教育委員会行政職の皆様に送る 教育の情報化について抑えるべき10の資料と3観点

投稿日 | カテゴリー: ICT支援員の育成・確保のための調査研究事業 成果報告書, クラウド導入ガイドブック, 小学校プログラミング教育の手引き, 情報活用能力を育成するためのカリキュラム・マネジメントの在り方と授業デザイン, 教員の多忙化, 教育ICTガイドブック, 教育のIT化に向けた環境整備4か年計画, 教育の情報化に関する手引き, 教育の情報化の実態化に関する調査, 教育の情報化ビジョン, 教育の情報化加速化プラン, 教育委員会でコンピュータ関連の担当になったら最初に読む, 教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン, 教育情報化コーディネーター |

皆様こんにちは

教育情報化コーディネーター1級保持者が「教育委員会行政職」の皆様に「教育の情報化」について情報をご提供させていただいているHBI通信もおかげさまで100回を超えることができました。ありがとうございます。
 記事が多くなりましたので交通整理のために改めて目次を設定させていただきます。お仕事のお役に立てれば幸いです。

HBI通信イメージ

◆教育委員会でコンピュータ関連の担当になったら最初に読む

1 教育の情報化ビジョン(平成23年4月28日公開)
https://ict-help.jp/hbi/category/read-first/information-vision/
2 教育の情報化に関する手引き(平成22年10月29日公開)
https://ict-help.jp/hbi/category/read-first/information-manual/

 
これら2つの資料は、現在の教育の情報化を考えるうえでわかっていることが前提、という扱いの資料になります。公開されてから時間が経っていますが、まずこちらに目を通していただくことが必要かと思います。

3 教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(平成29年10月18日公開)
https://ict-help.jp/hbi/category/%e6%95%99%e8%82%b2%e6%83%85%e5%a0%b1%e3%82%bb%e3%82%ad%e3%83%a5%e3%83%aa%e3%83%86%e3%82%a3%e3%83%9d%e3%83%aa%e3%82%b7%e3%83%bc%e3%81%ab%e9%96%a2%e3%81%99%e3%82%8b%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%83%89%e3%83%a9/

待ったなしの対策を余儀なくされるセキュリティに関してまとまっている資料です。難しいと感じられる方も多い資料ですが、少しずつご一緒に読み解いていければと思います。

4 教育の情報化加速化プラン(平成28年7月28日策定)
https://ict-help.jp/hbi/category/read-first/%e6%95%99%e8%82%b2%e3%81%ae%e6%83%85%e5%a0%b1%e5%8c%96%e5%8a%a0%e9%80%9f%e5%8c%96%e3%83%97%e3%83%a9%e3%83%b3/
もっとも読みやすいと思われる資料です。10Pとまとまっており、今すぐ何を行うか、と具体的な事例が書かれています。

5 小学校プログラミング教育の手引き(平成30年3月30日公開)
https://ict-help.jp/hbi/category/%e5%b0%8f%e5%ad%a6%e6%a0%a1%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%83%9f%e3%83%b3%e3%82%b0%e6%95%99%e8%82%b2%e3%81%ae%e6%89%8b%e5%bc%95%e3%81%8d/
2020年より必修化される小学校プログラミング教育についての手引きです。「今後こういうことを現場で行う必要がある」ということについてご理解いただくための資料になるかと思います。

◆事例を知りたくなった時に読む資料

6 教育ICTガイドブック(平成29年6月30日公表)
https://ict-help.jp/hbi/category/%e6%95%99%e8%82%b2ict%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%83%89%e3%83%96%e3%83%83%e3%82%af/
7 クラウド導入ガイドブック(平成28年5月20日公表)
https://ict-help.jp/hbi/category/%e3%82%af%e3%83%a9%e3%82%a6%e3%83%89%e5%b0%8e%e5%85%a5%e3%82%ac%e3%82%a4%e3%83%89%e3%83%96%e3%83%83%e3%82%af/

環境整備の道筋がわかる資料です。先進的な他自治体の事例も豊富に載っていますので、「提案されても想像がつかない」ようなことについて調べるとき重宝されるのではと思います。

8 情報活用能力を育成するためのカリキュラム・マネジメントの在り方と授業デザイン(平成30年5月公開)
https://ict-help.jp/hbi/category/%e6%83%85%e5%a0%b1%e6%b4%bb%e7%94%a8%e8%83%bd%e5%8a%9b%e3%82%92%e8%82%b2%e6%88%90%e3%81%99%e3%82%8b%e3%81%9f%e3%82%81%e3%81%ae%e3%82%ab%e3%83%aa%e3%82%ad%e3%83%a5%e3%83%a9%e3%83%a0%e3%83%bb%e3%83%9e/
先生方が普段どうやって子供たちの学びに向き合っているか、豊富で具体的な事例でICT活用を行いつつ今後の授業について考えるための資料です。どのような機器をどう使うか、のイメージが沸きやすいかと思います。

◆業務の参考となるもの

10 ICT支援員の育成・確保のための調査研究事業 成果報告書
https://ict-help.jp/hbi/category/ict%e6%94%af%e6%8f%b4%e5%93%a1%e3%81%ae%e8%82%b2%e6%88%90%e3%83%bb%e7%a2%ba%e4%bf%9d%e3%81%ae%e3%81%9f%e3%82%81%e3%81%ae%e8%aa%bf%e6%9f%bb%e7%a0%94%e7%a9%b6%e4%ba%8b%e6%a5%ad%e3%80%80%e6%88%90/
ICT支援員を活用したいときにどのようなことに気を付けて活用すれば費用対効果として最大限となるか等のヒントが満載です。

11 教員の多忙化
https://ict-help.jp/hbi/category/%e6%95%99%e5%93%a1%e3%81%ae%e5%a4%9a%e5%bf%99%e5%8c%96/

