りないと先生方が疲弊して大変なことになるという警鐘が鳴らされているわけです。

また、「子供たちの教育は、学校・家庭・地域がそれぞれの役割と責任を果たすとともに、相互に連携・協働してこそ効果が上がる」とあります。学校が全てを背負うのは間違いです。深夜のスマホのトラブルが「学校の責任だ」と言い張る保護者はたくさんいますが、果たしてそうでしょうか。そのスマホは、保護者が買い与え、おそらく保護者が料金を支払っているもののはずです。そして、トラブルが起こったのは家の中です。もちろん学校での人間関係が関わっていることは当然ですが、だからと言って保護者の責任が全くないかのようにふるまうのは、とても残念なことです。みんなで「どうすれば子供のためになるのか」を考えることのできる関係でありたいものです。

また、地域との連携はPTAやコミュニティスクールはもちろん、児童相談所等の福祉機関・NPO・地域スポーツクラブ・図書館・公民館等の社会教育施設などとの連携も欠かせません。普段から公民館と連携していれば、「ちょっと気になるんだけど…」と小さな芽の時に各所連携して対応できる可能性が高まります。

その音頭を取ることを期待されているのは、やはり学校でしょう。学校はうまく音頭を取って、連携先・分担先にちょっとずつ仕事を割り振って、全部背負い込まずに済むようにしたらいいと思うのです。その仕事が負担なんだよ、ということはあると思いますが、分担したからその仕事全てなくなるか、というわけでもないことは承知していただければと思います。全てなくなるためには丸投げするしかありませんが、もともと学校で必要としてやってきたことのはずです。学校の関わる割合を減らしていって、負担を減らす、という風に考えていただければと思います。

次回は第1部総論の4「「令和の日本型 学校教育」の構築に向けた今後の方向性」の続きを読んでいきます。

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