教育委員会行政職の皆様に送る 教育の情報化について抑えるべき10の資料と3観点

投稿日 | カテゴリー: ICT支援員の育成・確保のための調査研究事業 成果報告書, クラウド導入ガイドブック, 小学校プログラミング教育の手引き, 情報活用能力を育成するためのカリキュラム・マネジメントの在り方と授業デザイン, 教員の多忙化, 教育ICTガイドブック, 教育のIT化に向けた環境整備4か年計画, 教育の情報化に関する手引き, 教育の情報化の実態化に関する調査, 教育の情報化ビジョン, 教育の情報化加速化プラン, 教育委員会でコンピュータ関連の担当になったら最初に読む, 教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン, 教育情報化コーディネーター |

皆様こんにちは

教育情報化コーディネーター1級保持者が「教育委員会行政職」の皆様に「教育の情報化」について情報をご提供させていただいているHBI通信もおかげさまで100回を超えることができました。ありがとうございます。
 記事が多くなりましたので交通整理のために改めて目次を設定させていただきます。お仕事のお役に立てれば幸いです。

HBI通信イメージ

◆教育委員会でコンピュータ関連の担当になったら最初に読む

1 教育の情報化ビジョン(平成23年4月28日公開)
https://ict-help.jp/hbi/category/read-first/information-vision/
2 教育の情報化に関する手引き(平成22年10月29日公開)
https://ict-help.jp/hbi/category/read-first/information-manual/

 
これら2つの資料は、現在の教育の情報化を考えるうえでわかっていることが前提、という扱いの資料になります。公開されてから時間が経っていますが、まずこちらに目を通していただくことが必要かと思います。

3 教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(平成29年10月18日公開)
https://ict-help.jp/hbi/category/%e6%95%99%e8%82%b2%e6%83%85%e5%a0%b1%e3%82%bb%e3%82%ad%e3%83%a5%e3%83%aa%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%9d%e3%83%aa%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%81%ab%e9%96%a2%e3%81%99%e3%82%8b%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%83%89%e3%83%a9/

待ったなしの対策を余儀なくされるセキュリティに関してまとまっている資料です。難しいと感じられる方も多い資料ですが、少しずつご一緒に読み解いていければと思います。

4 教育の情報化加速化プラン(平成28年7月28日策定)
https://ict-help.jp/hbi/category/read-first/%e6%95%99%e8%82%b2%e3%81%ae%e6%83%85%e5%a0%b1%e5%8c%96%e5%8a%a0%e9%80%9f%e5%8c%96%e3%83%97%e3%83%a9%e3%83%b3/
もっとも読みやすいと思われる資料です。10Pとまとまっており、今すぐ何を行うか、と具体的な事例が書かれています。

5 小学校プログラミング教育の手引き(平成30年3月30日公開)
https://ict-help.jp/hbi/category/%e5%b0%8f%e5%ad%a6%e6%a0%a1%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%83%9f%e3%83%b3%e3%82%b0%e6%95%99%e8%82%b2%e3%81%ae%e6%89%8b%e5%bc%95%e3%81%8d/
2020年より必修化される小学校プログラミング教育についての手引きです。「今後こういうことを現場で行う必要がある」ということについてご理解いただくための資料になるかと思います。

◆事例を知りたくなった時に読む資料

6 教育ICTガイドブック(平成29年6月30日公表)
https://ict-help.jp/hbi/category/%e6%95%99%e8%82%b2ict%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%83%89%e3%83%96%e3%83%83%e3%82%af/
7 クラウド導入ガイドブック(平成28年5月20日公表)
https://ict-help.jp/hbi/category/%e3%82%af%e3%83%a9%e3%82%a6%e3%83%89%e5%b0%8e%e5%85%a5%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%83%89%e3%83%96%e3%83%83%e3%82%af/

環境整備の道筋がわかる資料です。先進的な他自治体の事例も豊富に載っていますので、「提案されても想像がつかない」ようなことについて調べるとき重宝されるのではと思います。

8 情報活用能力を育成するためのカリキュラム・マネジメントの在り方と授業デザイン(平成30年5月公開)
https://ict-help.jp/hbi/category/%e6%83%85%e5%a0%b1%e6%b4%bb%e7%94%a8%e8%83%bd%e5%8a%9b%e3%82%92%e8%82%b2%e6%88%90%e3%81%99%e3%82%8b%e3%81%9f%e3%82%81%e3%81%ae%e3%82%ab%e3%83%aa%e3%82%ad%e3%83%a5%e3%83%a9%e3%83%a0%e3%83%bb%e3%83%9e/
先生方が普段どうやって子供たちの学びに向き合っているか、豊富で具体的な事例でICT活用を行いつつ今後の授業について考えるための資料です。どのような機器をどう使うか、のイメージが沸きやすいかと思います。

◆業務の参考となるもの

10 ICT支援員の育成・確保のための調査研究事業 成果報告書
https://ict-help.jp/hbi/category/ict%e6%94%af%e6%8f%b4%e5%93%a1%e3%81%ae%e8%82%b2%e6%88%90%e3%83%bb%e7%a2%ba%e4%bf%9d%e3%81%ae%e3%81%9f%e3%82%81%e3%81%ae%e8%aa%bf%e6%9f%bb%e7%a0%94%e7%a9%b6%e4%ba%8b%e6%a5%ad%e3%80%80%e6%88%90/
ICT支援員を活用したいときにどのようなことに気を付けて活用すれば費用対効果として最大限となるか等のヒントが満載です。

11 教員の多忙化
https://ict-help.jp/hbi/category/%e6%95%99%e5%93%a1%e3%81%ae%e5%a4%9a%e5%bf%99%e5%8c%96/

そもそもなぜ先生は多忙なのでしょうか。ご自分が学校で見ていた先生と今の先生は何が違うのでしょうか?根本をご理解いただきたいと思います。

これらの記事をご確認いただいて、少しでも皆様の自治体の教育の情報化に貢献できれば幸いです。

情報モラルの学びが大事です

投稿日 | カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き |

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。
GIGAスクール構想が立ち上がり、それに伴った内容に書き換えていたため公開が遅くなったとのことです。本編254ページ、付録も合わせると360ページという超大作なので、要所要所を確認しながら読んでいきましょう。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html
教育の情報化イメージ