そもそもなぜ先生は多忙なのでしょうか。ご自分が学校で見ていた先生と今の先生は何が違うのでしょうか?根本をご理解いただきたいと思います。

これらの記事をご確認いただいて、少しでも皆様の自治体の教育の情報化に貢献できれば幸いです。

教育の情報化の進展を確認します

投稿日 | カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き |

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。
GIGAスクール構想が立ち上がり、それに伴った内容に書き換えていたため公開が遅くなったとのことです。本編254ページ、付録も合わせると360ページという超大作なので、要所要所を確認しながら読んでいきましょう。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html

教育の情報化イメージ 

 教育の情報化の進展として、それぞれの学習指導要領の中の教育の情報化について紹介があります。
現在特に関係しているのが平成29年、30年、31年告示学習指導要領ですね。
手引きでは「「言語能力」等と同様の「教科等を超えたすべての学習の基盤として育まれ活用される資質・能力」の一つとして「情報活用能力」を掲げ」とあります。今までも情報活用能力は必要だと言われてきましたが、今回は更にすべての基盤であると明言しているということですね。
 また、「学校の生活や学習においても、日常的にICTを活用できる環境を整備していくことが不可欠である」ことも抜粋されています。環境の整備は重要です。なので、GIGAスクール構想で徹底的に整備しようとしているわけですね。
 続いて、教育の情報化に関する政府全体としての主な政策・提言等が掲載されています。このようにまとまっていると、流れが見えてきてわかりやすいですね。
 掲載する順番についても吟味されているので、最初に出てきたものから重視していると考えられます。

  • ○「教育振興基本計画」(平成 30 年 6 月 15 日閣議決定)
  • ○「経済財政運営と改革の基本方針 2019」~「令和」新時代:「Society5.0」への挑 戦~(令和元年 6 月 21 日閣議決定)
  • ○「成長戦略実行計画」「成長戦略フォローアップ」(令和元年 6 月 21 日閣議決定)
  • ○「統合イノベーション戦略 2019」(令和元年 6 月 21 日閣議決定)
  • ○「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」(令和元年 12 月 5 日閣議決定)

これを見ると、令和に入って立て続けに教育の情報化について動き出した印象があります。
政府が本腰を入れ始めた、と考えられるでしょう。
続いて教育の情報化に関する文部科学省における最近の主な報告等がまとまっています。

  • ○「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」
  • ○「新しい時代に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における 働き方改革に関する総合的な方策について」(平成 31 年 1 月 25 日中央教育審議会 答申)

そして、令和元年 6 月,「学校教育の情報化の推進に関する法律」の成立,公布・施行が挙げられています。

今までも、教育の情報化に関しては様々な施策が打たれてきていましたが、2019年になって加速度的に物事が動き出した印象ですね。それまでは、現場がとても大変だから授業のやり方を根本から変えるようなICT機器の使い方を表明するのは憚られるような雰囲気を感じていました。
ところが、GIGAスクール構想にある通り、「一人1台」を実現することになると、これまでの授業のやり方だけではなく、新たな授業のやり方が出てくると考えられます。既に1人1台を実現している学校では、一斉授業だけではなく、子どもたちが好きな時に好きなだけICT機器を使って調べ、作り、発表し合うという授業が効果を上げています。先生の指示に従うだけではなく、ICT機器を主体的に使っていく姿勢が良い環境を生んでいるということだそうです。
これを聞くと、現場の先生の中には今でも大変な思いをしているのに更に大変になる、という想像をされる先生がみえます。今まで自分がそのような教育を受けたことがなく、現場を見たことがなければそう思われるのも当然ですね。行政職の皆様も一人1台の授業がどのようなものか実際にご覧になることができる方はきっと少ないと思います。
先進校の実際の授業を見られる機会は限られていますが、それでもチャンスがあればぜひご確認いただければと思います。ICT機器が一人1台の文房具として活用されている様子、ICT機器でなければできない学びは、とても刺激的です。
一斉授業の良さがあったからこそ、全国にこれだけ一斉授業の形態が広まっていったと思います。一人1台での授業はどのような形態が良いのか、よいものがあれば自然と広がっていくでしょう。
無理に一斉授業にICT機器を合わせる必要はないと思います。子どもたちが楽しい授業を実現するためのツールとして先生方には便利に使っていただけるよう環境を整えていくのが私たちの仕事です。

教育の情報化の手引きには、そのためのヒントがたくさん詰まっています。分厚いところですが、読み進めていきましょう。

 次回はこの続き、学習指導要領の理念をお送りします。最初はゆっくり目に行きますのでよろしくお願いします。
 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

教育の情報化に関する手引きを待ちに待っていました

投稿日 | カテゴリー: 2020教育の情報化に関する手引き |

皆さんこんにちは

2019年12月に教育の情報化の手引きが発行されました。
GIGAスクール構想が立ち上がり、それに伴った内容に書き換えていたため公開が遅くなったとのことです。
今週からはこの手引きを読んでいきたいと思います。
とはいえ、本編254ページ、付録も合わせると360ページという超大作なので、要所要所を確認しながら読んでいきましょう。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/mext_00117.html
教育の情報化に関する手引きイメージ

 

 本日ははじめにと第1章第1節社会における情報化の急速な進展と教育の情報化についてご説明させていただきます。

 はじめに、を読んだときに、今までにない強い断定で「我が国の学校におけるICT活用状況は世界から大きく後塵を拝しており、学校のICT環境は脆弱勝地域間格差も大きく危機的な状況となっている」が非常に印象に残りました。
 家に帰って宿題のためにPCを使う割合がOECD加盟国の中で最下位の日本。この結果も一つの理由としてのこの強い言葉だと感じます。
 学習指導要領では「情報活用能力」を学習の基盤となる資質・能力と位置付けました。
情報活用能力の育成のためには、ICT機器は欠かせない、むしろあって当然、というスタンスが貫かれています。ICT機器がなくても情報活用能力の育成はできますが、ICT機器を無視して、それが世の中にないこととしての情報活用能力の育成は困難を極めるでしょう。

