授業目的公衆送信補償金制度のFAQが便利です

皆さんこんにちは

「授業目的公衆送信補償金制度」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。

2018年の著作権法改正により創設され、2020年4月にスタートした制度です。学校、自治体に大いに関係する制度ですので、詳しく見ていくことにしましょう。

本日は「補償金制度 よくあるご質問(2020年4月)」についてご説明いたします。

新しい制度ですから、知りたいことはたくさんありますね。そう思った人たちから寄せられた質問に対しての回答が掲載されています。

https://sartras.or.jp/seidofaq/を開いて、ブラウザの検索機能で聞きたいことを検索してみると、既に回答がある質問かもしれません。「どうなんだろう」と思い悩んでいる時間はもったいないので、まずは検索してみましょう。

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FAQのページでは回答が4つに分類されています。

1.授業目的公衆送信補償金制度について

2.著作物の利用について

3.運用指針について

4.教育機関の届け出、サンプル調査について

それぞれのFAQの中から特に興味深いものをピックアップしておきましょう。

今回は、動画コンテンツについて確認していきます。 具体的に細かいFAQがあるので、目を通しておくと「どうだったっけ」と考える時間を減らすことができます。

授業でテレビ番組を映している様子を動画にとって公衆送信、という場合は小部分なら大丈夫だと明確に書かれていますので、「画面の映り込み!!!」を今後は気にする頻度が減るということですね。小部分というところが重要ですが、今までなら「画面に一瞬映ってた! 編集しなおさなきゃ!」というところに時間をかけていたわけですので、とても楽になります。

この後、現場で必ず疑問に出てくるであろうことが4つ続いています。FAQを引用します。

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Q映画やテレビドラマなどの市販Blu-rayやDVDを授業用の教材に複製の上取り入れて履修生に対してオンライン授業で公衆送信する場合、著作権者等の許諾は必要ですか?(旧質問番号2-15)

Aもっぱら家庭内での私的な視聴を目的に販売されているそれらのDVD等には、通常はコピーガードがかけられております。運用指針でも「今後検討」とされており、もしそのような利用をお考えの場合は、あらかじめ各映画・ビデオ会社までお問い合わせください。(2020.5.10 一部変更)

Q著作権法35条及び運用指針に従いオンライン授業をするにあたり、当該授業の中で教員自身が月額利用している動画配信サービスの動画を教室で流れている様子が公衆送信される場合、何か注意しなければならないことがありますか?(旧質問番号2-16)

A動画や音楽等の有料配信サービスを、契約者自身が個人として契約されている場合、個人で楽しむ目的以外でも利用することが可能かどうかは、契約時の条件に拠ることとなりますので、それぞれのサービスの利用規約等をご確認ください。(2020.5.10 一部変更)

Q著作権法第35条及び運用指針に従いオンライン授業をする場合でも、学校(教員)が授業で使うために購入した視聴覚資料を利用する場合、著作権者等の許諾が必要でしょうか?(旧質問番号2-17)

A35条及び運用指針の範囲であれば可能です。その際、特に、その利用行為によって児童生徒1人1人が購入することを前提とした商品の市場に悪影響を与えないよう留意する必要があります。例えば、児童生徒用の音声CDが販売されている場合に、指導用音声CDの音源を児童生徒が自由に利用できるようアップロードすることは「著作権者の利益を不当に害する」場合に相当する可能性があります。このような場合を含め、あらかじめ購入時の契約に利用方法の可否が盛り込まれている場合もありますので、それぞれの利用規約をご確認ください。(2020.5.10 一部変更)

 Q35条及び運用指針の範囲で著作物を利用した、いわゆるスタジオ型授業の様子を録画した映像を、公衆送信するのではなく、DVDに収め、児童生徒学生に郵送で配布する場合、著作権者等の許諾は必要ですか?(旧質問番号2-18)

A著作権法第35条1項や運用指針にしたがって著作物等を利用した授業の様子を録画したDVDであれば、児童生徒学生に郵送で配布する場合に著作権者等の許諾は不要であると考えられます。ただし、児童生徒学生に頒布するDVDの再頒布や、インターネットでの配信には、著作権者等の許諾が必要です。(2020.5.10 一部変更)

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市販のDVD等を授業のために複製して取り入れるということを考えた場合、通常はコピーガードがかけられており、補償金制度抜きで考えた場合にはコピーガードの解除を行って複製することは違法性を問われる可能性があるかと思われます。補償金制度下においてコピーガードを解除して複製することについては、運用指針でも「今後検討」ということなので注意が必要です。現時点では、発売元に問い合わせが必要ということを理解する必要がありますね。

先生方の中には有料配信サービス(に限らず有料のもの)を個人で契約してそれを授業で使う、ということを考える方が一定数いらっしゃいます。公費で買ってくれないなら自分で、というところですね。

ただ、そのサービスは「個人で楽しむ」が前提であることが多いため、公衆送信する・しない、もそうですが、そもそも授業で使用する際にも注意が必要です。著作権者の権利を侵害してはなりません。利用規約をよく読んでおくことが重要ですね。

視聴覚教材について、公費で購入したとしても、それで著作権者の権利を侵害してはなりません。指導者用の音声CDを児童生徒が自由に利用できるようアップロードする、というのはおそらく利益を不当に害する場合、に相当するのではないか、という見解が書かれています。

公衆送信ではなく、DVDにおさめて児童生徒学生に郵送で配布する場合は、35条及び運用指針の範囲で実施されているなら、1回は著作権者の許諾は不要だという見解も書かれています。ただ、再頒布、インターネット配信にするなら著作権者の許諾が必要、とあります。

どんなに細かく書いていたとしても、現場ではあれ? これは? と思うことが出てくると思います。確認をする癖をつけておきましょう。

ただ、誰もが閲覧できる公開状態のサイト等をリアルタイムで画面共有することはそのサイトを誰でも見ているのと一緒という見解が書かれてあります。これはどうして画面共有する必要があるのか? と思われる方もいらっしゃると思いますが、「ここについて話している」の「ここ」を共有する必要がある場合があるんですね。「このサイトの一番上のここ」「え? どこどこ?」ならまだいいですが、何も言わずに違うところを見て「何が何だかわからなかった」なんてことになるのは授業の意義がありません。情報を見つけることが主眼でない場合、同じものを共有するというのは非常に意義があるのです。

次回も、FAQの続きを見ていきます

 

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