 今回は、情報モラルについてご説明します。
 情報モラル教育が大事だということはみんなすぐにわかりますが、ではどのように教育していけばよいか、となると先生が各個人で考えるより、ベースとなるものがあり、そこから更に発展していけるものがあると便利です。
文科省からは情報モラル指導モデルカリキュラムが公表されています。手引きにも2ページにわたって掲載されています。元の資料はhttps://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/1296900.htm です。
 発達段階ごとに分けられていますので、ベースとして活用することで、情報モラル教育がよりやりやすくなると思います。

 では、情報モラル教育の問題の本質とは何か、というところを手引きでは取り上げています。それは

 情報モラル=日常モラル+情報技術の特性

であること、その要因や結果を整理すると、大きく以下3つの視点に整理できること

  • 1 (インターネットやSNS、ゲーム等に)依存する
  • 2 相手とのやり取りで問題を起こす
  • 3 自分が被害者や加害者になる

ということが述べられています。
それでは、どのような指導をしていくかというと

  • ・日常モラルを育てる
  • ・仕組みを理解させる
  • ・日常モラルと仕組みを併せて考えさせる

ということが重要です。
分かりやすく図示されているので見てみましょう。
情報モラルの判断に必要な要素
教育の情報化に関する手引き P45より引用
https://www.mext.go.jp/content/20191219-mxt_jogai01-000003284_002.pdf
日常モラルは、先生方が日ごろから指導されていることですので、行政職の皆様も安心してお話しできると思います。
情報技術の仕組みについては5個挙げられています。

  • ・公開性
  • ・記録性
  • ・信憑性
  • ・公共性
  • ・流出性

これらは、言葉にしてきちんと見ると、確かにそうだな、と理解できることも多いのではないでしょうか。ふんわり何となくより、意識してこういうことだ、と思うと先生方もきっと指導しやすいですね。
そのため、行政職の皆様としては「教育情報化の手引きに資料があったよ」とお伝えいただくと、先生方も助かるのではと思います。
心理的、身体的特性についても言及されています。変わっていくもの、変わらないものがありますが、「どんなに気を遣っても必ず誤解やトラブルは生じる可能性がある」ということを教える必要がある、とあります。文字を使ったやり取りでも面前のやり取りでも、結局すべてが伝わり切ることはない、ということですね。
機器やサービスの特徴としては「無料なのにはわけがある」を教えるということが述べられています。
特にお小遣いを節約したい児童生徒は無料に飛びつきがちですね。ですが、どうしてそれが無料なのか、考えないまま飛びつくのが問題であるという意識を持たせていかないといけない、ということですね。

 次回はこの続き、更に情報モラルについてもう少しお送りします。情報モラルは、やらなければならないことは分かっていても、最新の何をどうしたらよい、という状態がずっと続く気分になります。丁寧に見ていきましょう。
 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

カリキュラムマネジメントも情報モラルも、ずっと必要だと言われています

投稿日 | カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き |

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。
GIGAスクール構想が立ち上がり、それに伴った内容に書き換えていたため公開が遅くなったとのことです。本編254ページ、付録も合わせると360ページという超大作なので、要所要所を確認しながら読んでいきましょう。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html
教育の情報化のイメージ

 今回は、情報活用能力の育成のためのカリキュラム・マネジメントについてご説明します。
 カリキュラム・マネジメントの3つの側面として以下のものが挙げられています。

  • ・各教科等の教育内容を相互の関係で捉え,学校教育目標を踏まえた教科等横断的な視点で,その目標の達成に必要な教育の内容を組織的に配列していくこと。
  • ・ 教育内容の質の向上に向けて,子供たちの姿や地域の現状等に関する調査や各種データ等に基づき,教育課程を編成し,実施し,評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立すること。
  • ・ 教育内容と,教育活動に必要な人的・物的資源等を,地域等の外部の資源も含めて活用しながら効果的に組み合わせること。

 

 これを、情報活用能力育成に係るカリキュラム・マネジメント及び一連の流れとしては、HBI通信でもお伝えしたように、主に準備期、実践期、改善期と検討していく例が示されています。
情報活用能力育成のためのカリキュラム・マネジメントモデル

教育の情報化に関する手引き P33より引用
https://www.mext.go.jp/content/20191219-mxt_jogai01-000003284_002.pdf

続いて第4節「学校における情報モラル教育」が述べられています。一時期インターネットの闇、という表現がよく使われていましたが、情報モラル教育は情報活用能力を身に付ける上でも重要です。
 手引きにも「児童生徒が自他の権利を尊重し情報社会での行動に責任を持つとともに、犯罪被害を含む危機を回避し、情報を正しく安全に利用できるようにするため学校における情報モラル教育は極めて重要である」とある通りですね。学習指導要領にも総則に情報活用能力(情報モラルを含む)という記載があります。
 また、児童生徒のインターネット利用の実態として、4点まとめられています。

  • ① 児童生徒のインターネット利用について,スマートフォンのみならず,タブレットやゲーム機などの機器を利用することで早期からインターネットを利用する傾向にある。
  • ② インターネット利用の内容として,情報検索だけでなく,SNS や動画視聴の利用が多くなっている。これにより,インターネットを過度に使用してしまう「ネット依存」や「使いすぎ」に該当する児童生徒が増加することが懸念される。
  • ③ SNS の利用増加により,家族や友人だけではなく,知らない人とのメールやメッセージのやり取りが容易になっている。これにより,インターネット上で知り合った人とのトラブルにつながることが懸念される。
  • ④ インターネットの利用時間やトラブル経験について,人により認識が異なることが指摘されている。つまり,インターネット上でのトラブルにつながる問題行動について,「トラブルを起こしてしまうかもしれない」という自覚がないまま,インターネットを利用している可能性が考えられる。

 手引きには「このような傾向から、情報モラル教育には、即座に出会うかもしれない危険をうまく避ける知識を与えるとともに、一方では情報社会の特性の理解を進め、自分自身で的確に判断する力を育成することが求められる」とあります。
 即座に出会ってしまう可能性がある、というところが悩ましいところですね。例えば夜の繁華街に出ていかない、というのは指導しやすいことですが、普通にインターネットを閲覧しているだけで危険に出会う可能性があるわけです。