 続いて第1章第1節社会における情報化の急速な進展と教育の情報化 についてです。
 技術の急速な進展については皆様実感されている通りだと思います。更に未来を考えるなら、子どもの数が減り、つまり大人になる数が減り、寿命は延びて高齢化社会を迎えることも実感されている通りです。そうすると、今まで人力に頼っていた部分を頼れなくなってしまいます。情報技術はそこの穴を埋めていくことも期待されているわけですね。
それなら教員の仕事は減るか、教員を減らしてよいか、ということになるとなかなかそうはいかないと考えられます。今までは見過ごされていた特別な支援を必要とする児童生徒が、情報技術の進展に従って、「もう少し配慮すればもっとうまくいく」という状態を見つけられるようになってきました。
ではその配慮についてはどのようなものがよいか、医学的配慮は医者がプロです。学習する、学ぶ、というそれは教育のプロである先生が考え、実施していくのが一番早いと考えられます。
どの子どもも、楽しくのびのびと過ごせる世の中を作っていくことができるといいですね。
それを考えると、これからの学びにとって「ICTはマストアイテム」という言葉からも「ICT環境は鉛筆やノート等の文房具と同様に教育現場において不可欠なものとなっていることを強く認識する」という言葉からも、ICT環境については、先生が管理して許可を出すようなものではなく、ノートや文房具のように子どもたちが主体で使っていくもの、という認識の変更が必要になってくると考えられます。
そのため、行政職の皆様は、先生方に「管理するの大変だと思うけど管理しなくちゃと考えなくていいよ」というスタンスをお伝えいただければと思います。そもそも、1人1台入った場合、すべてを先生方で管理するのは無理です。そこには必ず人的支援が必要です。それは、教育のこともICTのことも分かっている人材でなければなりません。
なぜなら、単なる情報化を行うわけではなく、「教育の情報化」でなければならないからです。具体的な3つの項目は

  • 1情報教育
  • 2教科指導におけるICT活用
  • 3校務の情報化

です。これらの教育の情報化の実現を支える基盤として

  • ・教師のICT活用指導力等の向上
  • ・学校のICT環境の整備
  • ・教育情報セキュリティの確保

の3点を実現することが極めて重要であるからです。

これらは、学校現場に初めて入る、という人に説明をするのはとても困難です。そのため、業者と教育委員会の間を橋渡しできる、通訳できる教育情報化コーディネーターがいると話がスムーズです。
何度も書いております通り、同じ言葉を使っても解釈は全く違う、ということは起こりがちです。そして、それに気づくのは大変なことが起こってから、ということが多いです。「校内LAN」が何を指しているのか、試しに周りの人と確認してみてください。
 今回のこの手引きは、非常に危機感をもって作成されていることが伝わってきます。学び方が、画一的な一斉授業からより個々の児童生徒に最適化されるものへと変わっていくことが必要であると考えられます。学習規律等も新しい考え方が出てくると思います。
 ですが、変わる、というのは難しいことですね。行政職の皆様は、学校の先生が今までとは違う非常に多くのことを受け入れなければならない、ということをご理解いただいていると、導入もスムーズかと思います。

 

 次回はこの続き、社会における情報化の急速な進展と教育の情報化をお送りします。最初はゆっくり目に行きますのでよろしくお願いします。
 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

国語の授業は15歳に良好に受け入れられているとのことです

投稿日 | カテゴリー: PISA2018 |

皆さんこんにちは

今回は先週に引き続きPISA2018の結果を確認していきましょう。
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html
PISAのイメージ

PISA2018の結果で、読解力の平均点と相対的な順位が下がった事実と、分析の結果2000年から2018年の読解力平均得点は統計的に有意な変化がない、ということが文部科学省・国立教育政策研究所OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
では述べられていました。

 読書活動と読解力の関係についてのポイントを読むと、日本を含むOECDの傾向として、本を読む頻度は2009年と比較して減少傾向にあるとあります。読解力中心の調査は前回が2009年だったため、質問紙として比較しているのが2009年になります。
 読書を肯定的に捉える生徒や本を読む頻度が高い生徒のほうが、読解力の得点が高い、とあります。有意な相関があったと考えられます。中でもフィクション、ノンフィクション、新聞を読む生徒の読解力の得点が高いそうです。フィクションは伝記・ルポルタージュ、ノンフィクションは小説、物語と例示されています。
 日本の特徴としては、読書を肯定的に捉える生徒の割合が多い傾向にあるということです。また、漫画やフィクションを読む生徒の割合が多いということで、これは実感とも一致しますね。日本の15歳は漫画をたくさん読んでいると思います。
 国語の授業に関しては、指標値のどれもが比較的良好だということです。国語の授業の雰囲気はとてもよく、国語の授業における教師の支援についてはOECD平均を少し上回っています。ただ、国語教師のフィードバックに関する生徒の認識はOECD平均より低く、気になるところですね。
 分析としては、入学して間もない時期に行われていることが影響した可能性もあると考えられているとのことです。

 数学的リテラシー、科学的リテラシーに関しては世界トップレベルに位置し、長期トレンドでも世界トップレベルを維持、とあります。

 この後は、質問紙と成績を組み合わせた分析が続きます。
 平均得点と社会経済文化的背景(ESCS)の関連として、日本もOECDも似たような傾向があるということです。ESCSが高い水準程習熟度レベルが高い生徒の割合が多く、ESCSが低い水準程習熟度レベルが低い生徒の割合が多い、とのことです。
 日本は、OECD加盟国内で社会経済文化的水準の生徒間の差が最も小さく、社会経済文化的水準が生徒の得点に影響を及ぼす度合いが低い国の1つであると述べられています。つまり、社会経済文化的に水準が低い生徒にも比較的教育が行き渡っていると言えることがわかります。

