発達障害のある児童生徒へのICTの活用は、一律ではなく、その場に応じて、が適切です

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。そして、その後のICTを取り巻く状況の大きな変化に対応して、2020年6月に追補版が発行されました。要所要所を確認しながら読んでいきましょう。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

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本日は追補版第4章 発達障害のある児童生徒へのICTの活用についてご説明します。
様々な学習上の困難さに応じたICTの活用が掲載されています。障害によって「何が困難なのか」は変わりますし、ICT機器を使ったからすべて解決、ではないことも皆さんご理解いただいていると思います。ICT機器を使ったらこういう困難さが軽減されることがあるよ、ということが手引きでは述べられています。
困難さを抱えた側は、「大勢に合わせる」ことを常々強いられています。だからこそ、ICT機器を使った結果、今まで合わせなければならないので我慢していたことが、我慢せずにすむことがある、という喜びをたくさん知ってもらえれば、と思います。

発達障害のある児童生徒の中には、コンピュータ等の情報機器に興味・関心を強く示す者もいる、と手引きにはあります。もちろんそういう児童生徒には学習意欲を引き出したり、集中力を固めたりするためにICT機器を活用すれば、目に見える効果が期待されるでしょう。
また、認知処理に偏りを持つ子供の場合は、情報機器によってその偏りや苦手さを補ったり、得意な処理をより伸ばしたりするなどの活用も想定できる、とあります。例えば、字を書くことについて困難を持っている発達障害の子どもが存在しますが、代わりにキーボードで入力することで、ノートを取れる、文章を書ける、という活用方法が考えられる、ということです。
通常学級に在籍する発達障害のある児童生徒のために、指示を細かく分類し順序立てたり、紙に書いて大きくプロジェクターで投影する等を実施すると、発達障害がない児童生徒にも指示が通りやすくなる、ということが考えられます。手引きには「発達障害のある児童生徒に配慮した指導の多くは、他の児童生徒にも効果的な指導である場合がある」ことを考えるようにとあります。

これらを踏まえて、8つの情報機器の活用例が手引きには挙げられています。
1 読み書きに関する場面
2 読字や意味把握に困難さがある場合
3 書字の困難さがある場合
4 一斉学習での教材定時に関する場面
5 クラスのルール、決められた手順、役割分担、見通し及び行動修正に関する場面
6 気持ちや出来事の整理と自己コントロールや表現に関する場面
7 算数・数学などの学習に課題のある場合
8 大切な話を聞く場面
これらに、どのように機器を活用するか、という具体的な方法が書かれています。

発達障害のある子どもたちが、少しでも生きづらさから解放されるのであれば、試してみる価値はありますね。合う、合わないがありますから、どれもこれも全部やる、ではなく、「やってみたら好さそうなんじゃないか」と本人や家族、いつも見ている先生が思うことから、少しずつ試すといいかもしれません。その時に、ではそのICT機器は、どのように調達するか、ですとか、どう融通を利かせるか、に関しては行政職の皆様の出番ですね。
学校現場に役に立つ機器が導入されるととてもいいなと思います。

次回は、視覚に障害のある児童生徒のICTの活用についてお送りします。

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