 次回はこの続き、情報モラルについてもう少しお送りします。
 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

情報活用能力の重要性がますます高まってきました

投稿日 | カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き |

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。
GIGAスクール構想が立ち上がり、それに伴った内容に書き換えていたため公開が遅くなったとのことです。本編254ページ、付録も合わせると360ページという超大作なので、要所要所を確認しながら読んでいきましょう。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html
教育の情報化イメージ

 今回は、情報活用能力の育成、これまでの情報活用能力の育成と学習の基盤となる資質、能力としての情報活用能力についてご説明します。

 はじめに述べられているのが「情報活用能力」の定義です。世の中の様々な事象を情報とその結びつきとしてとらえ、情報及び情報技術を適切かつ効果的に活用して、問題を発見・解決したり自分の考えを形成したりしていくために必要な資質・能力である、と述べられています。
 これからの時代を生きる子どもたちが、情報を持っているだけではなく、結びつきを考え、それによって問題を解決したり、新たに発見したり、自分の考えを作っていったりするための能力ということですね。ブラウザで検索できれば良い、ではなく、その検索結果を主体的に活用できるようにするというのもこの1つですね。

 これまでの情報活用能力育成の経緯が手引きにまとめられています。昭和59年に開始された臨時教育審議会ですでに議論されていたということですから、当時の文部省はとても先見の明があったと言えますね。平成9年には情報活用能力が3観点にまとめられました。

  • A 情報活用の実践力
  • B 情報の科学的な理解
  • C 情報社会に参画する態度

平成22年の教育の情報化に関する手引きで、3観点に付随する8要素にまとめられました。

  • A 情報活用の実践力
  • ・課題や目的に応じた情報手段の適切な活用
  • ・必要な情報の主体的な収集・判断・表現・処理・創造
  • ・受け手の状況などを踏まえた発信・伝達
  • B 情報の科学的な理解
  • ・情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解
  • ・情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解
  • C 情報社会に参画する態度
  • ・社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割や及ぼしている影響の理解
  • ・情報のモラルの必要性や情報に対する責任
  • ・望ましい情報社会の想像に参画しようとする態度

これらに基づいて、各地でカリキュラム作成や授業実践がなされていますね。

 情報活用能力の調査も実施されました。平成25年度に小・中学校、平成27年度に高等学校を調査しましたが、その中で印象的な調査結果が概要としてまとめられています。実際に調査した衝撃がまとめられましたね。
情報活用能力調査結果の概要
「教育の情報化に関する手引」(令和元年12月)について P22より引用
https://www.mext.go.jp/content/20191219-mxt_jogai01-000003284_002.pdf
小学生のタイピング速度は1分間に約6文字でした。10秒に1文字しか打てない、というのは驚きでしたね。今後の入力デバイスがどのようになるかわかりませんが、現状キーボードは入力デバイスで一番普及しているのではないかと思われます。情報を活用するために、まずは情報を得る、情報を作る、情報を発信する、というようなことが必要ですが、その情報をパソコンに入力することに時間がかかる、というのは根本的な問題ですね。
 学習指導要領の総則で「文字入力」についても言及がありますが、やはり総則ではなかなか現場に浸透しないというところがあると思います。
 そのため、平成29・30年に公示された学習指導要領では、「学習の基盤となる資質・能力」の一つと位置付けられました。ここでは3観点8要素だけではなく、各教科において育むことを目指す資質・能力と同様に「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱によってとらえていくことが提言され、以下のように整理されました。

○知識及び技能(何を理解しているか,何ができるか)
情報と情報技術を活用した問題の発見・解決等の方法や,情報化の進展が社会の中で果たす役割や影響,技術に関する法・制度やマナー,個人が果たす役割や責任等について,情報の科学的な理解に裏打ちされた形で理解し,情報と情報技術を適切に活用するために必要な技能を身に付けていること。
○思考力,判断力,表現力等(理解していること,できることをどう使うか)
様々な事象を情報とその結びつきの視点から捉え,複数の情報を結びつけて新たな意味を見いだす力や問題の発見・解決等に向けて情報技術を適切かつ効果的に活用する力を身に付けていること。
○学びに向かう力,人間性等(どのように社会・世界と関わりよりよい人生を送るか)
情報や情報技術を適切かつ効果的に活用して情報社会に主体的に参画し,その発展に寄与しようとする態度等を身に付けていること。

 IE-school等でカリキュラム等の例示がされました。どの学年でどのようなリテラシーが身に着いていればよいか、そのための段階的な積み上げが示されています。それを基にした各教科等での育成事例が5つ紹介されています。IE-school報告書では、もっと詳しく取り上げられていますので、HBI通信でもご紹介している通り、ぜひそちらもご覧ください。

 次回はこの続き、情報活用能力の育成をお送りします。
 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

学習指導要領の理念は何度も確認したいです

投稿日 | カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き |

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。
GIGAスクール構想が立ち上がり、それに伴った内容に書き換えていたため公開が遅くなったとのことです。本編254ページ、付録も合わせると360ページという超大作なので、要所要所を確認しながら読んでいきましょう。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html
教育の情報化のイメージ

 今回は、学習指導要領の理念と、学習指導要領における教育の情報化の位置づけ、特別支援教育における教育の情報化、教育におけるICT活用の特性・強み及びその効果 について確認していきます。
 第1章冒頭部分ですので、簡潔に良くまとまっているところを、更にピックアップしていきます。

 まず、学習指導要領の理念については、今回の改訂での基本方針5つが紹介されています。

  • 1 基本的な考え方3つ。ア 社会に開かれた教育課程の重視 イ 確かな学力を育成すること ウ 豊かな心や健やかな体を育成すること
  • 2 育成を目指す資質・能力の明確化を実施。すべての教科等の目標及び内容を「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱に整理
  • 3 「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善の推進
  • 4 各学校におけるカリキュラム・マネジメントの推進
  • 5 教育内容の改善