 続いてICT活用調査ですが、学校外のインターネットの利用について、日本とOECD平均ともに、学校外でインターネットを4時間以上利用する生徒が増えているとあげられています。
 合わせて、学校外でのインターネットの利用時間が4時間以上になると、3分野ともに平均得点が低下しているとあります。
 日本は30分以上4時間未満利用する生徒の3分野の平均得点はほとんど差がないがOEC平均では利用する時間が長いほど平均得点は高くなる傾向があるとのことです。
 これは、のちに述べられる「コンピュータを使って宿題をする」「学校の勉強のために、インターネット上のサイトを見る」等が関連していることが示唆されると思います。日本はほとんどそのような使い方をしませんが、OECD平均では大体1/4が宿題をコンピュータを使って行ったり、学校の勉強のためにインターネット上のサイトを見たりしているからです。
 日本は学校の授業におけるデジタル機器の利用時間が短く、OECD加盟国中最下位であることは大きく報道されて皆さんもご存知だと思います。日本の15歳は、OECD平均よりネット上でチャットをしたり、一人用ゲームで遊んだりすることが多く、自分のデバイスを宿題には使っていない、という実態が浮かび上がりました。
 学校の授業でそのような使われ方をしていないので、勉強方法としては身に着いていないわけですね。

 これらを踏まえた文科省の施策が述べられています。新学習指導要領では「情報活用能力」について読み、書きとともに身に付けるべき資質だと位置づけられています。それを推進するために、学校のICT環境整備の加速化と、全児童生徒の教育機会の確保によるセーフティネットが挙げられています。

 どれも重要なことです。それが、このような国際間で比較できる調査をきっかけに施策として打たれることは、良いきっかけですね。
 このような国の動きを追いかけていると、行政職の皆様も「GIGAスクール構想」というような大きな転換点をわくわくしながら乗り切ることができるのではないでしょうか。

 次回からは待ちに待った教育の情報化に関する手引きを読んでいきたいと思います。

 

 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

文脈を共有しない人にもわかる伝え方を知っているのが読解力の強さにつながるのではないでしょうか

投稿日 | カテゴリー: PISA2018 |

皆さんこんにちは

 教育の情報化の手引きが出ない状況が続いています。今回は先週に引き続きPISA2018の結果を確認していきましょう。
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html

読解力のイメージ

 PISA2018の結果で、読解力の平均点と相対的な順位が下がった事実と、分析の結果2000年から2018年の読解力平均得点は統計的に有意な変化がない、ということが文部科学省・国立教育政策研究所OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdfでは述べられていました。

 日本の生徒の正答率が低い問題の一例として、1情報を探し出す や 3評価し、熟考する に関する問題が挙げられています。

 例えば大問として、ある商品について販売元の企業とオンライン雑誌という異なる立場から発信された複数の課題文から必要な情報を探し出したり、それぞれの意図を考えながら、主張や情報の質と信ぴょう性を評価したうえで、自分がどう対処するかを説明したりする問題 があり、
その中の「必要な情報がどのWEBサイトに記載されているか推測し探し出す」「情報の質と信ぴょう性を評価し自分ならどう対処するか、根拠を示して説明する(自由記述)」がOECD平均と比べて正答率が低い問題だということです。
 これに関しては2019年12月15日付中日新聞朝刊4面 視座「PISA読解力、大人も必要」で関西学院大学准教授貴戸理恵氏が「あいまいな言い方をすると「わかる、わかる」と思える人には通じても、文脈や感覚を共有しない相手には通じない。」とあり、なるほどと私は腑に落ちました。文脈も背景も違う人に対して、相手を納得させられる説明をする訓練が、私をはじめとする大人にも不足しているな、ということは感じます。

 

 また、行政職の皆様も興味があるコンピュータ使用型調査について(2015年、2018年)の説明も行われています。冊子による調査と異なり、最初に調査の全体像を把握したり、最後に全体の回答を修正したりすることができない、とあります。コンピュータ使用型調査では、次へ、といってしまうともとに戻れないということが挙げられていますね。
 特徴として、2点が挙げられています。オンライン上の多様な形式を用いた課題文(投稿文、電子メール、フォーラムへの参加回答など)を活用したこと、全小問245題のうち約7割の173題がコンピュータ使用型調査用に開発された新規問題であり、日本の生徒にとって、あまりなじみのないような形式のデジタルテキスト(Webサイト、投稿文、電子メール等)や文化的背景、概念・語彙などが使用された問題の数が増加したと考えられる、とあります。確かに、日本の高校生はそれらを普段あまり目にしませんね。おそらく、諸外国では「チャット」と分類されるLINE等での直接的なSNSでのやり取りが主流で、それに関する小問はほとんどなかったと捉えられそうです。このポイントでは後ほどICTとのかかわりが出てきますので、そこで詳しく見てみましょう。

 次回もこの続きを読んでいきたいと思います。

 

 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

読解力は落ちているのでしょうか

投稿日 | カテゴリー: PISA2018 |

皆さんこんにちは

教育の情報化の手引きの公開が遅れている中、国からは経済政策としての1人1台端末の導入や、校内LANの整備しなおしのための補助金等矢継ぎ早にICT関連の政策が明らかになっています。
教育に関する投資はその効果が表れるのが長いスパンのため、「今必要なのか」ということにとかくなりがちです。
特に1人1台に関しては「結局教員の負担が増えるだけだ」「誰が管理するんだ」「机の上が狭すぎる」「どうせ利権がらみ」「書かないと覚えない」等の否定的な声がよく聞こえてきます。それぞれの批判はそれぞれ一理あるものばかりですが、その一つをもって全体を全否定、というのは残念な気がします。
そういう心配点があるから、導入時に気をつけようね、という形になればいいのにな、と思います。

今1人1台という経済対策が取られた理由は一つではないでしょう。物事の理由がたった一つだけ、なんて誰も動きません。複合的な要素が絡み合って、今この政策が取られたということだと考えられます。今日はその要因になったのかも?と思われる資料を確認していきたいと思います。

統計資料を読むイメージ

新聞の一面にも大きく報道されたPISA2018テストの結果を見ていきましょう。
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html
そもそもPISAとは何でしょうか?なぜこの結果が大変な騒ぎになるのでしょうか?

