ICTを活用した学習場面は、学校に限定されなくなってきました

カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き   パーマリンク

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。そして、その後のICTを取り巻く状況の大きな変化に対応して、2020年6月に追補版が発行されました。要所要所を確認しながら読んでいきましょう。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

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本日は追補版第4章 各教科等におけるICTを活用した教育の充実についてご説明します。

小学校、中学校、高等学校それぞれの教科においてどのようにICTを活用するかが書かれています。国語、算数をはじめとして特別活動や特別の教科道徳等様々な場面での活用があり、とても参考になります。今回その中でも、特に音楽、美術に注目しましょう。
STEAM教育、という言葉は耳にされたことがあると思います。STEMから、STEAMへ、現在アメリカやオーストラリアを中心に、STEAM教育の実践が広がっています。

STEAMとは、Science、 Technology、 Engineering、Art、Mathematics の頭文字をとったものです。Aが後から追加されたということは、Artが後から追加されたということですね。科学技術を実際に使い、様々なものを作り出していく力が今後必要になるわけですが、その際、Art(リベラルアーツ含む)を活用することで、より分かりやすいもの作りができる、という風に捉えられています。

文字ばかり並べたものより、デザインされたポスターや資料の方が伝わりますよね。また、リベラルアーツは教養、と訳されることが多いですが、あらゆる分野の様々な教養があることが、とてもものづくりをはじめ、人生を豊かにする経験がおありの方も多いのではないでしょうか。「月がきれいですね」の言葉をチャンスととらえるか、流すかでその後の人生が変わってしまう方もいらっしゃるかもしれません。深読みしすぎて撃沈、ということもあるかもしれませんが。

それでは、今回は小学校の音楽、中学校の美術でどのようなICT活用が紹介されているか見てみることにしましょう。

ICT機器には、便利な機能がたくさんついているものもありますが、小学校の音楽においては、学習の目的を踏まえるという意味で、厳選して絞り込んだ機能を用いる、という風に手引きにはあります。
表現活動では楽譜や歌詞を拡大提示するところから案内がある。また、自分たちの録音を聞くことは昔からよく行われてきていますが、更にそれをサウンド・スペクトログラムなどを使って「音を可視化する」という手法にも言及されています。

また、楽器の音色を変えることも簡単にできることから、どの楽器で演奏するのが良いか、ということも比べて考えられる、とあります。

鑑賞では、曲のどの部分を聞いているかわかるようにしたり、曲を分割して、正しい順番に並べ替えたりする、という活動が考えられるとあります。
従来の手法でもできることですが、ICTを活用すると、よりたくさんの量が経験できるというものですね。音楽に触れる、ということだけで人間の魂が揺さぶられることがあります。必ずそうなるわけではありませんが、そういうことも起こる、ということは分かっているのですから、その機会がたくさんあるとよいですね。

中学校の美術では、ICTを活用することと、実物を見たり、実際に対象に触れたりすることを題材のねらいに応じて吟味し、効果的な指導を行うよう手引きにはあります。これらを実施することで、生徒が見通しをもって主体的に学習を進めたり、互いの見方や感じ方、考え方を共有して思考を深めたり、振り返って新たな課題を見つけたりする活動を充実することが重要、とあります。
発想や構想をする活動では、制作過程や作品をデジカメ等で撮影し、振り返りの学習に活用する、という手法が提示されています。作品の途中の姿は忘れてしまいがちですので、振り返りの時に「そういえばここではこういうことを思って作っていた」ということを思い出せるだけでも成功と言っていいのではないでしょうか。

表現活動では、映像メディアによる表現の発展性に言及されています。写真、ビデオ、コンピューター等従来の表現手法にとらわれない新しい表現手法を考えていけるといいですね。それこそ「ロードランナー」がその後の映画を変えたように、「AKIRA」のバイクが世界中に広まったように、時代を切り開く表現手法がありますね。コンピュータグラフィックの発展も目覚ましく、今やゲームの3Dポリゴンはアニメーションのように滑らかに動きます。積極的に様々な表現手法を取り入れることが求められる、とあります。私も、これを書いていると「漫画で表現できたら一瞬なのにな」ということをよく思います。

美術作品や美術文化などの見方や感じ方を広げたり深めたりする場面では、実物と直接向かい合うことが理想であるとありますが、すべての本物にはなかなか出会えません。本物に出会える機会を確保しつつ、その何倍もICT機器を使って出会える活動を行っておくことは大切ですね。私も、いつも読んでいる漫画の原画展に行ったときのことを鮮明に覚えています。紙で単行本を買い、電子書籍でも買い、とそれくらい好きな作品で、そのシーンも穴が開くほど何度も何度も繰り返し読んでいたのですが、原画を見たときに圧倒されました。圧倒される、という表現でしか表現できないところがもどかしいのですが、「やはり本物は違う」ということをとても理解した瞬間でした。インターネット越し、印刷越し、モニター越しでもよさは十分感じられますし、たくさんの作品に出会えます。そのうえで、本物に触れる機会があるとなおいいですね。

このような形で、授業に溶け込んだICT活用についてそれぞれの教科での説明がなされています。ぜひ、ご覧になっていただくと、どのようなICT機器を入れるといいのか、という目が養われると思います。拡大提示装置が必須なことがわかっていただけるのでは、と思います。

次回は特別支援教育におけるICTの活用についてご説明します。