 これらをもとに、2020年度から小学校で、20201年度から中学校で、新しい学習指導要領に基づく学習がはじまるわけですね。

 続いて、学習指導要領における教育の情報化の位置づけについては、各学校種によって特徴を取り上げています。
 基本は小・中高等学校ともに「児童・生徒の発達の段階を考慮し、情報活用能力(情報モラルを含む)等の学習の基盤となる資質・能力を育成していくことができるよう、各教科等の特質を生かし、教科等横断的な視点から教育課程の編成を図る」こととされています。
 小学校では、総則において、コンピュータや通信ネットワークの環境を整えること、教材・教具の適切な活用を図ること、文字入力やプログラミングの重要性が書かれています。
 中学校では、総則で小学校と同様コンピュータや通信ネットワークの環境を整えること、教材・教具の適切な活用を図ること、が書かれています。小学校でプログラミング教育が必修化されたことなどを踏まえ、技術分野ではさらに踏み込んだ内容を生徒に履修させることとしています。
 高等学校では、総則で、小中学校と同様コンピュータや通信ネットワークの環境を整えること、教材・教具の適切な活用を図ること、が書かれています。また、共通必履修科目「情報1」が設けられました。専門教科情報化について12科目に改められました。
 特別支援学校では、小学校、中学校、高等学校それぞれの学習指導要領総則に書かれていることと併せて、知的障害者である生徒に対する教育の中学部の職業・家庭科について職業生活でコンピュータ等の情報機器に触れることなどに関わる学習活動について等が書かれています。高等部も併せて同じように書かれています。

 次に、特別支援教育における教育の情報化について書かれています。
 平成25年、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が成立したこと等、特別な支援を必要とする児童生徒にとっての情報教育を保証するため様々な条件整備が実施されたとあります。
 情報の収集手段が多様になり、障害を持っていても情報機器がない状態よりはるかに情報を得やすくなった、という点と、その障害の状態等により情報の収集、処理、表現、発信などに困難を伴うことも多いため、情報社会の恩恵を十分に享受するための個々の実態に応じた情報活用能力の習得が必要という点が述べられています。
 テクノロジーの発達が、様々な方面で多様な人を支えたほうがいいですね。そのため、アシスティブ・テクノロジーと呼ばれる、障害のために実現できなかったことをできるように支援する技術について、その方策を充実することにより、結果的にバリアフリーの状態を実現する、という考え方だと述べられています。
 多様なニーズに応じた機器が開発され、利用されるという支援方策が、より多くの児童生徒を支援し、バリアフリーの状態を作り出していくことが必要になってくる、とあります。
 そのためには、児童生徒の希望を踏まえつつ、メーカーとリハビリテーション工学の専門家、地域の特別支援教育センター等の関係機関と学校、そして保護者との連携と協力が求められる、とあります。たくさんの関係者の連携が必要ですが、それだけの知恵が結集すればとても良いものが作られそうですね。

 

 最後に、教育におけるICT活用の特性・強み及びその効果についてです。3点あげられています。

  • 1 多様で大量の情報を収取、整理分析、まとめ、表現することなどができ、カスタマイズが容易であること
  • 2 時間や空間を問わずに、音声画像データ等を蓄積送受信でき、時間的空間的制約を超えること
  • 3 距離に関わりなく相互に情報の発信受信のやり取りができるという双方向性を有すること

 ということです。
 このような強みを最大限に発揮するためには、児童生徒が情報手段の基本的な操作を習得していることが大前提となりますね。そのためには、普段使いのICTが大きな役割を果たすと述べられています。

 ICT機器は特別なご褒美ではなく、授業で普段から使っていくことが重要ですね。その普段使いが積み重なると、より良い学びがどんどん生まれてくるのではと思います。新しいテクノロジーが何をもたらすのか、ということは普及してみないとわかりません。そもそも、学校に1人1台タブレットが入る、というのは新しいテクノロジーというものでもありませんね。授業中に辞書をめくるのは良くて、タブレットで検索をしてはダメだというのはあまり筋が通らない気がします。

 以前twitterで目にしたのは
https://twitter.com/pakuchan1964/status/838132790872825856
 という発想でした。これだけでどうこう言うのは乱暴なのですが、「聞いてるふり」で学習が進まないより、積極的に自ら調べる子どもになったほうがいいように思います。授業の統制、という考え方が変わってくるかもしれませんね。
もちろん子どもたちにいきなり無秩序になんでもどうぞご自由に!というのも乱暴です。
 そこは先生方の専門性を存分に活かしていただく必要があるところです。いきなり全部自由、ではなく使い慣れるにしたがって徐々に自由度が増していくというのが理想でしょう。クラスの状態を見極めて、その段階を踏めるのは先生ですね。
 行政職の皆さんも、いきなりすぐにすべてが変わるわけではないことはご理解いただけていると思います。先生が少しでもやりやすいよう、やりやすい環境を整えることが重要だということを念頭に、先生方の思いを受け止めつつ、環境整備を実施していくことが重要だと思います。

 次回はこの続き、情報活用能力の育成をお送りします。
 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

教育の情報化の進展を確認します

投稿日 | カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き |

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。
GIGAスクール構想が立ち上がり、それに伴った内容に書き換えていたため公開が遅くなったとのことです。本編254ページ、付録も合わせると360ページという超大作なので、要所要所を確認しながら読んでいきましょう。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

教育の情報化イメージ 

 教育の情報化の進展として、それぞれの学習指導要領の中の教育の情報化について紹介があります。
現在特に関係しているのが平成29年、30年、31年告示学習指導要領ですね。
手引きでは「「言語能力」等と同様の「教科等を超えたすべての学習の基盤として育まれ活用される資質・能力」の一つとして「情報活用能力」を掲げ」とあります。今までも情報活用能力は必要だと言われてきましたが、今回は更にすべての基盤であると明言しているということですね。
 また、「学校の生活や学習においても、日常的にICTを活用できる環境を整備していくことが不可欠である」ことも抜粋されています。環境の整備は重要です。なので、GIGAスクール構想で徹底的に整備しようとしているわけですね。
 続いて、教育の情報化に関する政府全体としての主な政策・提言等が掲載されています。このようにまとまっていると、流れが見えてきてわかりやすいですね。
 掲載する順番についても吟味されているので、最初に出てきたものから重視していると考えられます。