PISAとはProgramme for International Student Assessment の略で、国際的な学習到達度に関するOECDが進めている調査です。
OECDとは現在36か国が加盟している経済協力開発機構です。機構というからにはそこに勤める職員がいるわけですが、その役割は1,700名を超える専門家を抱える世界最大のシンク・タンクであり,経済・社会の幅広い分野において多岐にわたる活動を行っている国際機関とあります。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oecd/gaiyo.html
 経済協力開発なのになぜ教育か?というと、経済の発展には教育が必要である、と考えられているからですね。OECDの概要には教育分野の3つの活動が紹介されています。
https://www.oecd.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000130.html#about9
 このうちPISAは教育関連のその他の活動欄に見つけることができます。
https://www.oecd.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000182.html
 今回は2018年に行われた調査の結果が発表されたというわけです。

 15歳児を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの三分野について、3年ごとに本調査が実施されています。
 2018年のPISAには79の国と地域が参加したとのことです。可能な限り言語による差等ができないよう配慮された調査内容で、国際的な指標になるということで、自国の位置づけを客観的に知るために参加する国や地域が増えてきています。2015年は72の国と地域、2012年は65の国と地域でした。

 2018年調査のポイントは
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
 にありますが、読解力は参加国中15位(統計的に有意な差がないのは11位から20位)数学的リテラシー6位(統計的に有意な差がないのは5位から8位)科学的リテラシー5位(統計的に有意な差がないのは5位から6位)という結果のため、「読解力が前回調査の6位から15位に下がった!!!」という報道になったわけですね。

 それでは、この調査結果の概要には日本はどのように分析されているかというと、
◆読解力の平均得点(504点)は、OECD平均より高得点のグループに位置しているが、前回2015年調査 (516 点)から有意に低下。OECD加盟国中11位(順位の範囲:7-15位)。

◆習熟度レベル1以下の低得点層が有意に増加しており、OECD平均も同様の傾向。
 ということで、前回の調査の平均点から今回の調査の平均点は有意に低下しています、ということは事実としてその通りです。また、習熟度レベル1以下の低得点層が前回調査より有意に増加している、それはOECD平均も同様の傾向があり、日本だけ特別ではない、ということです。
 もちろん、平均点は調査毎に変化しますから、平均点が下がったことが即読解力が下がったということには直結しません。

◆平均得点の2000年~2018年の長期トレンドに関するOECDの分析によると、日本の読解力は、平均 得点のトレンドに統計的に有意な変化がない国・地域に分類され、そのうち「平坦」タイプに該当。

 ということで、読解力は2000年から2018年まで統計的に有意な変化がない、と分析されています。
 平均得点が上昇傾向だと分類されているのはマカオ、エストニア、ドイツ、ポーランドです。
 ではこのOECDのPISAによる読解力とはどのような定義なのでしょうか。
 「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達 させ、社会に参加するために、テキストを理解し、 利用し、評価し、熟考し、これに取り組むこと。」
とあります。
もう少し詳しく「※太字部は2018年調査からの定義変更箇所
○コンピュータ使用型に移行し、デジタルテキストを踏まえた 設計となったため、「書かれたテキスト」から「テキスト」に変 更。(デジタルテキスト:オンライン上の多様な形式を用い たテキスト(Webサイト、投稿文、電子メールなど) )
○議論の信ぴょう性や著者の視点を検討する能力を把握す るため、テキストを「評価する」という用語を追加。」ということですね。

 それでは、測定しようとする能力ですが、
PISA2018で測定しようとしている読解力

OECD生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント P4より引用
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
このようになっています。これらをもとに分析すると、平均点の低下に与える要因については
「生徒側(関心・意欲、自由記述の解答状況、課題文の内容に関する既存知識・経験、コンピュータ画面上での長文読解の慣れ 等)、問題側(構成、テーマ、テキストの種類、翻訳の影響等)に関する事項などの様々な要因が複合的に影響している可能性があると考えられる。」
ということが考えれる、とあります。実際にどんな問題がどのように表示されたのか、サンプル画面を見ることができるので確認してみましょう
PISA2018サンプル画面

2018年調査問題例P5より引用
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/04_example.pdf
問題の見やすさ等については国際的に調整がなされているとのことですが、パソコンの画面を見慣れていないと読みづらい印象があります。日本の15歳はパソコンの画面でテキスト情報を読み、必要な情報を取捨選択するという活動を授業ではあまり行っていませんね。

続いての分析では
「読解力を測定する3つの能力について、それらの平均得点が比較可能な2000年、2009年及び2018年 (読解力が中心分野の回)の調査結果を踏まえると、

  • ・「2理解する」能力については、その平均得点が安定的に高い。
  • ・「1情報を探し出す」能力については、2009年調査結果と比較すると、その平均得点が低下。特に、習熟度レベル5以上の高得点層の割合がOECD平均と同程度まで少なくなっている。
  • ・「3評価し、熟考する」能力については、2009年調査結果と比較すると、平均得点が低下。特に、2018 年調査から、「質と信ぴょう性を評価する」」「矛盾を見つけて対処する」が定義に追加され、これらを問う問題の正答率が低かった。

また、各問題の解答状況を分析したところ、自由記述形式の問題において、自分の考えを根拠を示し て説明することに、引き続き課題がある。誤答には、自分の考えを他者に伝わるように記述できず、問 題文からの語句の引用のみで説明が不十分な解答となるなどの傾向が見られる。」
となっています。
情報を探し出す、評価し、熟考するという活動について、今回の調査はパソコン上に表示されたテキストをもとに評価しています。
調査がパソコンに変わったのは前回からですが、前回は特に読解力は低下、という結果になっていないので一概にパソコンの画面を見慣れていない、というのも言えませんね。

 したがって我々としては「パソコンでもっと授業すればもっと読解力があがるよ!」という結論にすぐさま飛びつきたいところではありますが、物事はそう簡単ではない、ということが言えますね。

 聞こえてくる話だけではなく、できるだけ原典に近いものを読んで、自分で確認するという作業が必要です。本当は英語の原本を読むべきなのですが、今回は日本語版に頼りました。もう少し分析内容について詳しくお伝えしていきたいと思います。

