授業目的公衆送信補償金制度のFAQは必見です

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皆さんこんにちは

「授業目的公衆送信補償金制度」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。

2018年の著作権法改正により創設され、2020年4月にスタートした制度です。学校、自治体に大いに関係する制度ですので、詳しく見ていくことにしましょう。

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本日は「補償金制度 よくあるご質問(2020年4月)」についてご説明いたします。

新しい制度ですから、知りたいことはたくさんありますね。そう思った人たちから寄せられた質問に対しての回答が掲載されています。

https://sartras.or.jp/seidofaq/を開いて、ブラウザの検索機能で聞きたいことを検索してみると、既に回答がある質問かもしれません。「どうなんだろう」と思い悩んでいる時間はもったいないので、まずは検索してみましょう。

FAQのページでは回答が4つに分類されています。

1.授業目的公衆送信補償金制度について

2.著作物の利用について

3.運用指針について

4.教育機関の届け出、サンプル調査についてそれぞれのFAQの中から特に興味深いものをピックアップしておきましょう。

今回は、利用の主体についてのFAQです。このあたりから話がより詳細になってきて、具体的に挙げられています。引用も長いのですが、どの内容もとても大切なので、丁寧に見ていきましょう。

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Q:運用指針12ページの文化庁作成の表に記載がありませんが、初等中等教育でオンデマンド配信(動画や教材の異時送信)は著作権者等の許諾を得る必要がありますか?(旧質問番号2-13)

A:著作権法上、授業の過程で、担任の先生が担当するクラスの児童生徒に対して配信する場合は著作権者等の許諾を得なくてもできます。12ページの表に記載がないのは、著作権法以外の考え方によるものと理解しますが、今回のコロナウイルス感染症対応の一環として、文部科学省から発出された「新型コロナウイルス感染症対策のための臨時休業等に伴い 学校に登校できない児童生徒の学習指導について(通知)」(令和2年4月10日、2文科初第87号)>で、臨時休業ガイドラインに基づく必要な措置を講じることとされておりますので、初等中等教育でもできると考えております。詳しくは文部科学省又は文化庁へお問い合わせください。

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臨時休業ガイドラインが適応されている範囲は可能ではないか、という見解が述べられていますね。ただ、現在は全国一斉の臨時休業はおそらくないでしょうし、個別の臨時休業になってきますので、詳細は文部科学省又は文化庁に問い合わせるほうが良いでしょう。

続いては、自治体内で協力し合って作成する動画教材についてのFAQです。長いのですが引用します。

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Q:町内にある2つの中学校で協力して動画教材を製作することを計画しています。その時、2つの中学校の同じ教科の先生が協力して製作したものをそれぞれの中学校で自分が担任する生徒に配信して授業を受けさせる場合、著作権者等の許諾が必要でしょうか。

A:両中学校において、自分が担任する生徒に配信して授業を受けさせる目的で、各先生が実質的に製作に関与し、協力して製作した教材であれば、著作権者等の許諾を得なくても、それぞれの先生の担任する生徒に配信することはできます。ただし、製作した教材の中で、教科書・教師用指導書・指導用教材(指導者用デジタル教科書を含む)・生徒用教材に掲載されている著作物を利用する場合は、両方の中学校において、それらが本来あるべき態様で購入等がなされている必要があります。なお、同一校内の先生方が協力して教材を製作する場合、もしくは複数の学校の先生方が協力して教材を製作する場合を問わず、教材の製作に実質的に関わった先生以外の先生と当該教材を共有する場合は、著作権者の許諾が必要となります。

*上記について、二つの学校において同じ検定教科書を採択・使用していることを前提にして、利用する出版物(著作物)ごとに留意点を補足します。

①教科書は、両校の全員に配布(無償給与)されているので、必要と認められる限度内ならば許諾を得なくても利用できます。

 ②教科書に対応した教師用指導書・指導用教材(指導者用デジタル教科書含む)に掲載されている生徒への配布・提示用資料は、それぞれの学校で当該指導書・教材が購入されている場合は、 必要と認められる限度内ならば許諾を得なくても利用できます 。(それぞれで購入されていない場合は、購入していない学校においては「購入等の代替となるような態様」での利用となるため、小部分でも許諾が必要です。)

 ③生徒用の教材のうち一人一人が学習のために直接記入する問題集、ドリル、ワークブック、テストペーパー(過去問題集含む)等の資料に掲載されている著作物については、それらが掲載されている資料の購入等の代替となるような態様で利用する場合(例えば生徒各自に配信されるプリントに掲載する等)は、小部分でも許諾が必要です。

 ④その他、採択外の教科書等は、小部分ならば許諾を得なくても利用できます。

*教材を製作した先生が、当該授業を担任することが要件となります。実質的に教育委員会や教科研究会が主導して教材を製作して、所属している先生方が利用するような場合は、著作権法第35条の要件を満たさないため、著作権者の許諾が必要です。なお、新型コロナウイルス感染症対策による休校期間の学習のための教育委員会等の組織が主体となった教科書及び教科書に掲載された個々の著作物の利用については、著作権者が特別の配慮をしている場合もありますので、関係の著作権等管理事業者等にお問い合わせください。

(2020.5.16 追加 2020.5.28 一部追記)

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自治体内で協力し合って動画を作成した場合についての注意事項ですね。配慮すべきところが4点ポイントとしてあげられています。また、「教材を制作した先生が、当該授業を担任する」ことが要件であることが注意すべきポイントですね。法の解釈としては、例えば自治体内のスーパー先生が教材を作成した場合、そのスーパー先生以外の先生が使用するためには著作権者に許諾を得る必要がある、と読み取れます。

SARTRASとしてはここではこう説明する形になります。著作権者が特別の配慮をしている場合ももちろんありますが、なかなか実態に法律が追い付かない場合がありますね。現場としては何とも歯がゆいところですが、著作権者の利益を守っていかなければ、どのような著作物も生まれなくなってしまいます。良質の著作物をたくさん享受するためには、著作権者の利益の確保が大事です。

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Q:教員が参加する学会において公衆送信をする場合は、授業目的公衆送信補償金制度の適用はなく、権利者の許諾を得て行う、ということでしょうか。

A:運用指針でも、学会は著作権法第35条1項の「学校その他の教育機関」とは位置づけておらず、位置づけることも難しいと考えます。許諾を得てご利用いただければと思います。

(2020.6.7 追加)

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学会での公衆送信での発表に使うのは明確に著作権者の許諾を得る必要があると述べられています。オンライン学会の場合は事前に必ず許諾を得ましょうということですね。

面倒だな、と思われるかもしれませんね。その意見はどんどんあちこちに発信していきましょう。文化庁や、議員など、現場の意見を取り入れてもらって法律をどんどん良くしてもらいたいですね。

次回は、FAQの続きを見ていきます