  • ○「教育振興基本計画」(平成 30 年 6 月 15 日閣議決定)
  • ○「経済財政運営と改革の基本方針 2019」~「令和」新時代:「Society5.0」への挑 戦~(令和元年 6 月 21 日閣議決定)
  • ○「成長戦略実行計画」「成長戦略フォローアップ」(令和元年 6 月 21 日閣議決定)
  • ○「統合イノベーション戦略 2019」(令和元年 6 月 21 日閣議決定)
  • ○「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」(令和元年 12 月 5 日閣議決定)

これを見ると、令和に入って立て続けに教育の情報化について動き出した印象があります。
政府が本腰を入れ始めた、と考えられるでしょう。
続いて教育の情報化に関する文部科学省における最近の主な報告等がまとまっています。

  • ○「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」
  • ○「新しい時代に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における 働き方改革に関する総合的な方策について」(平成 31 年 1 月 25 日中央教育審議会 答申)

そして、令和元年 6 月,「学校教育の情報化の推進に関する法律」の成立,公布・施行が挙げられています。

今までも、教育の情報化に関しては様々な施策が打たれてきていましたが、2019年になって加速度的に物事が動き出した印象ですね。それまでは、現場がとても大変だから授業のやり方を根本から変えるようなICT機器の使い方を表明するのは憚られるような雰囲気を感じていました。
ところが、GIGAスクール構想にある通り、「一人1台」を実現することになると、これまでの授業のやり方だけではなく、新たな授業のやり方が出てくると考えられます。既に1人1台を実現している学校では、一斉授業だけではなく、子どもたちが好きな時に好きなだけICT機器を使って調べ、作り、発表し合うという授業が効果を上げています。先生の指示に従うだけではなく、ICT機器を主体的に使っていく姿勢が良い環境を生んでいるということだそうです。
これを聞くと、現場の先生の中には今でも大変な思いをしているのに更に大変になる、という想像をされる先生がみえます。今まで自分がそのような教育を受けたことがなく、現場を見たことがなければそう思われるのも当然ですね。行政職の皆様も一人1台の授業がどのようなものか実際にご覧になることができる方はきっと少ないと思います。
先進校の実際の授業を見られる機会は限られていますが、それでもチャンスがあればぜひご確認いただければと思います。ICT機器が一人1台の文房具として活用されている様子、ICT機器でなければできない学びは、とても刺激的です。
一斉授業の良さがあったからこそ、全国にこれだけ一斉授業の形態が広まっていったと思います。一人1台での授業はどのような形態が良いのか、よいものがあれば自然と広がっていくでしょう。
無理に一斉授業にICT機器を合わせる必要はないと思います。子どもたちが楽しい授業を実現するためのツールとして先生方には便利に使っていただけるよう環境を整えていくのが私たちの仕事です。

教育の情報化の手引きには、そのためのヒントがたくさん詰まっています。分厚いところですが、読み進めていきましょう。

 次回はこの続き、学習指導要領の理念をお送りします。最初はゆっくり目に行きますのでよろしくお願いします。
 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

教育の情報化に関する手引きを待ちに待っていました

投稿日 | カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き |

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。
GIGAスクール構想が立ち上がり、それに伴った内容に書き換えていたため公開が遅くなったとのことです。
今週からはこの手引きを読んでいきたいと思います。
とはいえ、本編254ページ、付録も合わせると360ページという超大作なので、要所要所を確認しながら読んでいきましょう。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html
教育の情報化に関する手引きイメージ

 

 本日ははじめにと第1章第1節社会における情報化の急速な進展と教育の情報化についてご説明させていただきます。

 はじめに、を読んだときに、今までにない強い断定で「我が国の学校におけるICT活用状況は世界から大きく後塵を拝しており、学校のICT環境は脆弱勝地域間格差も大きく危機的な状況となっている」が非常に印象に残りました。
 家に帰って宿題のためにPCを使う割合がOECD加盟国の中で最下位の日本。この結果も一つの理由としてのこの強い言葉だと感じます。
 学習指導要領では「情報活用能力」を学習の基盤となる資質・能力と位置付けました。
情報活用能力の育成のためには、ICT機器は欠かせない、むしろあって当然、というスタンスが貫かれています。ICT機器がなくても情報活用能力の育成はできますが、ICT機器を無視して、それが世の中にないこととしての情報活用能力の育成は困難を極めるでしょう。

 続いて第1章第1節社会における情報化の急速な進展と教育の情報化 についてです。
 技術の急速な進展については皆様実感されている通りだと思います。更に未来を考えるなら、子どもの数が減り、つまり大人になる数が減り、寿命は延びて高齢化社会を迎えることも実感されている通りです。そうすると、今まで人力に頼っていた部分を頼れなくなってしまいます。情報技術はそこの穴を埋めていくことも期待されているわけですね。
それなら教員の仕事は減るか、教員を減らしてよいか、ということになるとなかなかそうはいかないと考えられます。今までは見過ごされていた特別な支援を必要とする児童生徒が、情報技術の進展に従って、「もう少し配慮すればもっとうまくいく」という状態を見つけられるようになってきました。
ではその配慮についてはどのようなものがよいか、医学的配慮は医者がプロです。学習する、学ぶ、というそれは教育のプロである先生が考え、実施していくのが一番早いと考えられます。
どの子どもも、楽しくのびのびと過ごせる世の中を作っていくことができるといいですね。
それを考えると、これからの学びにとって「ICTはマストアイテム」という言葉からも「ICT環境は鉛筆やノート等の文房具と同様に教育現場において不可欠なものとなっていることを強く認識する」という言葉からも、ICT環境については、先生が管理して許可を出すようなものではなく、ノートや文房具のように子どもたちが主体で使っていくもの、という認識の変更が必要になってくると考えられます。
そのため、行政職の皆様は、先生方に「管理するの大変だと思うけど管理しなくちゃと考えなくていいよ」というスタンスをお伝えいただければと思います。そもそも、1人1台入った場合、すべてを先生方で管理するのは無理です。そこには必ず人的支援が必要です。それは、教育のこともICTのことも分かっている人材でなければなりません。
なぜなら、単なる情報化を行うわけではなく、「教育の情報化」でなければならないからです。具体的な3つの項目は