 何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

まず隗よりはじめるための課題

投稿日 | カテゴリー: 新時代の学びを支える先端技術活用推進方策 |

皆さんこんにちは

ICTに関する様々な動きが加速度的に出てきましたね。
文科省からは「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」について が公開されました。
http://www.mext.go.jp/a_menu/other/1411332.htm

最終まとめ

今日は「基盤となるICT環境の整備」のうち、「(6)文部科学省による教育行政のICT必須化」 についてご説明させていただきます。

まとめには「先ず隗より始めよ」とあります。教育行政全体の働き方改革に資するため、ICTを業務で効果的に活用していくことが求められています。
文科省が率先して、地方自治体や学校に対して行う各種調査のオンライン化や会議での遠隔システムの利用、ペーパーレス化等を進めていく、とあります。とても素晴らしいことですね。
 統計上どうしても必要なために、たくさんの項目を入力しなければならない調査が文科省から学校には送られてきます。エクセルの回答用紙に入力するものも多いですし、質問数自体がとても多いです。
 仕方ないとはいえ、学校の労力はそれに多く割かれます。少しでも労力が減るといいですね。ただそのためには、しっかりとお金をかけて、システムを作成する必要があることも課題です。
 学校の環境が千差万別のために、WEBで回答するにしても、あらゆるブラウザのあらゆるバージョンを想定する必要が出てきてしまいます。代わりに先生の私物のスマホで回答してください、はありえません。
 そのため、Aならば1を回答し、Bならば2を回答するというようなタイプの質問を作成・制御するのに非常に労力が必要である場合も多く考えられます。隗より始めるために、すぐさま始めるというわけにいかないのがとても苦労するところですね。

 

 学校のICT化が進まない理由は一つではありません。たくさんの要因が少しずつ絡み合って複雑な要件になってしまっているため、何かを解消したら一気に解決するというものではありません。
 だからと言って何もしなければ本当に何も進みませんので、チャンスを見つけて少しずつでも前に進むしかありませんね。経済再生担当大臣から経済対策として一人1台の話が出ました。国が財政措置をして一人1台購入できるお金をそろえてくれるというなら、そのチャンスに自治体はどう向き合っていくのか。行政職の皆様の腕の見せ所になりますね。自治体の未来を担う子供たちをどう育てるのか、首長部局、教育委員会、学校現場が一丸となって、ICTの力を借りて効果的に取組めるよう、準備を整えておきたいところです。

 長きにわたって新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)のご紹介をしてきました。今回で終了です。次回からは新しい教育の情報化の手引きをご説明させていただきたいと思っていますが、まだ公開されていないため首を長くして待っています。

何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

関係者の意識の共有についての提言です

投稿日 | カテゴリー: 新時代の学びを支える先端技術活用推進方策 |

皆さんこんにちは

ICTに関する様々な動きが加速度的に出てきましたね。
文科省からは「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」について が公開されました。
http://www.mext.go.jp/a_menu/other/1411332.htm

今の学校のICT活用のイメージ
今日は基盤となるICT環境の整備のうち、関係者の意識の共有と専門性をもった人材の育成・確保のための取組の推進 についてご説明させていただきます。

 文科省はじめ政府は大きな危機感を抱いています。まとめのあちこちにその危機感がのぞいているのですが、この部分には特ににじみ出ていますね。
「ICT環境の可及的速やかな整備促進に向けては、関係者(首長部局・教育委員会・学校・教師等)が学校現場のICT環境整備の現状・課題、その必要性を共有するとともに…」という部分を裏返すと、「必要性の共有が十分なされていない」という現状を認識しているということですね。
 年間の時間数は誰にも有限です。今後の子どもたちは「トライ&エラーで正解を見つけていく」体験が必要だということも先生方はわかってみえると思います。
 それでは、そのトライ&エラーについて、ICTを活用することと模造紙を活用することと、どちらがより多くの体験をできるでしょうか。これを申し上げると「紙の温かさが」「実際にはさみで切り抜く体験が」「失敗できないという緊張感でよいものができる」等々の反応が返ってくるのですが、どれも目的に外れた議論です。「トライ&エラーを何回もさせる」ことができるのはICT機器の圧勝です。はさみで切り抜く体験をするための授業なら、ICTははさみに劣るでしょう。
 授業の目的を明確にして、「これを行いたいからこのツールを使う」の「このツール」について、現場の先生方の理解と、導入する教育委員会、お金を握る首長部局がそれぞれ良い着地点を見つけないといけないよ、と言っているわけです。

 「この財政状況でICT機器にお金をかけるなんてとんでもない。こんな少ししか使っていないならできるだけ安価に、不必要なものは取り除いて導入しないと by首長部局」
「必要性をいくら首長部局に説明しても稼働率をたてに取り合ってもらえない。でも数は必要だから何とかできるだけぎりぎりに切り詰めて… by教育委員会」
「で、授業に使えない機器を押し付けられて使え使えと言われても起動に10分、画面スリープから復帰するのに5分、常設のアクセスポイントもないからアクセスポイントも持ち運んで……なんて授業で使えるわけがない! by先生」
 と、悪循環にはまり込むわけですね。

 そこで、「ICT活用教育アドバイザー」の活用や「全国ICT教育首長協議会」の力を借りることが提案されています。
 ICT活用教育アドバイザーに首長部局との話し合いの際立ち会ってもらい、外部識者の客観的な意見を言ってもらったりするのもよいかもしれません。
 現場に対しては、教育の情報化の手引きと、養成段階でのICTを活用した指導法を実践的に学ぶことも挙げられています。私が研究のためお世話になっている大学でも、ICTを活用した指導法について、担当する先生によってばらつきがあるのがとても気になります。ICTなんかに頼ってはダメ、あるいはICTなど使わずともチョーク一本で授業してなんぼ、という考え方が未だ根強く残っている部分もあります。
 現場の意識はすぐには変えられませんね。ただ、「学び続けること」が必須の現在において、「大学生の時にならったこと」「小学校の時の先生の教え方のまね」だけですべて通用するわけではありません。