  • 1情報教育
  • 2教科指導におけるICT活用
  • 3校務の情報化

です。これらの教育の情報化の実現を支える基盤として

  • ・教師のICT活用指導力等の向上
  • ・学校のICT環境の整備
  • ・教育情報セキュリティの確保

の3点を実現することが極めて重要であるからです。

これらは、学校現場に初めて入る、という人に説明をするのはとても困難です。そのため、業者と教育委員会の間を橋渡しできる、通訳できる教育情報化コーディネーターがいると話がスムーズです。
何度も書いております通り、同じ言葉を使っても解釈は全く違う、ということは起こりがちです。そして、それに気づくのは大変なことが起こってから、ということが多いです。「校内LAN」が何を指しているのか、試しに周りの人と確認してみてください。
 今回のこの手引きは、非常に危機感をもって作成されていることが伝わってきます。学び方が、画一的な一斉授業からより個々の児童生徒に最適化されるものへと変わっていくことが必要であると考えられます。学習規律等も新しい考え方が出てくると思います。
 ですが、変わる、というのは難しいことですね。行政職の皆様は、学校の先生が今までとは違う非常に多くのことを受け入れなければならない、ということをご理解いただいていると、導入もスムーズかと思います。

 

 次回はこの続き、社会における情報化の急速な進展と教育の情報化をお送りします。最初はゆっくり目に行きますのでよろしくお願いします。
 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

国語の授業は15歳に良好に受け入れられているとのことです

投稿日 | カテゴリー: PISA2018 |

皆さんこんにちは

今回は先週に引き続きPISA2018の結果を確認していきましょう。
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html
PISAのイメージ

PISA2018の結果で、読解力の平均点と相対的な順位が下がった事実と、分析の結果2000年から2018年の読解力平均得点は統計的に有意な変化がない、ということが文部科学省・国立教育政策研究所OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
では述べられていました。

 読書活動と読解力の関係についてのポイントを読むと、日本を含むOECDの傾向として、本を読む頻度は2009年と比較して減少傾向にあるとあります。読解力中心の調査は前回が2009年だったため、質問紙として比較しているのが2009年になります。
 読書を肯定的に捉える生徒や本を読む頻度が高い生徒のほうが、読解力の得点が高い、とあります。有意な相関があったと考えられます。中でもフィクション、ノンフィクション、新聞を読む生徒の読解力の得点が高いそうです。フィクションは伝記・ルポルタージュ、ノンフィクションは小説、物語と例示されています。
 日本の特徴としては、読書を肯定的に捉える生徒の割合が多い傾向にあるということです。また、漫画やフィクションを読む生徒の割合が多いということで、これは実感とも一致しますね。日本の15歳は漫画をたくさん読んでいると思います。
 国語の授業に関しては、指標値のどれもが比較的良好だということです。国語の授業の雰囲気はとてもよく、国語の授業における教師の支援についてはOECD平均を少し上回っています。ただ、国語教師のフィードバックに関する生徒の認識はOECD平均より低く、気になるところですね。
 分析としては、入学して間もない時期に行われていることが影響した可能性もあると考えられているとのことです。

 数学的リテラシー、科学的リテラシーに関しては世界トップレベルに位置し、長期トレンドでも世界トップレベルを維持、とあります。

 この後は、質問紙と成績を組み合わせた分析が続きます。
 平均得点と社会経済文化的背景(ESCS)の関連として、日本もOECDも似たような傾向があるということです。ESCSが高い水準程習熟度レベルが高い生徒の割合が多く、ESCSが低い水準程習熟度レベルが低い生徒の割合が多い、とのことです。
 日本は、OECD加盟国内で社会経済文化的水準の生徒間の差が最も小さく、社会経済文化的水準が生徒の得点に影響を及ぼす度合いが低い国の1つであると述べられています。つまり、社会経済文化的に水準が低い生徒にも比較的教育が行き渡っていると言えることがわかります。

 続いてICT活用調査ですが、学校外のインターネットの利用について、日本とOECD平均ともに、学校外でインターネットを4時間以上利用する生徒が増えているとあげられています。
 合わせて、学校外でのインターネットの利用時間が4時間以上になると、3分野ともに平均得点が低下しているとあります。
 日本は30分以上4時間未満利用する生徒の3分野の平均得点はほとんど差がないがOEC平均では利用する時間が長いほど平均得点は高くなる傾向があるとのことです。
 これは、のちに述べられる「コンピュータを使って宿題をする」「学校の勉強のために、インターネット上のサイトを見る」等が関連していることが示唆されると思います。日本はほとんどそのような使い方をしませんが、OECD平均では大体1/4が宿題をコンピュータを使って行ったり、学校の勉強のためにインターネット上のサイトを見たりしているからです。
 日本は学校の授業におけるデジタル機器の利用時間が短く、OECD加盟国中最下位であることは大きく報道されて皆さんもご存知だと思います。日本の15歳は、OECD平均よりネット上でチャットをしたり、一人用ゲームで遊んだりすることが多く、自分のデバイスを宿題には使っていない、という実態が浮かび上がりました。
 学校の授業でそのような使われ方をしていないので、勉強方法としては身に着いていないわけですね。

 これらを踏まえた文科省の施策が述べられています。新学習指導要領では「情報活用能力」について読み、書きとともに身に付けるべき資質だと位置づけられています。それを推進するために、学校のICT環境整備の加速化と、全児童生徒の教育機会の確保によるセーフティネットが挙げられています。

 どれも重要なことです。それが、このような国際間で比較できる調査をきっかけに施策として打たれることは、良いきっかけですね。
 このような国の動きを追いかけていると、行政職の皆様も「GIGAスクール構想」というような大きな転換点をわくわくしながら乗り切ることができるのではないでしょうか。

 次回からは待ちに待った教育の情報化に関する手引きを読んでいきたいと思います。

 

 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

文脈を共有しない人にもわかる伝え方を知っているのが読解力の強さにつながるのではないでしょうか

投稿日 | カテゴリー: PISA2018 |

皆さんこんにちは

 教育の情報化の手引きが出ない状況が続いています。今回は先週に引き続きPISA2018の結果を確認していきましょう。
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html

読解力のイメージ

 PISA2018の結果で、読解力の平均点と相対的な順位が下がった事実と、分析の結果2000年から2018年の読解力平均得点は統計的に有意な変化がない、ということが文部科学省・国立教育政策研究所OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdfでは述べられていました。