 私の父は小学校教員でした。実家に帰って話すたびに「100年前の医者がタイムスリップしてきても今の病院では絶対に働けないのに、教員は働ける。そこが問題だ」と言っています。新しい技術が楽にできる部分、楽しくできる部分を積極的に活用すればもっともっと素晴らしい教育ができるのではないでしょうか。それは最先端の技術ではありません。既に世の中に出て、たくさんの人が使っている技術です。
 諸外国では既にその技術を子どもたちは使いこなしています。保護者にも連絡プリントなどではなく、インターネットを介した連絡が普通に行われています。

 

 既に私たちの住む世界は、ICTがインフラになっています。固定電話のみで今生活できるでしょうか。インターネットに接続せずに生活できるでしょうか。会社でプレゼンを行うときに手書きの資料を模造紙に大きく写すでしょうか。お客様に新しい商品を説明するときに、特に何の資料もなくカタログだけを渡して「今カタログの94ページをご説明していますので、開いてください」などというでしょうか。保険の契約を継続するときに「前の契約の書類は個人情報のため持ち運べません。もう一度紙に書いてください」などということは発生するでしょうか。給与計算を算盤で行うでしょうか。人工衛星の軌道計算を計算尺で行うでしょうか。
 
 首長部局、教育委員会、現場の先生との意識の擦り合わせが必要ですね。

 次回は文部科学省による教育行政のICT必須化についてご説明させていただきます。

何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

具体的なモデルについて提案されています

投稿日 | カテゴリー: 新時代の学びを支える先端技術活用推進方策 |

皆さんこんにちは

ICTに関する様々な動きが加速度的に出てきましたね。
文科省からは「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」について が公開されました。
http://www.mext.go.jp/a_menu/other/1411332.htm
ふさわしいハードウェアイメージ
今日は基盤となるICT環境の整備のうち、安価な環境整備に向けた具体的モデルの提示 についてご説明させていただきます。

 まとめの中で、今まで地方自治体による整備が進まなかった理由の一つとして、コスト面の課題が挙げられています。
 学習者用コンピューターについては、安価で一般に普及しているものを時代に併せて更新していくことが望ましく、総コストも下げられる、とあります。
 教育市場における学習者用コンピューターの価格は、店頭価格と隔たりがある、という印象をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。その理由として、様々なものが挙げられますので、「この理由を解決したから一気に安くなる!」というものは残念ながらありません。ですがこのままでは到底子供一人一台の学習者用コンピューターを実現することはできないわけです。
地方自治体が大量に一括調達を行うことが効果的、とまとめにはあります。ですが、ネットワークも違い、使っているソフトも違い、そもそも情報セキュリティポリシーが違う、という自治体間での大量一括購入というのはとても難しく、削減されたコストとそのために発生するコストを考えると、あまり現実的ではないように感じます。
そのため、学習者用コンピューターのコストを下げると同時に、大型提示装置等のそれに付随する機器、ソフトウェアのコストも下げていく必要がありますね。
そのためのモデル例が、まとめの29P~30Pに掲載されています。
このようなモデル例を出すには文科省は相当苦労したはずです。書いてあるスペックのものを取り扱っているメーカーが有利になるわけですから、あまり細かいところまでは書けない、でもあまりにおおざっぱではモデル例の意味がない、ということで、苦心の跡が見られます。

大型提示装置については

  • ・最後方の子どもの視認性を確保
  • ・装置の落下に対する安全性
  • ・教師が手軽に使える容易さ

が挙げられています。

学習者用コンピューターについては、機能として最低限

  • ・起動、スリープからの復帰が15秒程度以内
  • ・バッテリー駆動 カタログ値6~8時間以上
  • ・1.5㎏未満の軽量なもの
  • ・無線LAN接続機能
  • ・9~14インチ程度の画面の大きさ(可能なら11~13インチ)
  • ・ノートが他パソコンあるいはタブレット型パソコン
  • ・小学校中学年以上ではハードウェアキーボード必須
  • ・片側カメラ機能
  • ・音声出力端子
  • ・外部接続端子
  • ・メーカーによってサポートされているOS

以上の点が挙げられています。以下の点は必須ではないですが、明確に利用する目的があり、経費が十分措置されているのであれば検討してもよい点ということです。

  • ・耐衝撃機能
  • ・防水・防塵機能
  • ・ペン機能
  • ・SD、MicroSD端子
  • ・CD、DVDドライブ
  • ・両側カメラ

また、補償については

  • ・原則1年
  • ・センドバック方式
  • ・故障率を考慮した予備の常備

が挙げられています。さらっと続いていますが

  • ・端末管理、アカウント管理が可能であることが望ましい

とあげられています。クラウドを使うためにはアカウント管理が必須になるため、ここであげられていると考えられます。

通信ネットワークについては
「第三者の評価等も得ながら、誰もが理解できるシンプルなものとするとともに、ネットワーク機器等の性能も十分考慮したうえで、よりボトルネックの少ないものとすることが必要」とあります。
ネットワークは回線速度だけ良いものを契約しても、その途上にある通信機器の性能にも大きく左右されます。SINETへの接続も紹介していましたが、これは「将来の選択肢の一つ」であると書かれています。
安価で高速な通信が継続的に担保できる見通しが必要だとありますが、過渡期に未来を見据えて選択していくのはとても難しいことですね。
ただし、「ネットワークがつながっている」という状態は、今後「水道をひねれば水が出ます」と同じ程度のインフラとして考えられるようになっていくと思われます。
何がどうなるのが良いのか、正解を知っている人はおそらく一人もいませんので、現時点での知恵を絞って、考える必要があります。その知恵を絞るために、「学校におけるネットワークの知識を持った専門家」のリストが欲しい!と思うところではあります。そうも言っていられませんので、先進的な自治体や、信頼できる繋がりからの紹介はとても参考になると思います。ぜひ、聞いてみてください。

学習用ツールを含めたソフトウェアについても言及されています。
パソコンを使って効果的な学習を行うためにはソフトウェアが欠かせません。
必要最低限のツールとして

  • ・ワープロソフト
  • ・表計算ソフト
  • ・プレゼンテーションソフト

が挙げられています。
 重要なことは

  • ・端末、ソフトウェア、通信ネットワークを複合的に勘案して、すべてがストレスなく稼働するかを見極めて仕様を決定すること

 とあります。例えば、電子黒板で本格的に拡大すれば、蝶の鱗粉まで鮮明に見えます!というウリのソフトウェアは学習効果が非常に高いものですが、ネットワーク越しに全校で利用するとなると、おそらく無線環境では操作性に非常にストレスがかかります。実際に使う方法を考え、その時にストレスができるだけ少ないものを選定しないと、せっかく導入しても使われない、ということが発生するわけですね。
ここでもクラウドコンピューティングが優位であると紹介されていますが、実際に使う環境で試すことを強く推奨します。

最後は従来の学習者用サーバーの代替として教育クラウドが紹介されています。
 「当面各学校1台分のサーバーの設置を前提」としている文科省ですが、パブリッククラウドの積極的な活用を進める、とあります。教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン の改訂が待たれるところですね。

 次回は関係者の意識の共有と専門性をもった人材の育成・確保のための取組の推進ついてご説明させていただきます。

何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

クラウドバイデフォルトの波が学校にも届きそうです

投稿日 | カテゴリー: 新時代の学びを支える先端技術活用推進方策 |

皆さんこんにちは

ICTに関する様々な動きが加速度的に出てきましたね。
文科省からは「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」について が公開されました。
http://www.mext.go.jp/a_menu/other/1411332.htm
クラウドのイメージ

今日は基盤となるICT環境の整備のうち、クラウド活用の積極的推進 についてご説明させていただきます。

 文科省が平成29年10月に「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を作成し、各自治体がガイドラインを参考できる状態になりました。このHBI通信でも詳しくご説明させていただきましたね。
 ところがそれ以降、データの利活用に関する取り組みの促進、技術の進展による安全・安価なクラウドサービスの普及などの状況の変化、があり、それらを踏まえてICT環境整備のインセンティブや、ICT環境を維持管理するためのコスト低減を図ることが必要である、と述べられています。
 文科省もクラウドについて使っていこう、という方針になってきたということですね。もともと一概に禁止しているものではない、ということですが、ガイドラインをぱっと読んだだけでは「禁止している」と解釈することも考えられます。
 平成30年6月には各府省CIO連絡会議にて「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」が出され「クラウド・バイ・デフォルト」が決定されたとのことで、学校現場でも安全安心にクラウドを利用していくことが求められている状況ですね。
 そのため、文科省もガイドラインの改訂を図るとあります。3点あげられています。

  • 1 パブリッククラウドの利用を前提とした記述の整理
  • 2 サーバー・ネットワークの構築方法の整理
  • 3 情報資産分類の見直し・柔軟化

 です。こう並べてみると、感慨深い気持ちになります。学校現場のセキュリティと言えばひたすら「隔離・接続しない・触れない・やらせない」だったのですが、「便利なものを使う。だから使うためにどうすればいいか考える」に変わってきたな、と思います。
 ガイドラインの改訂が速く公開され、それに基づいてセキュリティを考えられるようになると色々はかどりそうです。

 次回は安価な環境整備に向けた具体的モデルの提示についてご説明させていただきます。

何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。

SINETを小中学校へ開放するための文部科学省内WGの成果がとても楽しみです

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ICTに関する様々な動きが加速度的に出てきましたね。
文科省からは「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」について が公開されました。
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トップページに重要なお知らせとして掲載される力の入れようです。
ネットワークのイメージ

今日は基盤となるICT環境の整備のうち、SINETの初等中等教育への開放 についてご説明させていただきます。

 SINETは日本全国の大学、研究機関等の学術情報基盤として、国立情報学研究所(NII) https://www.nii.ac.jp/が構築、運用している情報通信ネットワークです。
高速で、安定しているネットワークで大学、研究機関等が接続しています。
「クラウドやセキュリティ、学術コンテンツを全国100Gネットワークで有機的につなぎ、800以上の大学等にハイレベルな学術情報基盤を提供します」とあります。2019年12月からは大阪と東京を結ぶ400Gbpsの国内回線が開通するほか、国際回線もあるということです。
詳しい内容はhttps://www.sinet.ad.jp/aboutsinet に掲載されていますが、最先端の研究成果が漏れては困りますから、高いセキュリティを誇っていると考えて差し支えないと思います。
 まとめでは「各学校から公衆網にVPN(Virtual Private Network)を組み合わせて直接SINET のノードへ接続することにより、超高速で大容量の通信が可能となる」とあり、回線速度や安全性を考えると非常に魅力的な物と考えられますね。
 もちろん、この「各学校から」というところをよく吟味しないといけないのは当然として、ネットワークの物理的な構築やセキュリティ対策、運用体制等様々な準備が必要、とあります。
高等教育機関が接続することが前提のネットワークのため、セキュリティ担当者やICTに詳しい担当者がいることが当然として運用されてきました。
小中学校へも開放、となると、1校に1名詳しい担当者がいることは望めませんし、自治体に一人、も難しい場合があります。そのあたりを文科省できちんと検討するとのことです。
 この開放により、大学教育の専門家と初等中等教育の専門家が一堂に会する検討体制を文科省に立ち上げ、ネットワークの検討と一体となって検討・準備を進める、とあります。とても素晴らしいことですね。ネットワークを繋げても、お互いの専門領域がかぶらないから接点がない、はとても残念なことです。せっかくシームレスに繋がれるのなら、先生同士の交流、専門家同士の交流も図り、交互作用によってより素晴らしい教育が生み出されていくとよいですね。

 次回はクラウド活用の積極的推進についてご説明させていただきます。

何かご質問、ご意見等ございましたら是非お聞かせください。
よろしくお願い申し上げます。