 日本の生徒の正答率が低い問題の一例として、1情報を探し出す や 3評価し、熟考する に関する問題が挙げられています。

 例えば大問として、ある商品について販売元の企業とオンライン雑誌という異なる立場から発信された複数の課題文から必要な情報を探し出したり、それぞれの意図を考えながら、主張や情報の質と信ぴょう性を評価したうえで、自分がどう対処するかを説明したりする問題 があり、
その中の「必要な情報がどのWEBサイトに記載されているか推測し探し出す」「情報の質と信ぴょう性を評価し自分ならどう対処するか、根拠を示して説明する(自由記述)」がOECD平均と比べて正答率が低い問題だということです。
 これに関しては2019年12月15日付中日新聞朝刊4面 視座「PISA読解力、大人も必要」で関西学院大学准教授貴戸理恵氏が「あいまいな言い方をすると「わかる、わかる」と思える人には通じても、文脈や感覚を共有しない相手には通じない。」とあり、なるほどと私は腑に落ちました。文脈も背景も違う人に対して、相手を納得させられる説明をする訓練が、私をはじめとする大人にも不足しているな、ということは感じます。

 

 また、行政職の皆様も興味があるコンピュータ使用型調査について(2015年、2018年)の説明も行われています。冊子による調査と異なり、最初に調査の全体像を把握したり、最後に全体の回答を修正したりすることができない、とあります。コンピュータ使用型調査では、次へ、といってしまうともとに戻れないということが挙げられていますね。
 特徴として、2点が挙げられています。オンライン上の多様な形式を用いた課題文(投稿文、電子メール、フォーラムへの参加回答など)を活用したこと、全小問245題のうち約7割の173題がコンピュータ使用型調査用に開発された新規問題であり、日本の生徒にとって、あまりなじみのないような形式のデジタルテキスト(Webサイト、投稿文、電子メール等)や文化的背景、概念・語彙などが使用された問題の数が増加したと考えられる、とあります。確かに、日本の高校生はそれらを普段あまり目にしませんね。おそらく、諸外国では「チャット」と分類されるLINE等での直接的なSNSでのやり取りが主流で、それに関する小問はほとんどなかったと捉えられそうです。このポイントでは後ほどICTとのかかわりが出てきますので、そこで詳しく見てみましょう。

 次回もこの続きを読んでいきたいと思います。

 

 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

読解力は落ちているのでしょうか

投稿日 | カテゴリー: PISA2018 |

皆さんこんにちは

教育の情報化の手引きの公開が遅れている中、国からは経済政策としての1人1台端末の導入や、校内LANの整備しなおしのための補助金等矢継ぎ早にICT関連の政策が明らかになっています。
教育に関する投資はその効果が表れるのが長いスパンのため、「今必要なのか」ということにとかくなりがちです。
特に1人1台に関しては「結局教員の負担が増えるだけだ」「誰が管理するんだ」「机の上が狭すぎる」「どうせ利権がらみ」「書かないと覚えない」等の否定的な声がよく聞こえてきます。それぞれの批判はそれぞれ一理あるものばかりですが、その一つをもって全体を全否定、というのは残念な気がします。
そういう心配点があるから、導入時に気をつけようね、という形になればいいのにな、と思います。

今1人1台という経済対策が取られた理由は一つではないでしょう。物事の理由がたった一つだけ、なんて誰も動きません。複合的な要素が絡み合って、今この政策が取られたということだと考えられます。今日はその要因になったのかも?と思われる資料を確認していきたいと思います。

統計資料を読むイメージ

新聞の一面にも大きく報道されたPISA2018テストの結果を見ていきましょう。
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html
そもそもPISAとは何でしょうか?なぜこの結果が大変な騒ぎになるのでしょうか?

PISAとはProgramme for International Student Assessment の略で、国際的な学習到達度に関するOECDが進めている調査です。
OECDとは現在36か国が加盟している経済協力開発機構です。機構というからにはそこに勤める職員がいるわけですが、その役割は1,700名を超える専門家を抱える世界最大のシンク・タンクであり,経済・社会の幅広い分野において多岐にわたる活動を行っている国際機関とあります。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oecd/gaiyo.html
 経済協力開発なのになぜ教育か?というと、経済の発展には教育が必要である、と考えられているからですね。OECDの概要には教育分野の3つの活動が紹介されています。
https://www.oecd.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000130.html#about9
 このうちPISAは教育関連のその他の活動欄に見つけることができます。
https://www.oecd.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000182.html
 今回は2018年に行われた調査の結果が発表されたというわけです。

 15歳児を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの三分野について、3年ごとに本調査が実施されています。
 2018年のPISAには79の国と地域が参加したとのことです。可能な限り言語による差等ができないよう配慮された調査内容で、国際的な指標になるということで、自国の位置づけを客観的に知るために参加する国や地域が増えてきています。2015年は72の国と地域、2012年は65の国と地域でした。

 2018年調査のポイントは
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
 にありますが、読解力は参加国中15位(統計的に有意な差がないのは11位から20位)数学的リテラシー6位(統計的に有意な差がないのは5位から8位)科学的リテラシー5位(統計的に有意な差がないのは5位から6位)という結果のため、「読解力が前回調査の6位から15位に下がった!!!」という報道になったわけですね。

 それでは、この調査結果の概要には日本はどのように分析されているかというと、
◆読解力の平均得点(504点)は、OECD平均より高得点のグループに位置しているが、前回2015年調査 (516 点)から有意に低下。OECD加盟国中11位(順位の範囲:7-15位)。

◆習熟度レベル1以下の低得点層が有意に増加しており、OECD平均も同様の傾向。
 ということで、前回の調査の平均点から今回の調査の平均点は有意に低下しています、ということは事実としてその通りです。また、習熟度レベル1以下の低得点層が前回調査より有意に増加している、それはOECD平均も同様の傾向があり、日本だけ特別ではない、ということです。
 もちろん、平均点は調査毎に変化しますから、平均点が下がったことが即読解力が下がったということには直結しません。

◆平均得点の2000年~2018年の長期トレンドに関するOECDの分析によると、日本の読解力は、平均 得点のトレンドに統計的に有意な変化がない国・地域に分類され、そのうち「平坦」タイプに該当。

 ということで、読解力は2000年から2018年まで統計的に有意な変化がない、と分析されています。
 平均得点が上昇傾向だと分類されているのはマカオ、エストニア、ドイツ、ポーランドです。
 ではこのOECDのPISAによる読解力とはどのような定義なのでしょうか。
 「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達 させ、社会に参加するために、テキストを理解し、 利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと。」
とあります。
もう少し詳しく「※太字部は2018年調査からの定義変更箇所
○コンピュータ使用型に移行し、デジタルテキストを踏まえた 設計となったため、「書かれたテキスト」から「テキスト」に変 更。(デジタルテキスト:オンライン上の多様な形式を用い たテキスト(Webサイト、投稿文、電子メールなど) )
○議論の信ぴょう性や著者の視点を検討する能力を把握す るため、テキストを「評価する」という用語を追加。」ということですね。

 それでは、測定しようとする能力ですが、
PISA2018で測定しようとしている読解力

OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント P4より引用
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
このようになっています。これらをもとに分析すると、平均点の低下に与える要因については
「生徒側(関心・意欲、自由記述の解答状況、課題文の内容に関する既存知識・経験、コンピュータ画面上での長文読解の慣れ 等)、問題側(構成、テーマ、テキストの種類、翻訳の影響等)に関する事項などの様々な要因が複合的に影響している可能性があると考えられる。」
ということが考えれる、とあります。実際にどんな問題がどのように表示されたのか、サンプル画面を見ることができるので確認してみましょう
PISA2018サンプル画面

2018年調査問題例P5より引用
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/04_example.pdf
問題の見やすさ等については国際的に調整がなされているとのことですが、パソコンの画面を見慣れていないと読みづらい印象があります。日本の15歳はパソコンの画面でテキスト情報を読み、必要な情報を取捨選択するという活動を授業ではあまり行っていませんね。

続いての分析では
「読解力を測定する3つの能力について、それらの平均得点が比較可能な2000年、2009年及び2018年 (読解力が中心分野の回)の調査結果を踏まえると、

  • ・「2理解する」能力については、その平均得点が安定的に高い。
  • ・「1情報を探し出す」能力については、2009年調査結果と比較すると、その平均得点が低下。特に、習熟度レベル5以上の高得点層の割合がOECD平均と同程度まで少なくなっている。
  • ・「3評価し、熟考する」能力については、2009年調査結果と比較すると、平均得点が低下。特に、2018 年調査から、「質と信ぴょう性を評価する」」「矛盾を見つけて対処する」が定義に追加され、これらを問う問題の正答率が低かった。

また、各問題の解答状況を分析したところ、自由記述形式の問題において、自分の考えを根拠を示し て説明することに、引き続き課題がある。誤答には、自分の考えを他者に伝わるように記述できず、問 題文からの語句の引用のみで説明が不十分な解答となるなどの傾向が見られる。」
となっています。
情報を探し出す、評価し、熟考するという活動について、今回の調査はパソコン上に表示されたテキストをもとに評価しています。
調査がパソコンに変わったのは前回からですが、前回は特に読解力は低下、という結果になっていないので一概にパソコンの画面を見慣れていない、というのも言えませんね。

 したがって我々としては「パソコンでもっと授業すればもっと読解力があがるよ!」という結論にすぐさま飛びつきたいところではありますが、物事はそう簡単ではない、ということが言えますね。

 聞こえてくる話だけではなく、できるだけ原典に近いものを読んで、自分で確認するという作業が必要です。本当は英語の原本を読むべきなのですが、今回は日本語版に頼りました。もう少し分析内容について詳しくお伝えしていきたいと思います。

 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

まず隗よりはじめるための課題

投稿日 | カテゴリー: 新時代の学びを支える先端技術活用推進方策 |

皆さんこんにちは

ICTに関する様々な動きが加速度的に出てきましたね。
文科省からは「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」について が公開されました。
http://www.mext.go.jp/a_menu/other/1411332.htm

最終まとめ

今日は「基盤となるICT環境の整備」のうち、「(6)文部科学省による教育行政のICT必須化」 についてご説明させていただきます。

まとめには「先ず隗より始めよ」とあります。教育行政全体の働き方改革に資するため、ICTを業務で効果的に活用していくことが求められています。
文科省が率先して、地方自治体や学校に対して行う各種調査のオンライン化や会議での遠隔システムの利用、ペーパーレス化等を進めていく、とあります。とても素晴らしいことですね。
 統計上どうしても必要なために、たくさんの項目を入力しなければならない調査が文科省から学校には送られてきます。エクセルの回答用紙に入力するものも多いですし、質問数自体がとても多いです。
 仕方ないとはいえ、学校の労力はそれに多く割かれます。少しでも労力が減るといいですね。ただそのためには、しっかりとお金をかけて、システムを作成する必要があることも課題です。
 学校の環境が千差万別のために、WEBで回答するにしても、あらゆるブラウザのあらゆるバージョンを想定する必要が出てきてしまいます。代わりに先生の私物のスマホで回答してください、はありえません。
 そのため、Aならば1を回答し、Bならば2を回答するというようなタイプの質問を作成・制御するのに非常に労力が必要である場合も多く考えられます。隗より始めるために、すぐさま始めるというわけにいかないのがとても苦労するところですね。

 

 学校のICT化が進まない理由は一つではありません。たくさんの要因が少しずつ絡み合って複雑な要件になってしまっているため、何かを解消したら一気に解決するというものではありません。
 だからと言って何もしなければ本当に何も進みませんので、チャンスを見つけて少しずつでも前に進むしかありませんね。経済再生担当大臣から経済対策として一人1台の話が出ました。国が財政措置をして一人1台購入できるお金をそろえてくれるというなら、そのチャンスに自治体はどう向き合っていくのか。行政職の皆様の腕の見せ所になりますね。自治体の未来を担う子供たちをどう育てるのか、首長部局、教育委員会、学校現場が一丸となって、ICTの力を借りて効果的に取組めるよう、準備を整えておきたいところです。

 長きにわたって新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)のご紹介をしてきました。今回で終了です。次回からは新しい教育の情報化の手引きをご説明させていただきたいと思っていますが、まだ公開されていないため首を長くして待っています。

何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。